第1話 THE GIRL MEETS GIRLS
◆東京スカイツリー 展望台
中学生の見学者の多い日の事であった。
何校もの学校行事が重なったのであろう。
そして、それぞれ違うブレザーの制服を着た女子中学生3人が、同じ場所から外に見える景色を見ていた。
「「「お父さん……」」行っちゃいやなノ蛇……」
「「「えっ」」」
展望台から窓の外の景色を見つめる3人の少女が、同じことを同時に呟いていた。
一人は語尾がちょっと違うけど。
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「そうなんだ……。ミサちゃんもツムちゃんも、ここがお父さんとの思い出の場所なんだ……」
そう発言したのは清銘だった。
偶然にも父を亡くした3人がここに集っていた。
3人の中学2年生の少女は、各々が修学旅行もしくは、空いた時間を思い出の場所で過ごす為、ここスカイツリーに来ていた。
たまたま同じリアルの呟きを同時にしたことをきっかけに、お互いの身の上話などを語りあっていた。
わずか、3、4分の間での出来事であったが、境遇が似ていた為か……すぐに打ち解けてしまった。
「まぁ、私たちの三人だけのとき、クラスの人とかいないときは、そういう喋り方でいいんじゃないの? ミサちゃんのお父さんが、その語尾も含めた喋り方を、好きだったんだよね?」
「うんなノ蛇」
同意して頷く加蛇場 操文。
「私もそれで良いと思うのかしら」
同じく同意する、安心院 紬。
「ツムちゃんの語尾もちょっと特殊かもだけど自然だね」
そんな偶然の集いの時間に、それは起きた。
地丹座 清銘は二人に自身のスマホでラインIDのQRコードを見せながら発言する。
「えっと、じゃぁこれが私のIDねっ……。よし、二人とも登録したね~♪。クラスメイトの人、待ちくたびれさせちゃってるね、ごめんちゃいだね。ん?……あれ、えっ? なに、これ? 地面が光ってる?」
「なんなノ蛇?」
「これはなんなのかしら?」
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白い部屋
そこには大きな獣がいた。
中空に枝が走り、それにぶら下がっていた。
「あっ、フタちゃんのでっかいやつだ」
地丹座 清銘は、その獣に対し指を指して叫ぶ。
「フタちゃん? 清銘さんフタちゃんってなんなのでしょうか?」
「フタちゃんはうちで飼っているナマケモノだよ。フタユビナマケモノのフタちゃん。可愛いよ」
「清銘さんってすごいペットをお飼いなのですわねぇ。ワシントン条約は大丈夫なのかしら?」
少女達が白い世界を気にもせず、ほのぼのと会話をしていると、割り込むようにその大きなナマケモノが語り掛けて来た。
「少女たちよ、すまない。この世界を救う為に貴方たちを召喚した。そしてスキルを与えた。ここに銅の剣と50ゴールドがある。これでこの世界を救ってくれ……伝説の……」
その大きなナマケモノは一方的に説明をした後、力尽きたかのように枝から手を離し、地面へとドサリと落ちる。
それを契機としてか、今、少女たちがいる白い世界が消えていく。
「えっ、あれ? 大丈夫?」
清銘が心配そうにナマケモノに語り掛ける。
「え、もう終わりかえ? いきなり白い部屋に、体の現在座標が勝手に動いて、大きな獣が出て来て、喋って、ビックリしている間に終わってしまったノ蛇」
ビックリしたように加蛇場 操文は呟く。
他の二人も茫然としているが、その白い部屋は消え去って行く。
「ティクティク動画並みの早さですわね……。若者向けですわね」
安心院 紬が呟く。
「「うん」なノ蛇」
「3人で一振りなのかしら?」
さらに困ったように紬が手にある銅の剣を見ながら途方に暮れたように周りに問う。
混乱してるのか、3人とも緊張感や焦燥感などはほとんど感じて無い。
視界がクリアーになって行く。
どうやら広場に出たようだ。
開けた場所であり、露店も出ている。
広場から広がる道のほうには建物も見える。
「馬車が走ってますの、中世風ですわ……やっぱり……」
感慨深げに言う紬。
「むおぅ! ナーロッp…………中世風、蛇のぅ」
ワクワクが隠し切れないが、ちょっと諦めが入ってる感じな風にも言う、操文。
「中世? 中世なのかここ? 日本で言うと、江戸時代みたいな感じかな?? あ、あの建物、オックスフォード大学っぽいなぁ」
なにやら、ぶつぶつ言う清銘。
「とっとりあえず、どうするべきかしら?」
「こういうときは、セオリーとして冒険者ギルドに行くべきなノ蛇。まぁ、セオリー通りなら絡まれる可能性もあるがのう」
「行ってみよう~」
言うが早いか、すぐに行動に出る、清銘。
「Hello excuse me…………~~~~」
その辺にいる人に清銘は尋ねまくり、すぐに冒険者ギルドがどこにあるかが分かる。
「向こうに冒険者ギルドがあるみたいだね。それにしても、日本語が通じるのが不思議だよね」
「古来より、そういうモノなノ蛇。そういう世界なノ蛇」
「そういうものなんだぁ」
「それにしても清銘さんって他人に接する時にも、物怖じしないタイプですわね。羨ましいですわ」
「そうかなぁ? 自分ではあまり考えたことないけど…… あっでも、ミサちゃんもそういうタイプなんじゃ?」
「え、わらわもそうなのかえ? そうなのかのぅ。ところで、清銘がそこらの人に話しかけてる時に感じたの蛇が、何か高貴な人を見る目で見られてる感じがしたのぅ。何故、蛇ろう」
「服装じゃないかしら? 周りの人たちの服装に比べて、私たちが着ている制服のブレザーってそれなりに整ってるのではないかしら?」
「なるほど。たぶんそうだね。よしとりあえず、冒険者ギルドにれっつごーだ」
締めくくるかのように、清銘が冒険者ギルドにへと向かうことを促す。
が、何かを思い出したかのように、操文がみんなを止める。
「そういえば、異世界に来たら、するべきセオリーがあるのを思い出したノ蛇」
「え? なに?」
「ステータスオープン!!なノ蛇」
あまり、小説を書くことに慣れてない一介のSE(いつ派遣切りに合うかわからない)が、皆さんの心が滅入る気持ちを少しでも減らせればと思い、小説を書くことにしました。拙い文章ですが楽しんでもらえるならば幸いです。
また、本作品は見切り発車な部分があります。
システムの仕組みが固まって無いのにアップし始めています。
まるで、設計書が出来て無いのに、開発を始めるようなものですよね……。
そんなんですが、よろしくお願いします。