ラマージュ帝国
地図をお見せできればいいのですが、なかなか地理の説明が難しいです。
ラマージュ帝国はエルムード王国、ハザール王国、エル・フィンドール帝国などと並ぶこの世界の強国の一つである。
その国土はエランド大陸のほとんど全土にわたり、その北東の半島にドニア、南はエル・ガレン島、東は海を挟んでハザールとエルムード、西方の半島がエル・フィンドールと接している。
北西の半島と北東の半島の間には海峡があり北海とラマージュ湾と呼ばれる広大な内海をつないでいる。
広大な国土は肥沃でその国力は他の大国を圧倒していたが賢明な君主の下で対外政策として敵対的領土拡張政策をとることなく、交易と国内産業の振興によって大いに発展していた。
そんな帝国の北東の半島部には世界の富の3分の1を産するといわれたドワーフの鉱山国家ドニア王国があったが、突如として死霊王の軍勢によって襲撃され一夜にして滅亡した。
ドニアは滅亡する少し前に、貨幣偽造事件が発覚したことで周辺国とのつながりが一時的に弱まっていた。
ラマージュとの関係も例外ではなく、帝国は問題が完全に解決するまでドニア在住の帝国臣民に対して一時帰国を勧告していた。
多くの帝国臣民がその勧告に従って一時帰国をしていた矢先、ドニアの滅亡という衝撃的な事件が起きたのだった。
しかもそれが失われた魔法といわれていた転移魔法を大規模に用いた急襲によってなされたために、帝国中枢部には大きな衝撃が走った。
ラマージュ帝国もドニア同様の攻撃を受けるやもしれずこの数百年布告されたことのない最高度の臨戦態勢が全土に布告された。
とりわけ帝都とドニア国境には大兵力が集められた。
ラマージュ帝国とドニア王国はエランド大陸の北東部の半島中部で国境を接している。
そこは砂漠地帯で荒涼とした景色が広がっている。
これまでドニアとラマージュの間には幾たびか交易上の問題で緊張が生まれたことはあったが、大規模な戦争が起きたことはなかった。
国境付近の砂漠地帯にはオアシス都市が点々と存在するものの、確固とした防衛拠点はなかった。
現在ドニア王国領内には多数の魔物の軍勢がひしめいており、砂漠を越えて陸路でいつラマージュへ侵攻してきてもおかしくない状況だった。
ゆえにラマージュ北辺半島辺境領を収めるオアシス諸都市の首長たちは領民たちを一時的にラマージュ帝国内陸部へ疎開させることを首長会議で決定した。
同時に帝国首脳部は帝国陸軍を帝国北東半島防衛任務へと派遣した。
しかし、これよりもさらに帝国首脳部を悩ませた問題は帝国の北海貿易がドニアの滅亡によって大きな脅威にさらされることになったことである。
ドニアは北海貿易の拠点としても機能していた。
ラマージュから北海へと出るには東西の半島の間にある海峡を通らねばならない。
海峡の東岸にドニアが位置しているので、現在この海峡の航行は大きな脅威にさらされている。
この海峡がドニアの脅威によって通行不能となってしまった場合、帝国本土が面する内海のラマージュ湾から北海への航海が不可能となってしまう。
これは帝国にとって安全保障上も交易上も深刻な脅威であった。
現在帝国海軍の北海艦隊は内海に閉じ込められた状態にある。
帝国海軍にはほかに南、東、西にそれぞれ拠点港をもつ海軍艦隊が存在するが、北海艦隊が最も精強であった。
南方艦隊は4つの艦隊の中で最も規模が小さく、西方艦隊もそれほど強力ではない。
北海艦隊の次に強力なのは東方艦隊であるが、こちらは現在東方海上交易路の安全確保のためドニアの滅亡以降重要性が数段高まり、すでにフル回転状態にあり、他方面に戦力をまわす余力はない。
したがって北海艦隊と協力してドニア海峡の脅威を排除する任務を遂行することは難しい。
つまり北海航路の安全を確保するために動員可能なのは現在ラマージュ湾に停泊中の北海艦隊を動員するよりほかないのである。
しかし安易に北海艦隊を動かしてこの艦隊が殲滅されるようなことが万一あれば、ラマージュ本土は海上の守りを失い、ドニアの死霊王軍による海上からの本土侵攻を防ぐすべを失ってしまう可能性があった。
帝国首脳部はこのドニア海峡と北海艦隊をめぐる問題に関して大紛糾し身動きが取れなくなっていた。
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