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第12話 異世界とは ~馬車の中での対話篇 『起』~

 ゴーレム馬車内の一室。

 二段ベッドのような、寝台列車の中のような様相の部屋であり、その室内で三人はパジャマに着替え、寝る前に語り合っていた。

操文(ミサヤ)さん……。ゴーストスライムが出て来て、鑑定と言うスキルを使った時のことなんですけど……」

 

(ツムギ)。改まって、どうしたノ蛇(のじゃ)?」


「あの時、全員の頭の中に、ゴーストスライムのステータスウィンドウが表示されましたわよね? それが、不思議で不思議で」


「不思議なのは、今に始まったこと(じゃ)なかろう、今までも、スカイツリーの展望台からこちらに来て以来、不思議だらけ(じゃ)と思うの蛇ガ(じゃが)


「そうなのですが、ステータスウィンドウが頭に開いた時に、それをとてもハッキリと感じてしまいまして……。なにか、とても不安になったといいますか……。操文(ミサヤ)さんや清銘(キヨメ)さんは、不安になったりしないのですか?」


「まぁ、確かに不思議、(じゃ)のぅ。ステータスウィンドウなんて、見えてるのに視界に無い(・・・・・)。不思議な状態なノ蛇(のじゃ)。ARとも、また違う。視界上(しかいじょう)にあるわけでは無いからのぉ。この状態を()いて説明するなら、見ることが出来る(見える)という感覚をさらに(プラスアルファで)付け足したようなモノ(じゃ)のぅ。それも脳に対して(じゃ)。これを、地球に戻って再現が出来たのなら、ひと財産が築けるぞえ。まぁ、で、清銘(キヨメ)はどう思うノ蛇(のじゃ)?」


「私も、不思議に思うよ~。でも、不安にはならないかなぁ。ツムちゃんもミサちゃんも(そば)にいるし、ジャクリーン姫も、オスカーさんも、サフィアーさんも、レベッカさんもポエタさんもセリエさんも、みんないい人で、とても安心してるよ~」


「そうですわねぇ、みんな本当に良い人ばかりで、なんというか……。確かに人間関係について(・・・・・・・・)は、こんな幸せでいいのかなぁって思っちゃいますわね」


(じゃ)な、確かに良い人たち(じゃ)。それで、ざっくりと思ったことを言うの蛇ガ(じゃが)、この頭の中にステータスウィンドウが開くという現象を異世界で無く、私ら(わらわら)のいた世界で同じことをしようとするの(じゃ)ったら、脳にチップを埋め込むくらしか、思いつかんのぅ。まぁ、仮に私ら(わらわら)の脳にチップが埋め込まれてたとしても、いきなり頭が爆発したりはせん(じゃ)ろう」


「ひっー」


「ちょっと、ツムちゃんいきなり抱き着いて来たら危ないって、前にも言ったじゃん。ミサちゃんもツムちゃんを怖がらせないでよ。今、このタイミングでそういう(・・・・)ことをそういう(・・・・)言い方で言ったら逆効果になるじゃん」


「すまんノ蛇(のじゃ)。ただ、そんなことは無いよと、大丈夫、(じゃ)よと、言いたかっただけなノ蛇(のじゃ)


「ミサちゃん、メッ」


「すまんノ蛇(のじゃ)。でも、チップと言うか、それっぽい物はあるかもしれんと思っておるのじゃ。前も言ったと思うが、わらわがこちらの世界に来てから、やたら勘が良くなったと感じるノ蛇(のじゃ)。というか、理由が分からんの蛇ガ(じゃが)、勘で真実が分かる感じがするん(じゃ)


「そうなのですか?」


「うむ。そうなノ蛇(のじゃ)。で(じゃ)、世界のそこら中に何か小さな(つぶ)というか粒子(りゅうし)が浮いているように感じるノ蛇(のじゃ)。町の教会に行った(とき)に、そこにいた見張りが小さい(ワシ)を切り殺した(じゃ)ろう。死体は別の物が方付けておったがの。そして、その切り殺したのをわらわは間近で見てたの蛇ガ(じゃが)、小さい(ワシ)から、黒い小さな粒子(りゅうし)()濃度(のうど)(まと)まって、切り殺した見張りの体の中に吸い込まれて行ったノ蛇(のじゃ)。それ以来かなりしっかり知覚できるようになったの蛇ガ(じゃが)、これは、なんというか、生きてる粒子(りゅうし)というか……、あえて言うならナノマシンのようなモノに感じるノ蛇(のじゃ)


