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異世界転生スライム研究  作者: ユラユラ
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多重魔法陣

無事ベヒモスを魔物牧場に転移させました。


現地の生態系に影響のない範囲で捕獲は行っています。

異世界の魔物はリアル地球の動植物をはるかに超える回復力を有していますから生態系破壊の心配はご無用です。


氷河期末にマストドンなどの大型哺乳類で、体が大きく一頭で行動するオスの個体が選択的に石器時代の人類によって狩られたためにオス・メスの個体数バランスが崩れ絶滅につながったといわれていますが、今回のベヒモス狩りによってそのような悲劇が起こることはありません。


異世界万歳!

拠点に戻った俺たちはユイとガフと合流する。


「ヨウイチロウ、ベヒモスの中にも病気だったり怪我をしてたりする個体がいると思うの。」とユイ。

「それで、そういうベヒモスを屋敷の魔物牧場にそのまま連れて行ったらよくないんじゃないかと思って。」とガフ。

「確かに、そうだね。」

「どうするの?」とリリアン。


「多重魔法陣を使おう。」

「多重魔法陣?」とシシリー。


「たぶん聞いたことはないだろうね。普通の魔法使いは魔力量からして無理だろうから。」

「わたくしは聞いたことがございます。戦争などの際に用いる軍事魔法で、複数の魔法使いが協力して異なる魔法陣を同時展開する、難度の高い魔法だと聞いたことがあります。」

「さすがパーカーさん。俺が今回使うのは軍事魔法ではありませんが似たようなものです。」


「どんな魔法陣を使うんだ?」とパル。

「ベースにするのは転移魔法陣だ。転移先はもちろん屋敷の魔物牧場内の湿地区画。」

「どんな魔法を組み合わせるの?」とシシリー。

「まずは、魔法陣内にベヒモス以外が入らないように疎外の魔法陣、さらに体力の回復魔法と、病気や傷の治癒魔法、以前ワイバーンにもかけた精神安定の魔法、あとは、魔力増加の魔法かな。」


「そんなにかけるの!?」とサリー。

「魔力増加は何のためなのぉ?」とルカ。

「魔物にとって魔力は生命力と同じといってもよい。魔力を増やしてやることで、転移による突然の環境変化にも耐えらえるようになるはずだ。」

「なるほど。」とユイ。


「お願いがあって、この多重魔法陣を確実に発動するために皆が持っているペンダントが必要になる。」

「どうすればいいの?」とリリアン。

「難しいことはない。それぞれワイバーンに乗って狙うベヒモスの群れの周りを違う高度で旋回してくれたらいい。」


「どういうことなの?」とシシリー。

「それぞれのペンダントが魔法陣を発動する起点になると思ってくれればいい。魔力はもちろん俺の魔力を使うんだけど、同時にたくさん魔法陣を展開すると不安定になりかねないから。」

「わかった。じゃあ早速行こうぜ。」とパル。


俺たちはユイとガフを先頭にベヒモスの群れのもとへと向かった。


いった先には50頭ほどのベヒモスの群れがのんびりと水草を食んでいる。

なかには何頭かでじゃれあっている子供のベヒモスもいた。

いい感じでまとまっているのでワイバーンによる旋回で包囲をだんだん狭めていく。


俺が順番に一つ一つ魔法陣を組んでいくにしたがってベヒモス50頭を丸ごと範囲に収める巨大な魔法陣がうっすらと湿原の上空に現れ始める。

ベヒモスたちの上空に一つまた一つと魔法陣が展開していく。

そして俺が最後の魔法陣を組み終えると何層もの魔法陣が光りだした。

魔法陣の淵を、ペンダントを持つ子供たちのワイバーンが旋回し多重魔法陣は完成した。


「多重魔法陣発動!」


俺が最後の呪文を唱えると何色もの光が魔法陣から放たれベヒモスたちを包み込んだ。

突然光に包まれ呆然としたベヒモスたちは次の瞬間には湿原からきれいさっぱり消え去っていた。

無事、屋敷の魔物牧場へと転送できたようである。


「うまくいったの?」とリリアン。

「ああ、おかげで問題なくできたようだ。」

「よかったわね!」とシシリー。

「これで魔物牧場に新しい仲間が加わったね!」とユイ。


こうして俺たちのベヒモス狩りの一日は終わった。


夕日で真っ赤に染まった空をワイバーンに乗って屋敷に向かって飛ぶ俺たちの姿がそこにはあった。


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