5章 8 昔話り~前置き~~
出来ました。
今回は、早く投稿出来ましたが、短いです。
ちょっと、非道い話も有ります。
R15が、働いてます(笑)
こう書くと、これくらい、なんじゃいと、思うと思います。
(  ̄ー ̄)ノ
魔王城の中に、宛がわれた一部屋、其処にザーツは、昼過ぎからの会議に始まり、その後の、魔王ミーザの仕事の手伝いと、ダークスライム実戦の結果報告を聞き終え、今、やっと、部屋に戻り寛いでいた。
コン、コン、コン。
暫くして、部屋をノックする音が聞こえた。
「誰だ?」
『おとうさん、わたし』
「リシェルか?
……ちょっと、待て」
ザーツは立ち上がり、ドアを開け、リシェルを見た。
「どうした?
こんな時間に……眠れないのか?」
「うん、ちょっと……話を聞きたくて」
リシェルが、上目遣いで、申し訳なさそうに言う。
(久しぶりだな、こういう風に、甘えてくるのは……)
「ん?
何を聞きたいんだ?」
「あのね……今日の会議で、何度か出てきた、先代魔王の事を……」
「あー、成る程な?
気になっちゃったか」
「……うん」
「そうか……じゃあ」
「あっ」
「ん?」
リシェルを、中に入れ様としたところで、驚きの声が聞こえ、見ると、後は寝るだけという姿で現れた、ミーザだった。
「ミーザ?
どうした、珍しいな?」
「おかあさん?」
ザーツと、リシェルは、驚き固まったミーザを見て、不思議に思う。
「えっ……あ、いや、ちょっと、ザーツに聞きたい事があってだな、来たんだが……邪魔だったか?」
ミーザの、不審な態度に、ザーツはため息を吐き、半目で答える。
「何を遠慮しているんだ?
お前は?」
「いや、だって……親子水入らずのところ」
「お前だって、リシェルの母親だろ?
何、馬鹿な事を言っているんだ。
んで、何を、聞きたい?」
「そ、そうだな……聞きたい事、そうだ、おば様の事、翼麗姫の事を聞きたいんだ」
「母さんの?」
「ああ、そうだ。
今日の会議で、ギバ達が話していただろ?
何で、あの話の中に、おば様が出て来るんだ?」
「ふむ」
ザーツは、ミーザと、リシェルを交互に見て、再び、深いため息を吐く。
「分かった、とりあえず、お前ら、中に入れ。
こんな所で、話す内容じゃない」
「うん」
「……分かった」
三人は、部屋に入り、ドアは閉まった。
「まぁ、適当に座ってくれ。
何か、飲むか?」
「あ、私、いい」
「私も、要らないかな」
「そうか?」
ザーツは、そう言いつつ、中央のテーブルに水差しを置いて座る。
「リシェル、リシェル」
ザーツの、前のソファーに座ったミーザは、膝を叩き、此処においでと、リシェルを呼ぶ。
それを見ていた、ザーツは、ミーザをよく観察する。
「……リシェル、悪いが、ミーザに、よく甘えてやってくれないか?」
呼ばれたリシェルは、喜んで膝に座ろうとしていた途中、ザーツの言葉に振り向く。
「?……どういう事?」
「ミーザを、見てごらん」
ミーザを、見たリシェルは、手が震えている事に気付き、最初の要望通り、ミーザの膝の上に座り、右手を握る。
「おかあさん、大丈夫?」
「ありがとう、リシェル。
大丈夫だよ」
ミーザは、リシェルを抱き締め、左手で頭を撫でる。
「ミーザは、ミーザが聞きに来た、俺の母さんの事になると、トラウマで、こうなるんだ」
「おばあちゃん?」
「はは、おばあちゃんか……ま、そうだな。
とっくに亡くなっているけど」
「何が、有ったの?」
「んー、それを話すのは、リシェルが聞きに来た、先代魔王の事も、話さなきゃならなくてな」
「そうなの?」
「ああ……しかし、ドアを開け、二人を迎えた時思ったが、やっぱり、お前ら、似ているよ。
血は繋がっていなくても、十分、親子だ」
「そうかな?」
えへへ、と喜ぶ、リシェル。
「ああ、俺に聞きに来た内容、変なところで、気を使うところ……そっくりだよ」
ザーツは、そんな二人に、愛しく微笑んだ。
「さて、母さんと、先代魔王の話か。
そうだな、先に、幾つかの前置き……情報を言っとくか?
