表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/25

第21話 万能文化鼠娘 ~馬車の中での対話篇 『換骨奪胎』~

 ゴーレム馬車内の一室。

 二段ベッドのような、寝台列車の中のような様相の部屋であり、その室内で三人はパジャマに着替え、寝る前に語り合っていた。

 コピペ

「なんか、この属性表のジャンケンみたいなのって『ネズミの嫁入り』みたい(じゃ)のぅ」


「あ、それ、私も知ってる。すごい小さいころ、お父さんから聞いた」


「ふっ。わらわも、お父さんから聞いたぞ。えっへん」


操文(ミサヤ)さん、清銘(キヨメ)さん、奇遇ですわね。私も知ってますわ。お父さんに聞きましたのですわ。意外と、三人ともが知ってる事って少ないのですよねぇ。うーん、でも内容がうろ覚えで、ネズミが出てくるのは確かで、確か(かじ)ることが重要だった気がしますわ……。ちょっと内容を言って頂けると、思い出すかもですわ」


「ふむぅ、では、わらわが取りあえず話すノ蛇(のじゃ)。間違っていたら指摘を頼むノ蛇(のじゃ)。……昔々あるところに、蔵の中に裕福なネズミの夫婦が住んでおったそうな」


「裕福だったっけ? なんか、私が聞いた話より、設定が細かいかも……。あっ、はっきりと思い出して来た。裕福でいいのか」


「裕福なネズミですか? 『李斯感鼠(りしねずみにかんず)』みたいですわね」


「それってなんなのなの? ツムちゃん」


「ちょっとした格言みたいなものですわ。最近では知ってる方、多くなってるとおもいますが、(しん)始皇帝(しこうてい)側近(そっきん)が残した言葉ですわ。どんな意味かと申しますと、ざっくりと説明しますわ。おトイレに住むネズミはおどおど(・・・・)しながら食べ物も少ないところで生活をしている。しかし、食糧保管庫にいるネズミは非常に肥えてて、幸せそうに生きていますわ。しかも、ぜんぜん人間怖がらないネズミだとのこと。人間、堂々と生きる、才能を活かすなら活かせる所で生きなきゃならんって話ですわ」


「なるほどねぇ~イソップ寓話の『田舎のネズミと町のネズミ』みたいだね」


「それはどんな話ですの?」


「似たような話なのかな? うんと、田舎者(いなかもの)のネズミの所へ都会者(とかいもの)ネズミが、ご飯(ごはん)食べに行ったんだけどさ、みすぼらしいって、都会者は田舎者に言うんだ。で、都会の方が良い物が食べれるって都会者が言うから、二人とも都会に行くんだ。

やっぱ都会だから、すごい物にありつけるんだけど、食べようとするとしょっちゅう人間とかが邪魔しに来て怖くて食べれないの。で、ローカルの者はカントリーサイドの方が良いって言って、そっちに戻るんだ。そんな話」


「あら。なんか良い話ですわね。李斯(りし)の負けかしら。李斯って人生の最後のほうがアレですし」


「ていうか、勝ち負け(じゃ)、無いと思うの蛇ガ(じゃが)、もうわらわの話は良いのかのぉ?」


「あっ、ミサちゃん、話止めてごめんね、えっと、狐の嫁入りの話をしてたんだったよね。続けてよ~」


「なんか違うの(じゃ)。わらわの心はお天気雨(おてんきあめ)なの(じゃ)、で(じゃ)、ネズミの嫁入りの話を続けるぞよ」


「「お願いしまーす」ですわ」


「うむ、で(じゃ)。その裕福なネズミの夫婦に娘ができるそうな。名前をシオジと名付けたそうな。で(じゃ)、その両親は娘のお婿さんを探そうとするの蛇ガ(じゃが)


