5章 4 神霊サマエル
出来ました。
時間掛かった割に短めです。
反省は、後書きで……
ブクマ登録、ありがとうございます。
「……えー、と、やっぱり話さなきゃ駄目?」
ザーツに、問い出され、会議室に居る、全員から視線を受け、苦笑するライ。
「当たり前だ。
どういうつもりで、神霊と契約したのか?」
「どういうつもりって……そりゃ、リシェルの為と、強くなる為、かな?」
「私?
何で、私の為になるの?」
リシェルが、首を傾ける。
「そりゃあ、契約したら、お前の力になりそうだったからだ!」
「……そう。
因みに、契約した神霊って、誰?」
『私だよ、ルシファー』
会議室に響き、この場にいる者、全員が、その声に身構えた。
その圧倒的な魔力に。
ザーツは、十二年前、ルシファーと初めて会った時と同じくらいの魔力に感じた。
そして、ライの後ろに、少しずつ姿を現した。
「いや、今は、リシェルだったね?」
「……貴方は、サマエル?」
リシェルは、会った事の無い神霊の名前を呼んだ。
サマエルは、一度だけ、ルシファーと出会っている。
そう、ルシファーが、神々に反発し、戦いを挑む前に言葉を交わした神霊。
神霊サマエルは、創造神達とは、交流を交わしていない神の神霊、故に……。
「そっか、ずっと、ライを見ていた視線って、サマエルだったんだね?
……おとうさん、この神霊だったら、大丈夫だよ。
私も、保証する」
「知っているのか?」
「うん、正確には、私じゃなくて、ルシファーの時に一度ね。
でも、サマエル?
どうして、”今“なのかは、教えて欲しいな?」
「ああ、簡単な事だよ。
蒔いた種が、芽が出て、実に成りそうだから、余計な雑草や、害虫を排除しに降りて来たんだ。
其れで、契約するには、彼、ライが、一番色々と、都合が良かったから、契約したんだよ」
「ふ~ん、そうなんだ?」
チラリと、リシェルは、ライを見る。
「どこまで?」
「ん?」
「どこまで、手伝ってくれるの?」
「ん~、最後までと、言いたいけど、分からないね?
だって、神でさえ、未来を知る事は出来ないんだ。
でも、安心して?
余程の事が無い限り、見放すつもりは無いから」
「余程、ね?
とりあえず、私は分かった。
後は、おとうさん達と話してね?
ごめん、おとうさん。
先に、色々と聞いちゃった」
リシェルは、ザーツに向き直り謝った。
「いや、構わないよ。
案外、分かった事も有る。
さて、神霊サマエルだったか?
次は、俺達と話をしようか」
「良いけど、一つだけ断りを入れておくよ。
質問等は、きちんと答えるつもりでいるが、答えられない事は、答えられないと言うし、言っても、理解出来ない事や、把握出来ない事は、君達には、その事を聞こえないようになるはずだ。
例えば、我が神は、〇〇神だ。
……聞こえたかな?」
サマエルは、会議室に居る者達を見渡し、全員が把握出来ていない事を、確認がとれた。
「やはり、我が神の事は聞こえ無かったみたいだね?
ライ、今回は、聞こえたかい?」
「……いや、駄目だった」
「そうか、残念……リシェル、貴女はどうだった?
君なら、もしかしたらと思ったんだけど?」
「私も、聞こえ無かったよ」
「ふむ、そうなんだ……リシェル、やはり君は、ルシファーと完全に融合していないね?」
「……問題有るかな?」
「どうだろう?
それが吉となるか、凶となるかは、その時にならないと、分からないし、創造神の力を得た勇者を倒せないという事は無いはず。
と、いうより、殺して欲しい」
「サマエルが、倒すのは出来ないの?
神霊でも、最強クラスでしょ?」
「どうかな?
私には、神を殺す力は持って無いから」
「そう、だからか」
「ん?」
「さっき、言ってたでしょ?
ルシファーが種で、私が芽、殺す事が実だよね?」
「……そうだね」
サマエルは、微笑む。
「私からも、質問して良いか?」
ミーザが、リシェル達の会話に加わる。
「魔王ミーザ……何か、疑問でも有った?」
「ああ、少し気になってな。
ルシファーは、神に挑んだ時、何も出来ずに負け、魔界に堕ちたのか?
