最終章 10 帝国……ライ 対 神霊ラファエル
出来ました。
私の体調不良の為、遅くなり、また、とても短い話となりました。
とりあえず、ここまでで投稿します。
申し訳ございません。
ブクマ登録、ありがとうございました。
「……良かった。
なんとか、帝国に着けたみたいだよ?
……でも」
辺りを見渡し、帝国に着けた事で、リシェルは安堵して深くため息をはいた。
今回の転移は、ザーツ達が帝国に来た事がない為、リシェルが、一時期帝国のギルドで傭兵として行動していた事もあり、転移はリシェルが行う事になった。
一応、リシェルも、時おり何度か転移を繰り返し試していたが、戦争という事で、勇者からなんらかの妨害があるかと危惧し、無事に転移出来た事で安堵したが、待ち伏せという形をとっていたようだ。
「ああ、そうみたいだな」
ザーツは、勿論、ここに来た者、全員が気づいており、円になる様に背中を向け、警戒する。
帝国、傭兵ギルドは大通り交差点の一角に構えた場所にある。
警戒するザーツ達を囲む様に、建物の陰から、中からと武装した者達が、大通りを埋め尽くす程に集まった。
……その数、約三千人程か?
「やっぱり、いたな?
……魔王様。
ここは俺に任せて貰おうか」
ギバが、肩を回しながら言う。
「……いいのか?
全員であたった方が、無難だが?」
「いや、こんな有象無象の相手をして時間をかけるより、ここは少しでも、早く城に着いて、勇者と対峙した方が良いだろ?」
「確かに、そうだが……頼めるのか?」
「俺から言い出した事だ、任せろ」
「そうか……では、ここはギバに任せ、私達は帝国城に向かう。
……皆、行くぞ!」
ミーザの号令の元に、ギバを残して全員駆け出す。
勿論、行かせはしないと群がって来るが、各自、倒して行き、包囲網を突破していく。
「よし、てめえら?
俺が相手になってやるよ」
見送ったギバは構え、身体を魔力で強化し、ミーザ達が向かい、空いた場所を埋め追いかけようとする者達を減らす為倒していく。
ギバは、魔法と合わせた大技を使わず、獣魔族に伝わる格闘術で、殴る蹴ると倒していった。
「……ねえ、おとうさん、おかあさん、スランさんがいないよ?」
包囲網を抜けたミーザ達、全員いるかと、リシェルが走りながらも、辺りを見渡したが、スランはいなくなり、そう告げた。
「……そうか」
ザーツは、リシェルの言葉を聞き頷く。
「ミーザ」
「ああ、分かっている……リシェル、スランの事は気にしなくていい。
今ここで、とまる訳にはいかない、私達だけでも先に向かう」
「……うん、分かった」
リシェルは、ザーツ達の反応にいぶしがるが、ついていく。
「むっ!
皆、避けろ!」
大通りを走り、帝都の街と、城を遮る城門が見えてきたところで、空から多量の矢が降りそそぐ。
「誰だ?」
皆、避けるなり、捌くなりとかわし、矢が放たれた地点を見た。
城門の上辺、物見の陰から現れたのは、自分の背丈より大きな弓を持つ女性だった。
「あれは……その気配、天使?
いや、神霊か?」
ザーツは、女狩人を見て、そう判断した。
「我は、勇者アベル様に絶対なる忠誠を誓う、風の神霊ラファエル。
貴様達には、ここで死んでもらう」
ラファエルは名乗り、再び、矢をつぐ。
「魔王様?
今度は、俺が残って、アレの相手していいか?」
ライが、相手を睨み、手に雷を溜めながら、問う。
「ライが、か?」
「うん、そう。
サマエルがさ……アイツの神霊核を、というか?
残りの神霊もらしいけど、神霊が神霊である為の、神霊核を集めたいらしくて、言ってくるんだよね?
神霊を殺して神霊核を集めろって……ちなみに、神霊が融合した人物は剥がす事出来ないらしいよ。
……だろ?
