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最終章 8 続、各々、戦場に向かう!

出来ました。

読んで頂いている方、大変お待たせしました。

日々の疲れが出て、筆と言いますか、スマホなんですけど、持っては落としの意識が持てなくて、遅くなりました。


11月23日、15~19話を、スペース、改行、変更しました。


では、どうぞm(。≧Д≦。)m

「さて、私達も向かうとするか」

 魔王ミーザは、ガイ達がアミルの転移でサウルに向かったのを確認した後、ザーツ、リシェル、ライ、スランをそれぞれの目を見て言う。


「あっ……と」

 そこで決意を挫くような声があがった。


「ん?」

 声が聞こえた方に向くと、六魔将のギバが気まずそうにしていた。


「どうした?

 ギバ……何かあったか?」

 ミーザは、ギバに問う。


「あー、いや、何でもない。

 すまない、魔王様。

 こっちは任せろ」

 頭を掻きながら、ギバは言う。


「……言いたい事は、ハッキリと言ったらどうだ?

 ギバ……お前らしくない」

 ザーツは、ギバに対しそう告げる。

 ギバは、ザーツを見て回りを見渡すと、皆その様に言いたそうな顔をしている。


「う、うむ……そ、そう、だな。

 その通りだ……魔王様。

 俺も、帝国に行くのを同行したいと思っている。

 駄目だろうか?」

「ギバがか?

 ふむ……そうだな?

 いいかもな……ザーツ、どう思う?」

 ギバの申し出に、ミーザは賛同するが、他の意見を求めた。


「そうだな。

 こっちは、守りにダグドの部隊と妖魔部隊。

 後方として、ザンバインの魔法部隊に、前方のオズマのおっさんに、ギバの部隊と」

「ぼくもいるよ~!」

 ザーツが考えをのべると、アルテが手をあげながら主張する。


「そうだな。

 アルテもいる……確かにギバの戦力は計り知れないが、こっちにまわってくれるなら助かるし、頼りになる」

 そんなアルテに微笑みながら、ザーツは、この三年間で成長したアルテを見た。


 獣魔族らしく、リシェルより歳下ながら身長が伸び、それにともなうしなやかな肉体、身体を覆う軽鎧に、両腕両足に装着している青く輝く手甲脚甲。

 かつて、アルテの父親ガルテが使用していた防具を、ギバからアルテに渡され、身体の大きさが違う為、ザーツが改良し、またどれだけアルテが成長しようともサイズが合うようにしていた。

 白狼族のアルテの白に、青く輝く軽鎧は、アルテの容姿を何倍にも引き上げていた。


「他の者達も、異存は無いないみたいだな?

 では、ギバも、私達とともに帝国に向かう事にする」


 ……どうやら、ザーツが、アルテの成長を改めて見つめていた間に、ギバは帝国に行く事になったみたいだ。

 話が終わって、リシェルがこちらに来た。


「おとうさん、アルテ、決まったよ」

「そうみたいだな」

 リシェルは、そう言いながらもアルテに、しばしの別れと無事を望み抱き締めて離れた。


「リシェルねぇ」

「アルテ、無茶しちゃ駄目だよ?」

「うん……でも、リシェルねぇのほうが大変だよ?」

「あはは、そうだった」

 リシェルは、アルテの気づかいが嬉しく、もう一度抱き締めた。


 ザーツは、まわりを見渡すと、リシェル達の様に、馴染みのある者達同士、励ましあい別れをおしんでいた。


 そこへ、リシェル達のもとに、実の姉であるルリと夫であるウォルドが来て、二人に笑顔で近づく。


「リシェル、アルテ。

 二人とも相変わらず仲が良いわね」

「おねえちゃん」

「ルリねぇ」

「うん、あー、も~、本当!

 二人とも可愛いわー」

「ルリ……心の声が漏れてるよ」

 抱き締めあっている妹達を見て、ルリが普段ではあり得ない顔で、二人ごと抱き締め、可愛がって言う言葉に、ウォルドが注意する。


 ザーツが三年前の会議で、アルテを家族として迎い入れ、のちに、天使を取り除いた際に傷ついた魂が回復し、目覚めたルリ達に紹介され、アルテは新たな家族が増え、幸せの三年間だった。


「……おねえちゃん」

「ルリ……ねぇ、くるしい」

 リシェルに抱き締められ、更に上からルリに抱き締め押さえられて、アルテは息が出来なかった。


「アルテ、大丈夫?

 ……もう、おねえちゃんたら」

 アルテの背中を擦りながら、リシェルはルリに注意した。


「ごめん、ごめん。

 可愛いかったから、つい……大丈夫、アルテ?」

「……うん、大丈夫」

 笑いごまかしながらルリは謝り、アルテを心配し、アルテは深呼吸を繰り返しながら落ちついた。


「リシェル、無茶……するなとは言わない。

 出来ない相手だしね。

 でも、気をつけて、ぜったい帰って来て。

 もう一度、その顔を見せて……お願い」

 リシェルの両手を握り、額をあて離し、ルリはリシェルの目を見つめて懇願した。


「おねえちゃん」

「そうだよ、リシェルねぇ。

 ザーツとうさまと、ミーザかあさまと一緒に、帰って来て」

 ルリが握っているリシェルの手に、アルテもあてリシェルに戻って来るように願った。


「アルテ……うん、ぜったい戻って来るから!

