表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/85

最終章 11 帝国城~事情~

出来ました。

ブクマ登録、ありがとうございます。


私の、別の作品、『特殊能力:カード』もよろしくお願いします。


 帝国城に入り、ミーザ達は迷っていた。


 勇者による結界が城の中に入った途端、結界は迷路化し、城内を駆け巡っていた。


「……何時になったら、ここを出られる?」

 ミーザは、なかなか脱け出せない迷路に苛立っていた。


「ザーツ、いっそのこと魔力で破壊してやろうか!」


「落ち着け、ミーザ。

 無理を通しても、勇者の事だ……何らかの罠が待ち構えている筈だ。

 ……それに、入って一時間か?

 そろそろ、何かがあるみたいだそ?」

 ザーツは、口角を上げながら、前方に見える扉に指をさす。


「……今までだって、扉はあったじゃないか」


「そう、拗ねるな……リシェル、どう思う?」

 黙って扉を見ていた、リシェルに、ザーツは声をかけた。


「うん……おとうさんの言う通りかも?

 少しだけど、気配が違う感じがする」


「という事だ……ミーザ。

 とりあえず、行ってみるか?

 さーて、と……何が出るかな」

 三人は、扉に向かい歩き出す。




 少し前、ミーザ達が城に入って、しばらくの事だった。


 ミーザ達が結界の迷路を走る姿を写し出した、映像を見ている水の神霊ガブリエル、土の神霊ウリエル、そして玉座に座る勇者アベル・ノーマン。


「どうやら、奴等は結界に入った様だな」

 ウリエルが、映像を見ながら肩をふるわし、笑いをこらえている。


 結界を張ったのは勇者だと思っていたミーザ達。

 実は、魔術師であった依り代の性格が、罠や、策略を仕掛け相手をはめる戦術を好むもので、三年の時で、写り混ったウリエルだった。


「……ふん」

 ガブリエルは振り返り、勇者の下に向かう。


「どうした?

 どこへ行くのだ……もう、見ないのか?」

 罠にはまった魔王達に、気をよくしているウリエルは、この功績をもっと見せつけたく、ガブリエルに声をかけた。


「ふん……貴様の策略がはまれば、それでいいさ。

 だが、私は、貴様の策略程度、奴等に上手くいくとは思っておらんさ。

 それに、私は、私でやりたい事がある」


「……ふん、それこそ笑止。

 幾度と足を運んでも、アヤツは承諾せん。

 無駄な努力だというんだ」

 ウリエルは、もうガブリエルを見ず、映像を見る事に集中する。


「……わかっているさ。

 だが……私は、諦める事が出来ないだけだ」

 勇者の下にたどり着き、膝をつき、その場を離れる事に頭を下げた。


「アベル様」


「……好きにするがいい」

 勇者は、ガブリエルを興味なく見定め、好きにさせた。


「ありがとうございます」

 そう言って立ち上がり、ガブリエルはある所に転移した。


「それで

 ……お前は、この後、どうするつもりだ?」

 勇者は、ウリエルに問う。


「はい、アベル様。

 我が策略により、魔王一派は罠に落ち、確実に戦力を落とすでしょう」

 ウリエルは、映像に手を差し伸べ、自慢高々しく答えた。


「……お前は、馬鹿か?」


「は?

 いえ……あの?」

 ウリエルは、勇者の心意がわからず、うろたえる。


「正真正銘の馬鹿、か……俺は、お前は、いつ、場所を離れ、敵を向かい撃つと言っている」

 明らかに、ゴミを見る目で、つまらなそうに勇者は言う。


「しかし……ラファエルが敗れ、さきほどガブリエルもこの場を離れ、今、ここに残って、アベル様をお守り出来るのは、我だけでございます」


「だから、何だ?

 俺より、数段以上弱い、お前が、俺を守ると?」


「いや……その、それは……」


「策だの、何だの……お前が、ここにいれば、奴等を確実に倒せるというのか?」


「そっ……それは……」


「ならば……行けっ!」


「っ!

 はっ!」

 ウリエルは、一礼をして転移した。


「……」

 帝国城、謁見の間には、静寂だけが残った。



「……いるんだろ?

