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鍵
蝉が鳴いている。日が差している。波の音、木々のざわめきが俺の目を覚ました。
夢をみていた。
頬があたたかいと思ったら、涙を流していた。
絶対に忘れちゃいけない記憶。
なんだ?何を忘れているんだ?
自分が何で涙を流しているのかが理解出来なかった。
「なんで泣いてるんだろう……」
夢の内容は思い出せない。しかし、一つだけ思い出せるものがあった。
0801
恐らく、昨夜のファイルのパスワードであろう。
しかし、開くことが怖かった。
自分が記憶を失っているんだとしたら、
今の自分の記憶が偽物だったら。
自分が自分で無くなることがたまらなく怖いのだ。
それでも、きっと、いつかは開かなければならない。
なら、今開くのもわるくはないだろう。
昨日のファイルを開く。
文字を打つ手が震えている。
0……8……0……1……
開いた。
中にはメモファイルと、作曲データが入っていた。
症状.txt
月に叢雲、花に風。
あの夏をもう一度
未完成
頭痛が起きるが、構っていられない。
俺はファイルを開いた。
そこで俺の意識は途絶えた。




