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最終章 14 帝国城~ガイン~

出来ました。


遅くなってすみません。

今年、初、間違って全消しやってしまいました。

あとテンション駄々下がり。


あ、遅くなりましたが……

この作品では、今年初ですね。

あけましておめでとうございます。

よろしくお願いします。


タイトルでもありますが、ガイン中心の話です。



「……着いたか?

 っ……何だ、これは?」

 帝国傭兵ギルドに転移したガインは、辺り一面に倒れている人族に驚き、後ろに足を少し下げる。

 下げた足元にも、人族が倒れていて躓き、なんとかバランスを保ち立つ事が出来た。


 もう一度、辺りを見渡し、ここで戦闘が行われていた事に気づく。

 そう思えば、建物の陰となる場所にて戦闘音が聞こえる。


 ガインは、足元を注意しながら、そちらに向かう。


 姿を確認した時、戦闘は終わった様で、勝ち残った人物も、こちらに気づき振り向いた。


 振り向いた人物、ギバはガインの姿を確認し息をはき、荒ぶれた気を静ませた。


「……ガイン、来たのか?」


「ああ、サウルも終息したんでな。

 応援に駆けつけたのだが……ここは、終わった様だな?」


「まぁな……だったら、ここはいいから行きな。

 ……悪いが俺は、ちょっと休ませてもらう」

 ギバは、今も肩と腹から血を流し、目眩を起こし膝をつく。


「大丈夫か?」


「ああ、これぐらいなら……な?

 しかし戦っていて気づいたが……一度倒れた奴等は、ほとんど二度と起き上がってこれない程、弱っていたみたいだ」

 特に酷い腹の傷に手を当て、光魔法〈治癒〉にて傷を癒していく。

 治癒魔法は苦手だが、背にも変えれずゆっくりとやれば、血は治まるだろう。


「サウルでも、そうだった。

 で、なくては、万を越える戦力に、少数で勝てる訳がない。

 明らかに、人族は弱っていた……兵士も一般人もだ」


「だな……それにしても、最後の奴等はなかなか強かったぞ。

 お陰でこのザマだ……まるで美しい舞踊を踊っている様な双剣の女に、ザーツには劣るが無駄の無い剣を使う男、他には、お前の嫁さんみたいに風の刃を飛ばす剣士もいたな?

 ヘタをすれば、俺は負けていたかもな?

 でも、ま……久々の全力だ。

 殺さない様にするのは、骨がおれたが……楽しかったな」

 ギバは、ニヤリと笑う。


「そうか……それはよかった。

 俺は帝国城に向かう……あんたも、気をつけろよ。

 じゃあな」

 ガインは、かなりの範囲で倒れている人族を面倒臭がり!傭兵ギルドの屋根まで飛び、帝国城に向かった。


 屋根から屋根へ飛び続け、やがて帝国城の城門が見えてくる。


 目算でも最後の屋根から城門まで、約十五メトル。


 流石のガインでも、それを飛び乗るには、ギリギリだった。


 ガインは自分の考えを苦笑う。


 何故、城門を飛び乗らなくてはならない?


 ガインがとった行動は、更に屋根を飛び走る速度を上げ、全力で最後の屋根を踏みきり、空高く飛び、城門の上部を蹴り砕いた。


 もし、蹴り破けなくとも、そこから登り、城内に入ればいいだけだ。


 結果、上部の幅、二メトルを蹴り砕き、城内庭園に瓦礫とともに落ち着地した。


「上手くいった……な」

 ガインは一部えぐれた城壁を見て呟き、ゆっくりと立ち上がると。


 ーーゴゴゴゴゴゴ

 城壁は揺れ、大地も震える。


「…………ゴゴゴオオオおおおぉぉぉ」

 揺れる城門の音は、やがて人の声に変わり、城壁全域に人の姿が浮かび上がり、姿は段々と小さくなって左肩を押さえたまま落ちた。


「何故だ…………何故、貴様は城門を潜らず、城壁を蹴り砕き、城内に入る?」

 左肩に無属性〈鎮痛〉をかけ、ゆっくり立ち、行動の読めないガインに無性に腹が立ち、怒り散らす。


「どこから入ろうが俺の勝手だ……別にいいだろ?

