ドニア王国の滅亡
残酷な描写が含まれます。
苦手な方はご注意ください。
(残酷な描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。)
それは突然だった。
地下の坑道のあちこちからワームが現れ、ドワーフたちを襲撃し始めた。
ワームたちが吐き出す粘液にからめとられたドワーフたちはどこからともなく表れた蜘蛛の魔物によって毒を注入され意識を失った。
ドニア王国の地上でも同時に襲撃が始まっていた。
どこからともなく表れた邪竜の大群によって王都が襲撃されたのだった。
邪竜たちはブレスで街を焼き払い、逃げ惑う人々をその頑強なかぎづめで蹂躙した。
大混乱に陥った王都へさらに死霊とゴブリン、オークなどからなる大軍が押し寄せてきた。
ドワーフたちの王国は一夜にして阿鼻叫喚の地獄と化した。
抵抗する者たちは八つ裂きにされたり、手足を切り落とされたり、オークが振り回すこん棒によって体を打ち砕かれた。
オークやゴブリンはドワーフたちを蹂躙し、さらに連れ去った。
とらわれた者たちは隷属の奴隷紋を焼き鏝で体に刻まれてしまった。
奴隷たちの絶叫が絶えることなく響き渡った。
王都は火に包まれ煙が充満し血と体液の生臭いにおいに包まれた。
ドニアにはもちろんドワーフ以外の種族の者たちもいた。
人間族や、獣人族、そしてエルフ族もいた。
彼らの中にもドワーフ族とともに武器を持って戦う者たちもいたが、多くは交易や商業でドニアに滞在していた非戦闘員であり、彼らはドワーフ族の住民たちと同じように逃げ惑うよりほかにすべを持たなかった。
死霊王の命令により奴隷狩りは苛烈を極めた。
とりわけエルフ族は狙われた。
彼らはとらわれると黒の塔へと送られた。
黒の塔はドニアから遥か北方だったが、この侵攻に合わせて死霊王が開いた転移魔方陣によって連れ去られたのだった。
ただ貨幣偽造事件の影響でドニアと取引のあった各国はドニアに居住する自国民に事前に一時帰国を促していたこともあってドワーフ族以外でこの悲劇に巻き込まれたものは多くなかった。
ドニア王国と北方で国境を接するラマージュ帝国にこの死霊王の軍勢によるドニア急襲のほうが入ったのはすでにドニアが敵の手に落ちた後だった。
ラマージュ帝国のみならず周辺国もすべて終わった後にようやくこの前代未聞の悲劇を知ることとなった。
当時ドニア国内にいたものでこの急襲を逃れられたものはわずかだった。
いつも応援ありがとうございます。
作者からのお願い:「面白い!」「続きが気になる!」
と思ってくださる方は☆☆☆☆☆の評価とブックマークへの追加
よろしくお願いします!
作者のやる気がアップします。