工房
ツリーハウスに住んでみたいなーとずーと思っているんですが、いくらくらいかかるものなんでしょう。
ツリーハウスってロマンがあると思います。
ビーチコーミングをしていた海岸から岬の森に入ってしばらくのところにそのロッジは見えてきた。
先ほど海に注いでいた小川沿いに上流へ行った森の中の巨木の上にそのツリーハウスはある。
ここは隠れ家的な俺の工房だ。
幹回りは7,8メートルはありそうな常緑広葉樹の巨木の上に周囲の風景に溶け込むように小さなツリーハウスを作ってもらった。ツリーハウスからは縄梯子が垂れている。
その縄梯子を伝ってツリーハウスに上がって窓を開けると、眼下に先ほどの小川と、遠くにキラキラと輝く海が見える。
周囲の森には日光がさんさんと降り注ぎ小鳥たちのさえずりや小動物の鳴き声が響き渡っている。
木製の温かみのある工房の中には作業台と、道具をしまう戸棚。
そして素材を保管するための棚。
隅には火炎鉱石を埋め込んだ小さなコンロがあり、お茶とお菓子も用意できる。
先ほど採集してきたシーグラスと魔石をここで今から加工するのだ。
まずは、水魔法を使って集めてきた素材を洗浄する。
次に風魔法を使って水を吹き飛ばし乾燥させる。
乾かしたらその素材を色や形種類別に分類箱の中に収める。
そして作業台の上に数種類のアクセサリー用の金属パーツや革紐、道具を一式用意する。
もっとも簡単なのはシーグラスを金属パーツにはめ込みそれをチェーンと組み合わせてネックレスやチョーカーにする場合だ。
さっそくいくつかの手ごろなシーグラスで作ってみる。
この世界には魔法があるので指先で熱魔法を操り金属パーツでシーグラスを固定する。
ミスリルのように魔力伝導性の高い金属であればとりわけこうした繊細な作業をする際、熱を加えるまでもなく魔力を加えることで自在に操作できる。
ただしその魔力操作に慣れるにはかなりの練習が必要である。
俺のような素人がそれをマスターするまでにはかなりの失敗もあったが最近になってようやくそれらしいものができるようになってきたのだ。
一度できるようになってしまえばあとは創意工夫で様々な組み合わせでアクセサリーを作っていく。
黙々と作業すること数時間。
いくつかのアクセサリーができた。
今日はシーグラスのネックレスと魔石をはめ込んだリングとイヤリングを作った。
シーグラスのアクセサリーは普通のアクセサリーなのでこれで完成だ。
魔石を使ったリングとイヤリングには魔法付与を施す。
ただ、その魔法付与は店頭でお客のリクエストに合わせてすることにしている。
俺は時折ここで作ったものをもって変装したうえでドロシュの露天商に混ざっている。
だが、今日はここまでだ。日もそろそろ沈むので屋敷に帰ろう。
こうして穏やかな一日が終わっていった。
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