「あれ? そんな名前? 娘の名前ってエイドリアンじゃなかったっけ?」


(わたくし)は娘の名前はチュウコって聞きましたわ。中古(ちゅうこ)みたいで、(むご)い名前つけるなぁって思ったものですわ。新品なのに」


「まぁ、いろいろなパターンがあるのかものぉ。細かい部分は気にせんでよいのではないかのぉ。で(じゃ)、まず、その両親のネズミは、うちの娘はナンバーワンの(ムスメ)なので、ナンバーワンのお婿(むこ)(もら)わなければならない。なので、ナンバーワンの婿(むこ)といったら、空の上からすべてを見渡している、お日様(おひさま)だろうというの(じゃ)


「む、お日様(おひさま)、エジプトの話かしら? 太陽神ラー? あ、いえ、それだと安易(あんい)ですわね。ここは、新王国時代のアルテナに遷都後の太陽神アテンの方ではないでしょうか」


「あははっ。ツムちゃん、また話が()それちゃうよ~」


「はっ! ごめんなさい、操文(ミサヤ)さん」


「うむ、まぁ、()れても続いてもどちらでも、良いの(じゃ)。それにしても、(ツムギ)の守備範囲も思ったよりずっと広いのぉ。まっ、続けるぞよ」


「そう、ナンバーワンというなら、太陽なノ蛇(のじゃ)が、太陽は嫁にくれるなら、うれしいとは言うが、自分は雲に隠れるから、雲のほうが上、(じゃ)というノ蛇(のじゃ)。ならば、雲に嫁入りしようとするの蛇ガ(じゃが)、雲は雲で嬉しいとは言うものの、雲は風に飛ばされるから、風の方が上、(じゃ)と。そんなこんなで、太陽→雲→風→壁→と、なり、で(じゃ)、壁はネズミに負けるノ蛇(のじゃ)。ネズミは壁を(かじ)って穴を開けれるからのぉ」


「なるほどですわ。原点回帰ですわ。少し思い出してキマシタワ」


「で(じゃ)、その自分たちが一番って考えに捕らわれて、自分たちの(ムスメ)こそが一番って考え始めるノ蛇(のじゃ)。両親は。で(じゃ)、両親は、うちの(ムスメ)が一番だって宣伝するから、多くのネズミはそれを信じるようになるノ蛇(のじゃ)。そして、その後5人のネズミがムスメに求婚に来るんだけど、両親は自分ちの(ムスメ)と釣り合う婿(むこ)のネズミを探すために、無理難題を出すんだ。とても珍しい宝を持って来いって」


「えっ、ちょっとまってよ。そんな話だっけ? なんか違くない? ていうか、娘と好き合ってた(ひと)がいるって話でしょ?」


「む? そんな設定、(じゃ)ったか?」


「で、両親は裕福で村の長者だったから、村の若い衆に呼び掛けて、一番強い者に娘をやるぞーって言うんでしょ? で、村の若い衆で一番強いって言われている、ごっつい筋肉隆々(きんにくりゅうりゅう)で、背もでかいやつが出て来て、長者の娘をくれって言うの。でも、その、娘と惚れ合ってた相手のネズミも名乗りをあげるのね。それで、15ラウンドくらい戦うんだけど、その好き合ってた方、ぼこぼこにされちゃうんだよね。このぼこぼこがやりすぎで、顔面の形が変わるくらいぼこぼこになっちゃうんだ。見てて引く(・・)って言ってた。でも、最終的に娘に『勝って』って言われて勝つんだよね? そして結婚しました。めでたしめでたしじゃなかったっけ?」


「え? そんな話なのかぇ? 無理難題を出した後、5人の婿(むこ)の立候補者が出て来て……、無理難題だから、とりあえず力を合わせるかっていって、さらに2(にん)が手伝ってくれて、その7(にん)は力を合わせて、とりあえず、島に渡るん(じゃ)けど、そこでイタチとの戦争が始まるのではなかったかのぉ?」