先ずは、母さん……名を、クレア・シュザットと言って、魔翼族の中でも、その実力により、最有力的な黒翼衆で、その美しい黒髪と、翼を持つ事で〈翼麗姫〉と、呼ばれていた。
その母さんには、双子の妹、フレア・エスクード、旧姓フレア・シュザット、〈翼綺姫〉がいた。
フレア・エスクード……エスクードの姓で分かると思うが、つまり、ミーザの母親だな。
……俺と、ミーザは、幼なじみで有り、従兄妹となる訳だ。
そして、問題となる、その時には、フレア叔母さんには、婚約者が居て、結婚間近だった。
ある時、その結婚を止めようとした者が居た」
「それって、もしかして?」
リシェルは、何かに気が付いたのか、質問する。
「うむ、多分、リシェルが思っている通りだが、ここは、質問は無しで頼む」
「うん、分かった」
「とりあえず、今のが、前置き、一つ目だ。
次、二つ目だか、先代魔王……ギバの父親になる。
先代魔王、ブラッド・レオハートと、正妃、エルザ・レオハートは、同じ獣魔族、獅子の集落の長で、獣魔族の纏め役だった。
人族にも、伝わる程の、ブラッドの女好きだが、只の女好きではない。
ある理由を持って、他の種族からも、見目麗しい者を、実力の有る者達を、無理矢理にでも、呼び集めて、抱いていたらしい。
しかも、正妃公認で、だ」
「な?」
「……抱く?」
ミーザは驚き、リシェルは、まだその意味を、理解していなかった。
「ああ、そうか……リシェル。
つまり、抱くとは、子供を作る行為だ。
只、無理矢理だがな」
「無理矢理?
それって、嫌々?」
「普通、ならな。
だが、ブラッドは、魔王だ。
……今日の会議で、ザンバインの娘の話で、無かったか?
魔族は、魔王に絶対の忠誠を誓う、と?」
「あっ!」
「そう、余程の実力者でない限り、逆らう事は、出来ない。
ザンバインの様に、な?
此れが、二つ目だ」
「「……」」
余りにも、非道い話の為、二人は言葉が出ず、沈黙する。
「次、三つ目だ。
魔族には、大まかに、種族は、七種族有るが、絶対になる禁止事が有る。
それは、他種族との、交配なんだが。
何故、禁止事となっているか。
一つ、他種族の女は、相手が、魔王であろうが、行為を行えば、魔王の魅了が消え、正気に戻り、その後、気が触れ狂い、自殺する。
一つ、その時は、堪えられても、子供が出来た時、お腹の子と共に、自殺する。
一つ、最終的に、子供を産んだとしても、子供を殺し、自殺する。
つまり、それを知っていて、ブラッドは、無理矢理に他種族の女を、幾人も、抱いていった」
「……そんな」
「惨すぎる!」
「……そうだな。
だが、その中でも、生き残った子供は居る。
二人だけだが……その母親は、それだけ、魔王に対抗出来る女性で、狂いながらも、子供を残し、最後には自殺した。
そして、残った子供は」
「今も、生きているのか?」
「……ああ、俺と、ガイだ」
「なっ?
ザーツと、ガイだって?」
「じゃあ、おとうさんと、ガイおじさんって兄弟になるの?」
ミーザは、驚くだけだったが、リシェルは関係性まで、気付き問う。
「そうだ、ギバを含め、父親で、血が繋がった兄弟になる。
順番は、ギバ、ガイ、俺だな。
只、ガイは、この事を知らない筈だが」
「どうして?」
「母親の……ガイの母親、〈小鬼姫〉の称号を持っていた、キキ・ハワード。
この女性が、ガイが、宿った時、直ぐに、鬼族の里に戻ったらしい……俺の母さんに聞いた話では。
だから、ガイに、出生の秘密を、話していたなら、俺に対する、ガイの態度も変わるはずだしな。
実際、それらしい事を、振ってみたが、反応は無かった。
これが、三つ目だ」
「何で……何で、先代魔王は、その様な非道を行ったんだ?」
「それは、此れから話す事で、お前達の質問の答えになる。
いや、もしかしたら、リシェルの聞きたい事とは、少し、離れるかも知れんが?」
ザーツは、一旦、話を止め、水差しの水を、コップに移し飲んだ。
「悪い、ザーツ。
やっぱり、私にも、水をくれないか?」
「……私も、欲しい」
ミーザと、リシェルは、余りにもの話の為、興奮したのか、喉が乾きを覚え、ザーツに断り、違うコップに、水を入れ、順番に飲んだ。
次回が、本題になります。
短いか、長くなるか、予想がまだつきません!
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