ペトスコス:アズィーズ
早く街の完成図が見たいですね。
人も移住させないといけないので、どうしましょうか。
もうしばらく都市整備に時間がかかりそうです。
「サリー、今から地下第12階層のアクアリウムに行こうと思うんだけど、ついてこないか?」
「行く!何するの?」
「今日は、ドロシュの運河で小舟を引く魔物を何か見つけたいなと思って。」
「なるほど。」
「何か心当たりある?」
「いやぁ、ヨウイチロウが、ドロシュからまとめて大量に魔物を転移させちゃったでしょ?だからアクアリウムとはいえ、まだまだ何がいるのか把握できてないんだよね。」
「そうか、とりあえずいこうか。」
「うん!」
俺とサリーは12階層のアクアリウムに向かった。
この階層にはドロシュから一斉に転移させた大量の水生魔物が生息している。
転移魔法陣のある部屋を出ると、目の前には右手に海、左手に沼地、さらに奥に川と湖といった具合で様々な水辺の環境が広がっている。
この屋敷の地下は本当にダンジョンみたいだ。
「ねえ、ヨウイチロウ、これだけ広大だとどこから見ていけばいいのかわからないよ。」
「そうだな、運河で小舟を引いてくれそうな魔物が欲しいから、そうだな、とりあえず淡水の方に行こう。」
「わかった!」
左手に広がる湿地の方にとりあえず歩を進めることにした。
遊歩道のようなものが一応整備してあり、そこには魔法障壁も張ってあるので周囲から魔物に襲われる心配はない。
「力持ちな魔物がいいよねぇ。それに運河で小舟を引くんだからあんまり図体がでかすぎるのもねぇ」
「そうなんだよ、サリー。何か知っている水生の魔物でそれっぽいのいない?」
「うーん、あっ!あれとかどうあれ!あそこにいるやつ!」
サリーが指さした先には紫色や灰色、黒色をしたワニ型の魔物が目だけ水面から出してこちらをジーとみていた。
「あれってなんていう魔物?」
「あれはペトスコスだよ。ワニ型の魔物で南方の大河沿いの村とかでは船で荷物を引くためにテイムされているよ。」
「ふーん、なるほど。大きさは大体8メートルくらいってとこか。」
「確かに、大きいのは8メートルとかそれ以上になるんだけど、もっと小さいのもいるから、運河の広さや運ぶ荷物の重さなんかに合わせて使い分けてみたらどうかな?」
「それはいい考えだね。」
「ところで、あの群れのボスはどれかな?」
「うーん、えーと、うわっ!」
「ん?どうしたサリー、何に驚いたの?」
「ヨウイチロウ、あそこ見て!小島かと思ったんだけど、あれ、異常に大きいペトスコスだよ!」
そこには体調20メートルにもなりそうな巨大な灰白色のペトスコスがいた。
「あれに話しかけてみようか?」
「話しかけるのヨウイチロウ?」
「大丈夫だと思うよ。見た感じ温厚そうじゃないか。」
「あの凶暴な面のどこをどう見たら温厚に見えるのか私には理解できないわ。」
おれはその灰白色の巨大なペトスコスに念話で語りかけた。
「こんにちは。少しお話がしたいのだけれど、こちらによって来てはくれまいか?」
「いいぞー今行くぞー」島のようなペトスコスはぴくっと目を動かすと念話を返してきた。
「初めまして、俺の名はユカワ・ヨウイチロウ。君と従魔契約を結びたい。」
「礼儀正しいな、人間。わしはペトスコスのアズィーズ。従魔契約を結んでやってもよいが、その前に、わしらをここに突然転移させたのはお前か?」
「従魔契約を結んでくれるとは嬉しい。それと、君らをここに転移させたのは俺で間違いないよ。」
「ここの環境は以前いたドロシュよりも快適だ。だが、わしはこの通り歳を食っておる。できれば住み慣れたドロシュに戻りたい。」
「アズィーズ、君の願いはすぐにでもかなえよう。俺たちがここに来た理由は、君たちペトスコスにドロシュで仕事を引き受けてもらいたいからなんだ。」
「ヨウイチロウといったか、わしをドロシュに戻してくれるのだな?なら、話は決まりだ。だが、ドロシュでわしらに頼みたい仕事とはなんじゃ?」
「小舟を引く仕事を引き受けてもらいたい。」
「スタンピード以前はそういった仕事をしておったが、今はあそこは廃墟であろう?なにゆえ船引の仕事があるのじゃ?」
「俺が、あの水の都ドロシュを再建するからだよ。」
「なるほどな。」
「ちょっと、ちょっと、私抜きで勝手に話を進めないでよ!」
「ああ、サリーごめんよ。でも、今聞いていたように話はまとまったから、後のことは任せる!」
「は!?ヨウイチロウ、何を任せるって?」
「いや、だから、アクアリウムの管理者たるサリーさんに、このアズィーズの配下のペトスコスとの従魔契約をやってほしいんだ?」
「そういうことね。わかったわ。でも、このアズィーズっていうペトスコスは私にはテイムできないからヨウイチロウが契約を結んでね。」
「ああ、わかってる。」
というわけで、そのあと手分けしてアズィーズの配下の数百頭のペトスコスと一日がかりで契約をしたのだった。
個性的なペトスコスもいてサリーは割とてこずっていたようだが、何とかなった。
あとは彼らが引く小舟を用意してドロシュに転移させるだけだ。
これで街の再建工事の物資輸送のめどが立ちそうだ。
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