清銘(キヨメ)さんも、操文(ミサヤ)さんも、お二方とも、そんな話でしたっけ???」


「ワラワはそう聞いたぞよ」


「私もこう聞いたよ」


「えっと、思い出して来たんですけど、(かじ)るのフレーズが無いような?」


「えっ? あった(じゃ)ろ」


「あっ、いえ、人間を(かじ)るのでは? あ、そう、娘が人間に(さら)わるのですわ」


「えっ? 人間が出てくるのかえ?」


「そうですわ。すごい有能な人間がある国を治めておりまして、たしか丞相(じょうしょう)だったかと。それで、誰を跡目にしたいかで悩んでおりましたの。そして、息子たちの中に、まだ幼く13歳くらいでしたかしら、の子供もおりまして、これが滅茶苦茶聡明(そうめい)ですの。その聡明(そうめい)な八男に継がせたいって思うようになっていくのですが、その時の長男が25歳……『その時』っていうのは、もっと他に長男がおりますが、死没(しぼつ)しておりますの」


「なんかスケールが大きな話になって来たの(じゃ)……」


「面白そうだね~」


「それで、その長男も優秀なのですが、もしかしたら跡目(あとめ)(うば)われるんじゃないかって思っておりまして、そんな時に一計を案じますの。毒蛇とネズミをその八男の住んでいるところに放ちますの。そして、八男を()ませるのですわ。古来よりある毒殺ですわね。ちなみに、部屋の中というのは、乾燥していて普通は蛇が入って来ないのです。人が持ち込まなければ。さらに、ここで、自分も――長男自身も毒蛇に、あえて()ませるのですわ。二人とも生死の境をさまようのですが、25歳という成人してる大人だということもあり、長男は助かり、八男は若いので、死んでしまうのですわ」


「八男死んでしまうのかえ、それはないでしょのぉ。それにしても、まわりくどいことするのぉ……」


「しょうがないのですわ。丞相(じょうしょう)である父が滅茶苦茶優秀ですからね。生半可なことでは見抜かれてしまいますわ。でも、その計略も、八男の死に対し、寝ずの番を三日三晩、その、長男、次男、三男がするのですが、犯人は緊張していると、眠れずにずっと起きているらしく、次男、三男は寝てしまうのに、病み上がりの長男は起きてまして、それでバレてしまうのですわ。でもそこは、実力だけで丞相(じょうしょう)にまで上り詰めた、その父は、八男は毒鼠(どくそ)()まれたと、締めくくるのですわ。とても複雑な為政者としての親心ですわ……」


「なんか、複雑な話過ぎて、ついていけんぞぇ。ネズミは結局どうなったの(じゃ)?」


「えっと、人間に捕らえられた娘のネズミは、庭にいた猫に食べられてしまいます。そして、猫も毒殺しまして、そのネズミを毒鼠(どくそ)に見せかけるのですわ。猫の臓物(ぞうもつ)から、ネズミの死骸が出てくることにより、発覚するのですが」


「なんか……無理矢理に話をくっつけてないかのぉ?」


「なんていうか、ツムちゃんのお父さんすごいね~。それにそんなにちゃんとお父さんの話を憶えてるツムちゃんもすごいね~」


「そうなのですわ。お父さんはすごかったのですわ~」


「でも、娘のネズミって死んじゃうんだ?」


「あっ、えっ、まぁ。そう聞いておりますわ。清銘(キヨメ)さんの話では、死なないのですわね。といいますか、操文(ミサヤ)さんのお話しだと、娘のネズミは死ぬのでしょうか?」


「えっと、確か死んでしまったような……なノ蛇(のじゃ)


「えっ? 死ぬの? 娘? ミサちゃん?」


「えっとのぅ……、なんか複雑で、なんでも原作では死ぬが、アニメだと死なないって言っておったの(じゃ)