それとも、何かを成して、堕ちたのか……どうなんだ?」
「成る程、良い質問だね。
どちらか、と言えば、後者かな。
そして、本来は、其処で終わるはずだったんだ」
「どういう事だ?」
ミーザは、問う。
「神は、自分の魂を十二等分にして、其れを元に神霊という部下を作る。
正確には、神核と言うんだけど……まあ、分け方は、神によって色々なんだけど、創造神は魂を、神核を半分使って、ルシファーを始め、神霊を五体作った。
ルシファーとの戦いの時、創造神は、ルシファーに神核を、二つ奪われたんだ。
神霊が、神に成るには、神核が六つ以上を持てば神化出き、神に成れる。
だが、神が、神核を半分未満になれば、神霊に降格どころか、存在が消滅する。
創造神は消える前に、事も有ろうか、不完全だが神核を作りあげた。
その辺りが、創造神というべきか、とりあえず、不完全だが、疑似神核を使用し、神として維持する事が出き、今まで、何万年と、創造神として君臨してきた。
因みに、疑似神核で、神霊は作り出せないが、天使を作り出す、元として利用出来るみたいだ。
流石に、そう沢山の数を作る事は、出来ないみたいだが……」
「……天使」
「そうやって、作り出していたのか」
疑似神核の説明を受け、話を聞いていた者達は、苦々しい顔で呟く。
この会議室に居る者達は、仲間や、親友、子、兄姉と取り付き、人格を奪われ、敵として対峙しているのだから、当たり前だ。
「……少し話がズレたね?
戻すよ……と、まあ、そのせいで、我が神も手が出せず、様子を見ていたという訳だ。
疑似神核は、其れ以外の能力は無いから、逆に、勇者に力を奪われたんだと、我が神は言っていた」
「……成る程、創造神について、大体の事は理解出来た」
ザーツは答え、次の質問をする。
「では、ルシファーと融合した、リシェルは、創造神の神核を四つ持っているという事か?」
「そうだね」
「並ば、貴様の神は、創造神の神核を求めているのならば、もし、リシェルが負けた場合、リシェルが持つ、神核を奪うつもりか?」
ザーツは睨む。
「どうして、そう思った?」
サマエルは、ザーツの弱い者なら殺せそうな視線を、見つめ返し尋ねる。
「簡単な話だ。
貴様の神は、執拗に創造神を狙っている。
さっき、リシェルが、殺す事が実と聞いていたが、実際は創造神の神核四つが、本当の実の意味なんだろう?
並ば、リシェルの神核も、創造神の神核四つなら、貴様の神は、どちらでも構わないという事だ。
違うか?」
「……」
パチパチ、パチパチパチパチパチパチパチパチ!
ザーツの推測を聞いてくいた、サマエルは微笑み、拍手した。
「凄い、やはり、君は凄い!
ザーツ・シュザット、君は、本当に侮れない!
……だが、安心したら良いよ。
我が神は、リシェルから、神核を奪うつもりは、全く無い」
「信じられるか!」
「いやいや、証拠も何も無いけど、此処は、私の言葉を信じて貰うしかないかな?
……我が神は、リシェルの事を気にいっているんだよ。
本当だよ!
だから、私をリシェルの側に居る、ライと契約して、此処にいるんだよ。
信じて欲しいな」
ザーツは、更に威嚇を乗せ、睨みを効かせた。
「……はぁ、分かった。
まだ、何か企んでいるだろうが、とりあえずは、信じてやろう。
だが、貴様が、リシェルに傷の一つでも、付けた場合、容赦なく、遠慮なく滅する」
「うわっ、怖っ!
本当、君は、リシェルが絡むと、非道いな?」
「ふん、お誉めに頂き、だな?
神霊さんよ」
「ふむ、君の存在は、不思議だな」
「……何?」
「何でも無いさ。
さて、他に質問は有るかな?
無ければ、私は消えるけど……どうだい?」
「そうだな?」
ミーザは、周りを見渡し、確認する。
「今の所は、思いつかないな?
また、何か有れば、呼び出しても良いか?」
「何回も呼ばれるのは、面倒だな……まあ、勇者との戦争は、三年先だからな。
始まる前に、もう一度だけ、姿を現そう。
其れまでに、質問を纏めておくと良い。
……ではな」
サマエルは、姿を消した。
「ふむ、さて、大分時間も経ったな?