 お前の思う通りに入る道理はない。

 ところで、お前は誰だ?

 匂いは……天使に近い、か?」


「天使ごときと同じと思うなよ……そうだ、私こそ、土の神霊ウリエル。

 何故、貴様ごときが、私の策にかからぬのが、訳がわからない」


「だから、知らねぇって。

 お前が、どれだけ知恵がまわるのか、どうか。

 ……ちなみに、俺が普通に城門を通っていた場合、どうなっていた?」


「今になっては無意味だな……いいだろう、教えてやる。

 城門を通り過ぎた瞬間、地面が消失し、地下百メトルを越える場所に埋められ、姿を消していただろう」

 自慢そうに胸を張り、ウリエルは笑う。


「……それは確かに落ちたくないな。

 他は?

 他の所には、罠はないのか?」


「……ないな」


「……」


「……」


「……お前、馬鹿だろう」


「なっ?

 貴様、何を……この私が馬鹿だと?

 ……勇者といい、貴様といい、私を馬鹿だ馬鹿だと言いおって」


「勇者にも言われたのか」

 憤慨するウリエルの態度を見て、ガインは納得する。


「ああ、そうだ!

 はじめは創造神様の力を得て、従うに値する者かと思えば、所詮は人族よ。

 ルシファーや、ミカエルが見限るのも当たり前だったわ。

 あの愚か者は、創造神様ではない……そう思えばなんと自由か?」


「はぁ……もういい。

 お前という奴は、わかった」

 深いため息をはき、ウリエルの性格を読みきり、これ以上の対話は無駄と知った。


「貴様……貴様っ?

 なんだそのため息は?

 もう……いい、貴様は、もう許さん」

 ウリエルは杖を構え、ぶつぶつと呪文の唱え、ウリエルの背後空中に城壁の破片や、庭園の土が集まっていく。


「喰らえ!」

 土石の塊はガインを呑み込む事が出来るぐらい大きな蛇の型になり、ガインに向かってとき放つ。


 ガインは、アイテムボックスから長さ三メトルもある戦斧を取り出し、大きく後ろに飛び移動し、戦斧槍……三メトルの槍の刃先の横、大きな羽の様に広がった両斧の刃……を肩に担ぐように構え、右足を前に大きく踏み込み、迫ってくる土石の蛇に、戦斧槍を振り下ろす。