「アニメがあるのでしょうか?」


「そう……みたい(じゃ)のぅ……」


「まぁ、なんか三人ともそれぞれ細部が違うし、日本に戻れたら、検索してみれば分かるんじゃないかなぁって……、戻れるのかなぁ………………」


清銘(キヨメ)さんは、といいますか、お二方(ふたかた)は、日本に戻りたいですか?」


「うーん、まぁ、向こうでもやるべきことはあるからのぉ。いろいろ投稿もしておったしのぉ。でも、こちらの世界も楽しいからのぉ……」


「私は、うーん、そんなに気にしてはいないんだけど(・・・・・・・・)……、戻らないと、ちょっとまずいかもなんだよね。ちょっと、ここ見て」


「あ、右肘(みぎひじ)の傷のことですの?」


「あ、うん。気付いてた?」


「えぇ。まぁ。これだけずっと(そば)にいるんですもの」


「どういった傷なノ蛇(のじゃ)? 痛むのかえ?」


「うーんと、小さいころね、事故に合ってね。それで手術したんだ。リハビリも、もちろん済んでるし、事故(じこ)自体(じたい)大分前(だいぶまえ)だからね。でもね、ここ、その手術の時に金属を入れたんだ。関節の(ところ)。それで、体の成長に合わせて、何年かに一度、手術してるんだけど、もし、体が成長しちゃったら、問題が出てくるんだ……」


「ふむぅ、どうしたものかのぉ」


成長(・・)しますと、問題なのでしょう? なら、だいじょぶではないでしょうか?」


「ちょっと、ツムちゃん! それっどういう意味?」


「あっ、ごめんなさい、つい」


「もう~! ついっなにさ~」


「まぁ、(ツムギ)も心配から出た言葉、(じゃ)ろうて」


「そっか、そうだよね。ありがとうね」


「ああ……いえ」


「ところで、なんの話をしておったん(じゃ)っけ?」


「えっと、誰を次の跡継(あとつ)ぎにすべきだったかの継承問題(けいしょうもんだい)の話をしてませんでしたっけ?」


「えっ、それしてたのツムちゃんだけでしょ~。あははっ。えっと、ネズミの話じゃないの?」


「ああぁ。そう(じゃ)った。ネズミの嫁入りの話をしてたノ蛇(のじゃ)のぉ」


「そうでしたわね。でも、みなさんの聞いていた話ってけっこう違いましたのですわね」


「まぁ、それも個性なノ蛇(のじゃ)。だから、ここは最大公約数部分だけを取りあえず真実としておけばええノ蛇(のじゃ)ないだろうか。まぁ、途中からマルチスレッドになったと思えばいいのではないかのぉ」


「あはは。最後の最後に、よく分からない事を言うよね。ミサちゃんも。この場合は話がdiversity(ダイバシティ)を持っていたでいいんじゃないのかなぁ」


「台場シティ? ですの?」


「まぁ、深く考えるでないノ蛇(のじゃ)(ツムギ)。考えるん(じゃ)ない。感じるノ蛇(のじゃ)


「あははっ、ミサちゃん、なんか変なテンションになってる~」


「えっと、よく分からないですけど、結局は、この世界の属性表と、『ネズミの嫁入り』の一部が近いってことで良いのでしょうか?」


「そうなるのぉ。そんな話に纏まったノ蛇(のじゃ)


「おい、おまえら!! いい加減に寝ろ!」


「うわっ、ビックリした。オスカーさん!」


「お前ら、まえにも言っただろ。もう寝ろ。お前らが寝ないと……、姫様がこちらに混ざりたくて気になって眠れんのだ。姫様の健康管理も我々の仕事だ。だから、頼むからもう寝てくれ」


「「はーい」ノ蛇(のじゃ)


「オチ(())天丼ですわ」


西暦208年


長男 25歳

八男 13歳

丞相 53歳


(())(())(())()()田舎はいいぞ……そして、やさしい所だ』ってことが書きたかっただけなのに、話が膨れ上がりました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