地下牢のエルフたち
気持ちの悪い描写が多いので苦手な方は読まないことをお勧めします。
読まなくても本筋には影響ありません。
死霊王は黒の塔にいた。
黒の塔にはドニア攻略によって奴隷化されたエルフら囚われていた。
エルフたちは地下牢にとらわれていた。
黒の塔の地下深く。
そこは闇に閉ざされた世界。
じめじめとした冷たい腐臭を放つ空気が溜まっている。
いわば死の臭いに支配された世界である。
足元も壁もそして天井も黒く冷たい頑丈な鉱石でおおわれていた。
堅牢な地下牢には虜囚たちのほかにうごめくものといえばカサコソと音を立ててあちこちをうごめく蟲たちであった。
牢の金属製の檻はごつごつとしていてさびているようで全くびくともしない。
エルフたちは光輝く地上の世界から、永遠に一筋の光も差しこまない暗黒の世界へと引きずり込まれてしまった。
地下牢の奥の拷問室からはさまざまな音が聞こえてくる。
その音は壁を反響し不気味に響くのである。
虜囚のうめき声。
鞭がしなり、空気と肌を切り裂く冷酷で残酷な音。
そのたびに上がる叫び声。
刃物を研ぐ不気味な音も響く。
焼き鏝を熱するための炎が燃え盛る音。
肉が焦げる臭い。
そして再び叫び声。
そうかと思うと嬌声が響くこともある。
薬物と幻覚魔法を駆使し、高潔なエルフたちを欲望と快楽の奴隷へと堕落させるのである。
ぬめぬめとした触手が蠢き粘液を滴らせ何かに絡みつく生々しい音。
光と闇、悲鳴と矯正、死と快楽が交わる世界
光の世界の住人はこの世界の暗黒面へと一人また一人と堕ちてゆく。
自らの意思で生きようとあがくエルフは食事を与えられ拷問にも耐え生きながらえる。
生きる意志を失ったエルフが死ぬに任せられることはない。
死霊王はエルフの肉体と血、そしてその魂の堕落を欲してやまない。
生きる意志を喪失し魂の抜け殻のようになったエルフは死霊王の配下によって操られる。
隷属紋を焼き鏝によってその肉体に刻まれ、その紋章が精神をも蝕み作り変える。
邪な欲望と快楽を貪ることしか考えられぬ存在へと改変されるのだ。
生きる意志を失ったエルフは生きる意志を持ち続けるエルフよりも早く死霊王の望む邪悪な卓越したオークを生む母体へと堕するのである。
かつて神の祝福を受け地上に遣わされし美しきエルフの子らは、死霊王の奴隷として、神の恩寵を失いその美しい容姿と魂を一人また一人と蝕まれ醜き邪悪な獣へと堕落していった。
後には獣たちの獣性と生臭いにおいが残った。
闇の中に産み堕とされる獣の子らは地上の世界の光を待ち望み欲望と呪詛の念、そして神をも恐れる傲慢な魂を煮えたぎらせその時を待つのであった。
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