宝珠完成
ちょっと長めです。
宴から数日。
とうとう宝珠が完成した。
ラガドの街のマロンバロン商会を訪れるとマロンさん、バロンさん、そしてヴァンダールヴルさんたちドワーフの職人たちが待っていた。
「皆さん、こんにちは。今日は宝珠が完成したと聞いたので伺いました。」
「お待ちしておりましたにゃユカワ様!」とバロンさん。
「ご注文の品はこちらにご用意してございますにゃ!」とマロンさん。
「ユカワ殿、今回は最高の素材を用意してもらったからな、わしらの全力を尽くしたつもりだ。早速確認してほしい。」とヴァンダールヴルさん。
「では、拝見します。」
案内された場所にはワイバーン10体分の宝珠とアンヴァルの宝珠も人数分完成していた。
見た目は質素だが、細かいところまでよく作りこまれている。
細部に目をやると彫金や文様が彫り込まれていて武具であるにもかかわらず美しい。
宝珠にはマジックスライムがベヒモスの魔石から精製した魔晶石がはめ込まれている。
「素晴らしい出来ですね。これほどの宝珠となると王家への献上品にもなりそうですね。」
「いやいや、ユカワ殿、この宝珠は王家への献上品をはるかに超えるクオリティーじゃよ。」とヴァンダールヴルさん。
「ええ、ヴァンダールヴルさんのおっしゃる通りですにゃ。普通、こんなに最高級素材ばかり集めることはできませんし、何より、宝珠のコアの魔晶石が手に入りませんからにゃ。」とマロンさん。
「ではさっそくワイバーンたちに装着してみましょう。皆さん、一緒に来ていただけますか?」
「え?一体どこに行くというんじゃ?」とヴァンダールヴルさん。
「わたくしの屋敷に参りましょう。では転移します。」
「ええええええええええええ!」
驚く皆を引き連れて、宝珠も忘れず俺たちはミラーの空中庭園に転移した。
「ひゃっ!ここはどこにゃ!」と屋敷の地下第9階層の空中庭園に驚愕していらっしゃるご様子のマロンさん。
「ここは私の屋敷の地下第9階層、ミラーの空中庭園です。あちらにワイバーンたちと騎乗者がいますよ。見えますか?」
「おお!本当だ。ワイバーンが10体もいるぞ!」とヴァンダールヴルさん。
俺たちは宝珠をもってワイバーンたちのもとに向かった。
宝珠はそれぞれのワイバーンにピッタリ装着できた。
宝珠を装着するとワイバーンたちの目の色が変わった。
「おい、ミラー、目の色が変わったみたいだが、どうした?大丈夫か?」
「ヨウイチロウ、この宝珠のおかげでどうやら能力が覚醒したようだ。」
「能力が覚醒?」
「ああ、今の我々なら以前とは比べようもなく速く飛べる。しかも、転移魔法も使えそうだ。」
「転移魔法を使えるだって!?」
「ちょっと今から我らが編隊を組んでこの空中庭園を飛び回ってどんな具合か見せてやろう。」
といってミラーに率いられたワイバーンたちは飛び立った。
するとその飛び立つ際の風圧からして段違いに強かった。
そして飛び立ったかと思うとものすごいスピードで飛び去る。
さらに、飛行の途中で姿が見えなくなったと思ったら別の場所に現れる。
どうやら転移魔法を使いこなしてしまったようだ。
恐るべし宝珠。
それだけではなかった。
ワイバーンたちがいつの間にか炎や雷、水や氷など、個々に異なる魔力障壁をまとっていたのだ!
魔力障壁は自己の魔力を身にまとうことで様々な効果を生む。
それぞれ違う色の輝きを放ちながら、これまではできなかったような曲芸飛行を披露してくれる。
ここまで能力が引き出されるとは予想を凌駕する宝珠の効果に俺も驚きを隠せない。
「ユカワ殿、彼らは本当にワイバーンなのか?神獣並みの能力を持っているように見えるのだが。」と恐る恐るヴァンダールヴルさんが問う。
「彼らはもともと普通のワイバーンです。宝珠があそこまで能力を引き出しているんですよ。皆さんのすばらしい仕事のおかげです。」
「いやはや、これほどのものになるとは予想できなんだ。しかし、いい仕事ができて満足じゃよ。」と皮革職人のドワーフさん。
無事ワイバーンの宝珠を取り付けた後はアンヴァルにも宝珠を装着する。
こちらもワイバーンと同様、宝珠をつけることで覚醒状態になった。
アンヴァルの能力覚醒により、彼らは体力が続く限りは宙を駆けることができるようになった。
この宝珠、最高の素材を集めて最高の職人に作ってもらっただけあって反則級アイテムになってしまった。
これで俺たちの移動の制約がますますなくなるな。
マロンバロン商会と職人の皆さんにはたっぷり報酬を支払った。
一部の職人はお金よりもベヒモスの素材の方が欲しかったらしく、その人たちにはご希望の部位の素材を報酬代わりに渡した。
せっかく屋敷に来てもらったので、ドワーフたちとマロンさん、バロンさんを招いての晩餐会を夜は開いた。
皆さん、楽しんでくれたようだった。
そろそろ次の事業に手を付けよう。
次はモリアの攻略を本格的に計画することとしよう。
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