第10話 キャンピングキャッスル
クレッセントタウンの外へと移動する4人。
そこでは、サフィアーとジャクリーン王女が木剣を持ち、手合わせをしていた。
「おお、来たか、良し揃ったな。うむではさっそく出発をしよう」
オスカーは全員が揃ったことを確認した。
パンドラ村へと出発となり、ゴーレム馬車にメンバー全員が乗り込んだ。
オスカーは前方の個室を抜けて運転席へと向かう。
「すごいよ、ツムちゃん、ミサちゃんこのキャンピングカーってちゃんとシャワーがついてるよ。うーん、キャンピングカーっていうより、デラックスな寝台列車みたいだ。個室もあるしというより、もう、なんか動く家って感じかな、いや城って言った方がいいのか」
「ほんとすごいですわね。生活に必要な物が全部そろっておりますわね。キッチンも……。ありがたいですわね」
「すごいノ蛇、壁が内部から見ると透明になっている箇所がある……。いや、外から見たら石壁のまま蛇ったのぅ。マジックミラーなのであろうか? いや、むしろ有機ELに近いのやもしれん。これが中世世界のファンタジーに在って良いものなのであろうか……、いやこの世界は、私らの見方的に把握が出来てないだけで、中世とは言えんかも知れぬなぁ。進んでいるところは現代日本より進んでおる??」
「これは、神器なのじゃ」
「「「神器?」」」
「これはは王家に伝わる神器の一つでなぁ、今回のわらわの旅において使用を許可されたのじゃ。まぁ、父上の贔屓もあったかもしれんがのぉ」
「なるほどのぉ、ジャクリーン姫、この移動装置を道中に詳しく調べて見ても良いかのぅ? とても興味深いの蛇ガ」
ジャクリーン王女はちらりと、レベッカとセリエを見る。
「問題なかろう。パンドラとやらは辺境でも無いし、そこまで行くには、この人員で行くには、冒険としてなら、とても余剰戦力じゃ。なので、そなたの魔力を余らせる必要もなかろう、存分に調べてくれなのじゃ」
「うむ、分かったノ蛇」
「やっぱり、二人とも声も似てますし、これラジオドラマ化したらどっちが喋ってるのか聞き取り辛いかもしれませんわね」
「お前はいったい何をいってるんだ?」
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9人で、パンドラの村へと向かう旅は続く。
通常の馬車で10日ほど掛かる道のりを3日で行けるとのこと。
道中に魔物との遭遇はあるが、基本は無視だ。
ゴーレム馬車で突っ切る。
夜は、連続走行での操作不能状態の問題と、交通事故の問題で夜は止まって休息を取る計画に決定した。
夜の間は変形し地面から魔力を吸い取り、回復するという代物である。
他にも、自動でゴーレム馬車内に不必要な物を自動で輩出したりもするとのことだ。
そして、交通事故の問題とは、通常の馬車と接触事故を起こした場合、馬車に乗っている人間を轢き殺してしまうことを指す。
さらに、草丈が高い草原でモンスターと戦っている冒険者などがいたら、発見できずに弾いてしまう可能性があるからである。
電車、一車両分の以上の大きさ。
大型トレーラーよりさらに大きいゴーレム馬車。
さらに素材は重ための固い石でできている。
王宮ではそのように、神器の性能は伝わっている。
実際ゴーレム馬車を力で止められるのは、ドラゴン級のモンスターだけであろうとの話だ。
一日目の夜、いったん外に出て食事を取っている。
気分的には長時間バスに乗っていて、休憩でパーキングエリアのカフェで休んでいる状態に似ているだろう。
火魔法の得意な神殿騎士のセリエが火魔法を使い、散歩がてらに集めて来た枯れ木に火を付け、焚火を作りくつろいでいた。
「ジャクリーン姫、ちとまた聞きたいのだが、ふと思いついたノ蛇が、もしゴーレム馬車でモンスターを轢き殺したとして、経験値はいったいどうなるノ蛇?」
「分からんのうぅ。世界にたぶんモンスターを轢き殺せるゴーレム馬車なんて、これ一台しかないじゃろうからなぁ、そもそもゴーレム自体が数えるほどしか無いのじゃ。だから調べたことがあるものなぞいるのかのぉ」
「そもそもモンスターをやっつけて手に入る経験値的な物はあるのでしょうか? どうなのでしょうかレベッカさん」
紬がレベッカに話を振る
「経験値獲得補正のことよね? 強いモンスターと剣で戦ってダメージを与えると、剣技の熟練度が余分に上がると言われている。まぁ、強いモンスターにダメージ与えると体力も上がることがあるからそっちのことかしら?」
「そうなノ蛇。経験値はある。それは分かるノ蛇
十分に外の空気を吸ったあと、またゴーレム馬車の中に戻り、そして眠る。