 ねっ?

 おとうさん」

「ああ、勿論だ……アルテ、ルリも……ここに来る数は多い。

 アルテは、まわりを良くみて戦え。

 ルリは、娘が出来たんだ……親として、ウォルドとともに必ず生き残れ。

 これから、子供は可愛い盛りだぞ」

 ザーツは、リシェルの言葉に頷き、アルテ、ルリ、ウォルドを励ます。

 そう、今、ウォルドの腕の中に一年前に産まれた女の子、リリーが抱っこされ、すやすやと眠っている。


「はい、ザーツさん。

 ありがとうございます。

 もちろん、この戦い勝ち残って、リリーを可愛いがります。

 ……リシェルを、可愛いがる事出来なかったぶん、二倍、いえ、それ以上に大切に育てるんだから」

「おねえちゃん」

「だからって、リシェルを可愛いがらない訳じゃないわ!

 だから必ず帰って来て、リシェル」

「うん、おねえちゃん。

 私も、帰って来たら、リリーを可愛いがらせてね?」

「もちろんよ」

 リシェルと、ルリは笑いあう。


「ぼくも!

 ぼくも、リリー、可愛いがる!」

 アルテは、手をあげながら宣言した。


「どうだ?

 挨拶出来て、覚悟出来たか?」

 違う場所で、声をかけ、他の者を励まし、激励をしていたミーザが、リシェルのもう片方の両親、ラカールとリサを連れ、こちらに来た。


「ルリ、リシェル。

 私達は、この後避難場に行くよ。

 二人とも、無事を祈る。

 だから、もう一度、その顔を見せておくれ?」

「そうです。

 特にリシェル……貴女の運命は世界にかかわる難しいもの。

 貴女を産んだ後、手放した事、失った事……どれだけ悲しんだ事でしょう。

 だから、貴女の無事を祈ってます。

 元気な顔を、もう一度見せて帰って来て?

 ルリ、それにアルテちゃんもよ?

 貴女達も同じだからね?」

「「「はい!」」」

「うん、よろしい!

 ウォルド、貴方もですよ?

 貴方も、無事に帰って来なさい。

 よろしいわね?」

「はい……母上。

 父上も、リリーをよろしくお願いします」

「うむ、頑張ってこい。

 リリーを預かろう」

「よろしくね、お父様、お母様」

「うむ、またな……皆、元気な顔を」

 ウォルドはリリーを預け、挨拶の終わったラカール達は避難する者達の方に向かい、その者達とともに転移し消えた。


「それじゃあ、私達も帝国に向かうか?」

 ミーザは、消えたラカール達を見て、ザーツ、リシェルに声をかけた。


「そうだな」

「うん、おかあさん……行こう!

 おねえちゃん、アルテ、行って来るね!」

 ザーツと、リシェルは頷き、ギバ達が集まっている場所に向かう。


「行ってらっしゃい、リシェル」

「リシェルねぇ、頑張って!」

 ルリと、アルテは姿が消えるまで、リシェル達に手を振った。

 リシェルは、同じくこの場を離れるまで手を振り続けた。


「行っちゃったね」

 アルテは手を下ろし、悲しそうな顔する。


「そうね。

 アルテ、顔をあげて前を見なさい。

 みんな、帰ってくるわ!

 気持ちをそんな風に落ち込ませていたら、勝てるものも勝てなくなるわ。

 だから、顔をあげて、この戦い勝つわよ!」

「……ルリねぇ。

 うん!

 ぼく、頑張る!」

「よし!」

 アルテの気合いを入れた顔を見て、ルリは笑った。



 間もなく、人族領、帝国から一万五千の大軍が現れる。

 場所は、三年前、スランが半身を封印していた場所。

 そこから順に姿を現せ、こちらに向かい進行していた。

 勇者達とて、その場所より近くに……魔族領に入る事が出来なく、最寄りの場所はそこになったのだった。


 軍が魔王城の前に現れるまで約二、三時間。

 その間に、ゆっくりと魔王城に残った六魔将達の号令のもと隊列をくみ、陣形を整え、戦闘に備えた。


 少しの休憩をその場で取り、魔王軍は姿を現せた勇者軍に向かい合った。


 魔王城の戦いが始まる。



如何でしょうか?

次回から、魔王城の戦いになります。



しばらくは、早く出来たり遅くなったりと、私も、予測つかない状況で、状態です。

読んで頂いている方達には申し訳ありません。

今後ともよろしくお願いします。

ブクマ登録、ありがとうございました。


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