今日は、色々有り、疲れただろう……此れで、解散とさせて頂こう。
また、明日にでも、続きを行いたいので、よろしく頼む。
尚、二時間後、この顔触れで、歓迎の晩餐を行いたいが、如何だろう?」
ミーザは、全員の顔を見渡し、確認する。
魔族側は、頷き、人族側は、ラカールが、代表し、答える。
「魔王ミーザ殿、今日、突然に押し掛けた上、また、この場に居らぬ者達の、処遇と、対応につきましても寛大な心気遣い、感謝させて頂きます」
「ふふ、お言葉、お受け承る。
これから、三年、何かと手を借りる事になるだろうが、改めてよろしく頼む」
両国の代表が、お互い頭を下げるに従い、この場に居る者、全員が頭を下げた。
それは、一部だが、この遊戯番が、神々によって作られてから、今日に至るまでの間、一度として無かった、両族が纏まった、最初の日となった。
「では、晩餐の用意が出来るまで、各々、自由にしてくれ。
また、何かしらの用が有る者は、近くに侍女を待機させるので、声をかけてくれ。
では、この場は、解散とする」
ミーザは、そう言った後、リシェルと、アルテの側に寄り、暫く離れると断り、二人の頭を愛しく撫で、抱き寄せ、納得した後、会議室を出て行った。
また、同じく部屋を出ていく者、話をする者等の中で、六魔将の長、オズマに近付く者がいた。
オズマと同じ魔鱗族の、ルー・ルーセントだった。
「あの、オズマ様、少し宜しいでしょうか?」
「ん?
おお、何かな、お嬢さん?」
「改めて、紹介させて頂きます。
魔鱗族の一角に有ります、ルーセント家、族長が娘、ルー・ルーセントと申します」
「うむ、これは丁寧に。
して、私に、何かご用かな?」
「一つ、お尋ねしたい事が有りまして、我がルーセント家は、魔鱗族の中でも、古株に当たりまして、オズマ様の事も、お聞きしております」
「……ふむ、成る程、何となく言いたい事は検討が着いた。
私の正体、の事かな?」
「……やはり、そうなのですか?」
「ああ、そうだ」
「では、もう一つ、お願いがあります。
私の契約している、大悪魔フォルネウスなのですが、私は十全の力を引き出せていないのです。
どうすれば、良いのか、分からなくて……」
「ふむ、そういう事か……ここでは、何だ。
別の場所にて、話そうか?」
「よろしくお願いします」
「ふむ、では、行くか」
「はい」
二人は、会議室を出て行った。
オズマ達の話す内容が聞こえた、ザーツは首を傾げた。
(何故、大悪魔の事を聞くのに、契約していない、オズマおっさんに尋ねる?
何か、有るのか?
正体、と言っていたな……気になるな)
ザーツは、ベルゼブブの力を使い、小さな透明のハエを召還し、二人の後を追い掛けさせた。
そして、其処で聞いた事は、とんでもなく重大な内容だった。
「おとうさん、どうしたの?」
ザーツの、動揺した気配に気付き、リシェル達が寄ってきた。
「リシェルか……いや、ちょっとな?
其れより、どうした」
「うん、アルテと一緒に、お姉ちゃんの所に行こうと思ったんだけど……おとうさん、本当に大丈夫?」
「ああ……心配掛けたな。
大丈夫だ、行っておいで」
リシェルと話して、少し落ち着いたザーツは、リシェルと、アルテの頭を撫で、微笑み、離れる事を進めた。
リシェルは、ザーツが落ち着いたのを見て、気にしながらも、渋々、アルテを連れ、会議室を出た。
他に残っている者達は、ザーツが動揺している事に気付いて居らず、ザーツは、深いため息を一つ吐き、椅子に座った。
そんな、ザーツの元に現れたのは、ガイ一家だった。
「ザーツ、俺達も、ここを離れるぞ」
「そうか、程々にな?」
ザーツは、拳骨を頭に落とされ、痛がっている、ライの首元を、掴んで持ち上げている、ガイを見て、そう進言する。
「ああ、まあ、コイツ次第だな?」
ガイが、右手を、更に持ち上げ、ライはぶら下がった。
毎日、暑いですね。
皆さま、体調の具合は如何でしょうか?
私は、相変わらず、駄目ですね……
後、他の方の作品を読むのが、楽しいです。
ランキングに入る方の作品、ハイファンタジー上位を殆ど読んでしまいました。
遅くなった最大の理由です。
読んで頂いている方、もしかして、待っていて頂いている方、大変、ごめんなさい。
これからも、よろしくお願いします。




