行政区・立法区・司法区
もう少し制度面を整えます。
冒険は少し先になりそうです。
インチェル:「続いてご案内いたしますのは行政区画です。この区画は市庁舎を中心として財務府などの行政機関が配置されています。」
ユカワ:「なるほど、まだまだ未成熟ではあるが今後のことを考えると整備しておいたほうがいいものね。さすがインチェル。」
行政区画には白亜の立派な建築物がいくつも建設中だった。
ライトブルーの屋根は空と海の青さを想起させる。
ダークブラウンの窓枠もなかなかいい。
市庁舎はドーム状の屋根が特徴的でひときわ目を引くものだった。
リリアン:「市長はまだ決まっていなかったわよね?ということはまだ市庁舎には主がいないわけ?」
インチェル:「はい、市長は今後選挙を通じて選出する予定です。そのあたりのことはパーカーさんたちが中心になって準備してくれているようです。」
ユカワ:「そうなんだね。まだいろいろ足りないが、こうやって都市の政治機構ができていくのを見るのも楽しいね。」
リリアン:「そうね。でもヨウイチロウのような力があれば専制君主として良き独裁を敷くこともできるのに、わざわざ手間のかかる民主主義の制度を作ろうとするなんて変わってるわよね。」
ユカワ:「民主主義と共和制が大切なんだ。持続的でかつレジリエンスのある政体を作るためには。」
リリアン:「そうね。君主制は時にぜい弱だものね。」
続いて俺たちが案内されたのは立法区。
ここには議事堂を中心に関連する機関が配置されていた。
行政区がビザンツ様式とゴシック様式の融合のような雰囲気だったのに対し、立法区はネオゴシック様式にも似ている気がする。
これはこれで威厳があって壮麗で美しい。
まだ建築途中であるにもかかわらずもう十分な迫力がある。
リリアン:「私、臨時で議長のポストについてるからここには時々来てたわ。ヨウイチロウは普段ここでは姿を見かけなかった気がするけど、初めて?」
ユカワ:「いや、初めてではないけれど、こんなに建設が進んでいたとは思わなかったよ。以前訪れたときはまだまだ足場を組んでるような初期段階だったからね。」
インチェル:「不眠不休で働けるアバドンゴーレムという良質の労働力のおかげでだれも予期しなかったようなスピードで進んでいますから、今後もどんどん都市らしい形が整っていくと思いますよ。」
ユカワ:「楽しみだね。」
そして次に訪れたのは司法区だった。
司法区の象徴は何といっても裁判所。
裁判所は新古典派様式の威厳ある姿をしていた。
インチェル:「裁判官や司法の知識を持つ人々は今後どうされるつもりなのですか?」
ユカワ:「システィーナ院長やアルティーナ先生のつてで専門知識や技能を持っている人を招へいするつもりでいる。一からすべてを作るわけにはいかないからね。当分はギルドの自治に頼りつつ、できるだけ早く機能するようにしていきたいと思ってる。」
インチェル:「なるほど、建物はできても中で働いてくれる人々がいなければ意味がないですからね。今後が楽しみです。」
転生者である俺が近代国家の諸制度や諸機関を作ることでこの後どんな影響がこの世界にあるかはわからない。
だが、転生前の知識を生かしつつ、世の中がいい方向に向かうようにできる範囲で様々な制度を整えようと思うのだ。
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