 三年前に、武闘大会でリシェルが本戦に上がる為の予選で使用した風の刃を乗せた槍棍術〈風刃・大切断〉


 それをガインは戦斧槍で使用した。


 土石の蛇は顔にあたる部分を半分に断たれ、続く波うつ蛇腹を幾数と分かれ、更にウリエルが立つ場所も越え、城壁まで切り跡を残した。


 切断された土石の蛇は風の刃の進む威力に飲まれ、風の刃を避けて安心しているウリエルに、向かって飛んでいく。


「うおおおおおおっ?」

 慌てて蛇の術を解くが、元は城壁の破片に、庭園の土。

 実際にある物質を消す事は出来ず、ウリエルはそれらに巻き込まれ、城壁まで叩きつけられる。


「……ほら、馬鹿だ」

 ガインは後ろを向く。


 しばらくして、転移で脱出したウリエルは、更にボロボロ、肩で息をしている。


「自分の術で、最終的にそこまでボロボロになる奴は、そういない。

 俺は術を返しただけだ。

 まあ、倍返し以上かもしれんが、な」


「くそっ、くそっ、くそっ、くそーーーーー!」

 言葉だけでなく、得意の術まで返されたウリエルのプライドは、身体だけでなくボロボロだ。


「うるさい」

 ガインは、瞬歩でウリエルに詰めより、もう見たくないという様に、戦斧槍を振り下ろした。


 防御も、全て関係なく、ウリエルは両断され、ウリエルは死滅した。


「ふう」

 息をはき、ガインは戦斧槍を、一振りし着いた血等を振り払い、ボックスに直した。


 肉片の塊となったウリエルは、土にかえる様に崩れ、残ったのは土の神霊核だけだった。


「何だこれ?」

 掴んだ神霊核を満遍なく見る。


「……何か、嫌な気持ちになるな?

 そうか……前に見た、天使の塊に似ているのか。

 じゃあ、このまま、握り潰すか?」

 掴んだ手に力を入れる。


『待て、ガイン』

 それを止めたのは、ガインが契約している大悪魔マモン。


「……珍しいな?

 お前が、俺に声をかけるなんて?

 契約した初めの頃ぐらいに記憶しているんだが」

 正に握り潰そうとした時、聞いた声は一瞬わからなかった。


『俺もこちらでは忙しいのでな……お前の事は常にあったが、特にお前に問題があった訳ではないのでな。

 つい、声をかけそびれた』


「つい、って五十年以上も、つい、というのか?」


『まあ、そういうな……お前だって、同じ状況なら、同じ事をするだろ?』

 くっくっ、と笑う声が、ガインの頭で聞こえる。


「そう言われるとな。

 ……それはそうと、何故止めた?」


『ん?

 ……ああ、それか。

 こっちで、他の奴等にお前の息子が集めているらしいってな』


「息子?

 ……どっち……いや、ライの方か?

 そういう訳のわからない事してるのは」


『正解だ。

 訳は知らんがな』


「そういう事なら……持っておくか」

 神霊核をボックスに入れる。


『俺の力はいつでも貸してやる。

 遠慮せず、どんどん使え……じゃあな、頑張れよ』

 ガインの頭の中、最後にそう言ってマモンの気配が消えた。


「使いところが、難しいんだよ……お前の力は」

 そう呟いて、ガインは城の入り口に向かう。


「……流石に、もう罠を仕掛ける奴はいないと思うが」

 どこから入るか悩んだガインは、とりあえず城門から続く道を歩き、正面から入る事にした。


 入り口が見えた辺りで、庭園の反対側からライと見覚えのない男と、神霊がこちらに向かってきた。



「父ちゃん、来たのか?」


「まあな……ところで後ろの奴等は?」


「うん……元?

 帝国の王様と、守護の神霊」


「……へえ

 お前は、何で向こうから来たんだ?

 いや、ここで話し込んでも仕方ないか……とりあえず、行くぞ」

 ガインは、もともと向かっていた城に入る入り口に向かった。



 城に入り、ライはキョロキョロする。


「やっぱり、結界が消えてる?

 ミカエル……どう思う?」


「そうですね。

 ウリエルが、私達を誘き寄せる為、結界を解いたか、それとも?」

 ミカエルでも、真意がわからないらしい。


「あー、それなんだが」

 見かねたガインが説明しようと話かける。


「あっ?

 リシェルの気配を感じた!

 ……父ちゃん、何か言ったか?」


「……いや、いい。

 確かにザーツや、魔王の気配もするな……あっちだな」

 完全にタイミングを外したガインは、ライに合わせ、先に進む事に決めた。


『……よかったのですか?』

 ミカエルが、ガインに話かける。


「何がだ?」


『いえ、何か話そうとしてらっしゃたので』


「まあな、でも、今でなくてもいいだろうと思ってな」


『そう、ですか?』

 ミカエルは首を傾げる。


「先に進む事も大切だからな」


 気配を頼りに先を進み、ライ達はその部屋の扉に手をかけた。


今回もブクマ登録ありがとうございました。


今年度もよろしくお願いします。


マス シゲナ

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