 出てこいよ」

 静寂を打ち破ったのは、玉座に座る勇者アベル。


「……バレていましたか」

 勇者の声に返答があり、天井から薄青い半透明の粘液が、ぼとっ、と落ち、姿を現したスライムが、人の形にまとまり、完全な人の姿に変わった。


 帝国に着き、しばらくして姿を消した魔族。

 六魔将、五席、〈変幻妖〉スラン。


 スランがとった人の姿。

 三年前、勇者アベルが失策し、永遠に失った愛しの恋人、リアだった。


「その姿……そうか。

 お前、あの時のスライムか……何故、リアの姿をとる?」

 アベルは、ゆっくりと魔力を解放する。

 苛立ちと、怒り、憎しみを込めて。


「私は、スラン……勇者アベル、君の下に、私の分身を送っておいたでしょう?

 役にたったかな?」

 スランは、勇者の魔力を微塵も気にせず、笑いかける。


 あの、優しいリアの笑顔で……


「その、顔を、やめろ!

 お前が、リアの姿をとるんじゃない!」

 更に増した、勇者の魔力は空気を、謁見の間を、帝国城を揺らす。


「……君は、勘違いをしている。

 私の、この姿……リアの姿は、君が、三年前に望んだ事。

 ただし、精神は完全ではないけどね」


「……どういう、意味だ?」

 アベルは、話を聞く事にしたのか、魔力の解放をやめ、問い質す。


「君は、三年前、封印していたスランを解放し、リアの魔法という呪いで操ろうとした。

 ……ここでも、君は、失敗した。

 リアを、スランの中で完全に溶かしきれば、君の望みはかなった。

 だけど、君は、リアを思い、スランの中からリアを取り出した。

 その為、君は、リアの死なせてしまった。

 君は、リアを失った後、その場を離れたから、知らないでしょうけど。

 半分溶けたリアは、痛みと苦しみと悲しみを、スランの心に写し、呪いとなり、魔王城にいた、もう片方の正なるスランと戦い、1つとなり、今のとなった。

 ……私は、魔族、六魔将の一人、スランにして、かつて、君の恋人だったリアでもある」


「……馬鹿な?」

 アベルは、スラン=リアの話を聞き、信じきれない、驚愕の顔をする。


「嘘じゃないよ……完全に、リアが溶けて一つになっていたら、はスライムとリアの能力、魔力、知力を合わせ、君の力になった……んだろうね?

 今じゃ、結果はわからずしまい、だけど」


「そうか……そう、だったか……。

 それで?

 お前は、何をしたかったのだ?

 三年前のある日、俺の下に分身を送ってきて、魔族の情報を流したりしてな?」


「私も、よくわかっていない……かな?

 私は、リアでもあるから、君の力になりたかったのもある。

 でも、スランでもあるから、こちらの情報も向こうに流し、魔王ミーザと、ザーツに、私の現状を話した。

 まあ、魔王ミーザには、その場で殺されそうになったけどね。

 だから、こちらに私が来る事が決まった時、二人に、先にここに来て、君と話す事にしたんだ。

 ……が、誰なのか……それを知りたいのはっ、私なんだっ!

 君のせいで!

 お前のせいで!

 アベルのせいで!

 私は……私は、わからなくなったんだ!」

 スラン=リアは混乱の激情の涙を流す。


「リア……」

 アベルは、玉座から立ち上がり、スラン=リアを抱き締める。


「アベル……一度だけ、リアとして、ここに来る魔王は、私がくい止める。

 アベルは、ザーツと、アベル最大の敵、リシェルと戦って」


「わかった……ごめん……リア、ありがとう」

 この、わずかな時間、アベルは、リアと過ごした優しい勇者アベルに戻っていた。


 そして、全てを終わらし、この世界を完全に消滅させ、殺した人族、魔族、神霊の恨みと無念の力と魂を、自分に取り込み、この世界をもて遊んだ神々を殺す事を、改めて心に誓った。


今回、スランのセリフが、私、私とわかりにくかもしれませんが、これも私の演出だと思ってください。

よろしくお願いします。

私は、ふつうに、私。

ルビ打ちの私は、そのまま。

傍点の私は、どっちが本当の自分がわからない、私。


君のせいで→スラン=リア

お前のせいで→スラン

アベルのせいで→リア

としての、それぞれの勇者呼び。

不安定のスラン=リアのセリフ。


な、感じでお願いします。


なんとか、話の着地地点が見えて来ました。

後は、文章に出来るか、どうかです。

頑張ります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