リシェル」
やはり神霊ラファエルから目を離さず、リシェルに確認する。
「……うん、無理、だね。
私も、ルシファーと融合しているから言えるけど、向こうも、肉体も、魂も、完全に融合しているはず」
「そうか」
「それと、私は意気投合で融合しているけど、あっちは支配だから」
「尚更、無理か……なるほどな。
分かった。
ライ、他の神霊からも、神霊核というのを回収すればいいのか?」
リシェルの言葉に納得し、ミーザはライに確認をとる。
「うん、神霊を倒し、肉体を滅ぼしたら、神霊核が出てくるらしい。
『神霊核を壊さない限り、神霊は消滅しない。
新たな肉体を手にするか、肉体を作り直せるまで休息し復活するしかない』、んだって。
それと『もし、勇者が神霊核を回収し取り込んだら、創造神の力を増幅出来るらしい。
だから、そうならない為にも、こっちで回収したい。
それに、使い道もある』と言ってる」
「それも、サマエルが?」
「うん、そう」
「……サマエルが、何を企んでいるか知らんが、ライ?」
「ん?」
「お前に、任せていいのか?」
「勿論!
それに、直ぐ追いかけるよ」
「分かった、ザーツ、リシェル」
頷き、ミーザは二人を見る。
「ああ、行こう……ライ、頼んだ!」
「ライ、気をつけて」
ミーザ達は、全開に開いている城門に向かい、再び走り出す。
「よっしゃあ!」
ライは、更に魔力を溜め、気合いをいれた。
「させるか!」
ラファエルは、標準を走るミーザ達に向け、力を解放し、矢を放つ。
放った矢は一本だが、弓から離れた矢は、先ほどと同じく、幾多の矢に分裂し、実体の矢なりミーザ達に降りそそぐ。
この技は、今、サウルの街の外で、攻防中のランが得意とする弓術を真似、身につけた技術だった。
故に、ライは即座に気づき……。
「そんな人真似で、やらせるかってんだ!」
ライは、両手に溜めた雷を矢に向け、全ての矢を撃ち落とす。
その間に、ミーザ達は城門を抜け、城に向かった。
「やってくれたな?
……せめてもの、貴様だけでも殺す」
怒気を隠さず、城門から飛び降り、ライを睨む、ラファエル。
「……はー、しかし、短気だね~?
もしかして……勇者と何かあった?」
ライは、ラファエルが単独で来た事、何かに焦っている事に気づき、ラファエルに尋ねた。
「……貴様、許さぬ!」
「何、当り?
へぇー、何があったのか、教えてくんない?」
「死ね!」
「問答無用、か。
仕方ない……終わらせるか」
ラファエルは、幾度となく矢を放つ。
ため息をはくライは、矢を手に持つ棍で弾き、距離を詰めながら歩く。
「何故……何故、当たらん?」
「単に、あんたが、ランねぇちゃんより、遅いだけだ」
ライと、ラファエルとの間、残り五メトル。
その時点、一瞬で、ライは姿を消し、ラファエルは見失った。
「どこだ?」
「ここだ」
ラファエルの後ろに立ち、ライは既に取り出し、持っていた棍に魔力を通しており、母ラーシャ直伝、風刃で、ラファエルの首を落とし、返す棍を突きだし心臓を突き潰した。
「あんた、その身体の持ち主に融合して、矢の練習してたか?
持ち主の技量に胡座組んで、サボってたんじゃね?
魔力通しとか、大した事なかったしな……ま、こっちは楽で良かったよ。
しかし、報われないな」
身体を奪われた女性を思い、ライはため息をはいた。
首と胸から血を噴き出し、地面に倒れ、死んだラファエルから、淡く輝く透明な玉、神霊核が浮き出し、ライは素早く回収した。
「これで良し!
んじゃ、行くか」
ライは、何とも無かったかの如く、城に向かい走り出した。
いつも、読んで頂きありがとうございます。
最終章……ああ書けばとか、こう書けばとか、先に進むにつれ、とても難しいです。
あと、年末、する事が多く、体調不良となり、途中で寝落ちする悪循環。
それでも、頑張りますので今まで読んで頂いている方達、見捨てないでください。
これからもよろしくお願いします。
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