「ナノマシン!ですか?」


ノ蛇(のじゃ)。実際わらわはナノマシンなんて見たことないノ蛇(のじゃ)けど、あれがそういうモノだという風に感じたノ蛇(のじゃ)。だから、さっき、脳にチップがあるという、表現を使ったノ蛇(のじゃ)。正確に言うなら、脳の中にナノマシンが入っている、なノ蛇(のじゃ)。黒い小さな粒子のナノマシン……黒歴史……」


「なるほどなのですわ……」


「まぁ、異世界、(じゃ)からのぉ。何でもありなのかもしれんのぉ」


「ですわねぇ。異世界……ですものね」


「だよねぇ……。でも、本当に、この『異世界』っていうかさぁ『世界』ってなんなんだろうね? うちらが元いた世界ってこっちから見たら『異世界』なんだよね? そもそも『世界』ってなんなのかなぁって思ってさ」


「それについて、わらわも考えていたことがあるの蛇ガ(じゃが)、あくまで仮説ではあるが、『異世界』がなんなのか……。そもそも異世界は神が作っておる。そのような場合もある。では、異世界を作り出すような、神を作ったモノ(・・)はなんなのか? について、考えることあってのう。まぁ、『神』が作れるなら、『世界』も作れるであろうから、『神』は必ずしも、今の話の流れでは必要無いかもしれん蛇ガ(じゃが)のぅ」


「世界を作ったどころか、神を作っただなんて、そのようなことを考えて良いのでしょうか? というか、多神教の神的(かみてき)な神なら、神が大本(おおもと)の神から作られる神話(しんわ)のような話は、ギリシアにしろ、ローマにしろ、日本にしろ、北欧にしろ、クトゥルフにしろ、ありますものね」


「ツムちゃんは歴史に詳しいだけじゃなくて、神話まで知ってるんだね」


「えへへ。お父さんから、色々教えてもらったのですわ~」


「奇遇っ(じゃ)なぁ、わらわもお父さんからいろいろ教わってるノ蛇(のじゃ)~~。で、コホンっ。で(じゃ)、この『世界』と言うのは、パラレルワールドのことでは無いかのぅ。パラレルワールドのことを説明するのに、分かり易い例があるの蛇ガ(じゃが)、二人はアニメは見るのかえ?」


(わたくし)は、まぁまぁ……見ておりますわ」


「私も、見るよ~。ネコバスのやつの監督さんのやつとか好きだよ。ほら日本の旅先がそれっぽいと安定するやつ。シカとか(いのしし)とか城とかが出てくるやつのこと。あと、有名なのでたくさんあるのも、1、2(イチニ)時間ずつくらい見るかな~。教養としてちゃんと知ってるよー」


「はて? 花札かのぉ? それに、教養?……ノ蛇(のじゃ)


1、2(イチニ)時間?? それは、全然見て無いのでは? 1クール見ないってことでしょうか?」


「1クールってなんのことだか分かんないけど、えっと、アニメっていうと、小分け(こわけ)になってる方でしょ? サブの運転手の栗石(くりーしー)さんからいろいろ教えてもらって、ピックアップして見てるけども。設定も栗石(くりーしー)さんからばっちり聞いているから覚えてるよ~。主人公がモガヘアーのやつ。モガヘアーは終戦直後で、世界観は戦前の昭和初期で、そのちぐはぐも楽しめて、それに日本の男尊女卑系の家族の()(ざま)を学べるやつとか。第二次ベビーブーム世代の私たちの親世代の、さらに上司がどういう学生時代を生きてるかを学べるやつとか。あ、あと、私あれ好きだな、青白い雪達磨(ゆきだるま)が、お腹からいろいろ出すやつ。えへへ、けっこう詳しいでしょ~」


「うっ運転手?? それもサブ? やっぱりの本物……、って、ツッコミどころ多すぎでどこから突っ込んでいいのか分からないですわ…………。運転者がいらっしゃるのですか?」


「うん、いるよ。栗石(くりーしー)さんは、サブだから、いつも助手席に座ってるよ。あまり、運転したことないなぁ。でも不思議なんだよね。学校とかで騒ぎがあると何故かいるんだよね。まぁ、それは関係ないから気にしないで」


「栗石さんとやらの、設定の説明が客観的過ぎるぞよ……。ふむぅ、あ、見てるのか。それ(・・)じゃ、その(・・)最後に言ったやつ(じゃ)清銘(キヨメ)もギリギリ見ててくれたおかげで説明が楽で助かったぞよ。その青ダヌキがお腹からいろいろ出す奴の話を知ってると、説明が楽になるの(じゃ)。おぬしらシンギュラリティって知っておるか?」


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