表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/85

5章 魔王城にて

出来ました。

前回より、かなり少ないです。

5章、プロローグ的な話です。

よろしくお願いします。

ブクマ登録、有難うございます

 勇者一味との対面の後、魔王達は、一度転移で魔王城に引き上げた。


「引き上げてきた、そうそうで申し訳ないが、今、有った事を、配下達に伝えたいと思うので、もう暫くは、お付き合いを願う」

 通路を歩いている途中、擦れ違った兵士を呼び止めた。

「そこの君、手分けして、六魔将と、アミル・タンザナイトを呼んで来てくれるか?

 後、人数分の軽食と、飲み物を用意も頼む。

 場所は、大会議室だ。

 よろしく頼む。」

「はい、分かりました。

 魔王様」

 頼まれた兵士は、一礼をし、その場を離れた。

「済まないな……精神、体力共に疲れているだろうが、配下には、そなた達の事を話しておかなければ、後々、面倒な事になるのでな……。

 後、謁見の間だと、話し合いには向かないので、会議室でさせて頂く」

「いや、これまでの両族の関係なら、それは仕方の無い事だ。

 此方こそ、気を使って貰い、申し訳ない」

 イルミア王国、国王だったラカールが、代表で答え、頭を下げた。

「いや、頭を上げてくれ。

 私は、出来れば、対等でいたい……会議室は、此方だ。

 ついてきてくれ」


「……えへへ」

 ミーザと、ラカールのやり取りを後ろで歩き見ていた、リシェルが嬉しそうに笑っていた。

「何だ、リシェル?

 嬉しそうじゃん」

「えー、そりゃあ、嬉しいよ。

 本来なら、仲の悪い両族の王様が、お互いを気遣って話しているんだよ?

 それに、その両族の王様は私のおとうさんと、おかあさんだよ……凄くない?

 この世界で、私だけだよ?

 両族に、両親がいるの!」

「「……リシェル!」」

 リシェルの言葉に、両母親が反応し、振り返り抱き締めようとする。

「ミーザ……嬉しいのは分かるが、今は、黙って会議室を案内しろ。

 抱き締めるのは、後でな」

「うっ、分かったわよ……ザーツ」

「お前もだ、リサ」

「……分かりましたわ、貴方」

 しょぼんとする母親二人を見て、声を掛けようとするリシェルを止め、ライがリシェルに言う。

「リシェル」

「……何?」

「お前が、嬉しいと言う、この状況はお前がその間に居るからこそだと思うぞ?」

「……私?」

「そうだぞ」

「~~~っ」

 言われて理解した、リシェルは顔を真っ赤にして、前を歩いていたザーツの背中に、顔を隠す様にしがみついた。

「あー、ザーツ、ズルいぞ?

 リシェル、しがみつくなら、私にしろ!」

 それを後ろ目で見ていた、ミーザがザーツを非難し、リシェルに懇願した。

「そうです!

 どうせなら、私にしなさい」

 リサも、空かさず同じ事を言った。

「~~~」

 リシェルは顔を埋め、隠しながら首を振った。

 未だに顔を赤くし、嬉しそうにしながら……


「……なあ、親父?

 ライって、本当に、俺の弟か?」

「……まあ、信じられんだろうが、そうだ」

「あれ、誰に似たんだ?

 俺には、あんな事、流石に言えんぞ」

「鋭い指摘は、お父さんだと思うけど……あの性格はね?

 誰とも、思い付かないわ」

 ガイと、ルイの親子の会話に、キーシャも参加する。

 元々、キーシャは、闇属性の魔力を持って産まれた人族で、ライの義兄姉のレイや、ランと同じく、ルイの義理の妹として、ガイが拾った最初の赤子だった。

 闇属性の暴走を何とかしたくて、ルイは、ガイと喧嘩し、言い争いの末、キーシャを連れて、家を出て行った。

 大悪魔アスモデウスと契約したルイは、アスモデウスの力を使い、キーシャの暴走を止める事が出来、結婚した。

 今回、大会で、ライと出会い、ガイにも再会したので、戻って来れた。

 だから、ここにレイと、ランが居れば本当のガイ一家が揃うはずだったが……レイ達は、数ヶ月前から家に戻らず、姿を見せなかった。

「本当、誰に似たのかしらね?」

「「「……」」」

 ガイ達は、何も言えなかった。

 あえて言うならば、ラーシャだったからだ。

 故に、誰も言わない。

 ラーシャが拗ねたら、後々面倒臭い事になるし、

 怒らせたなら、ガイは惚れた弱味で、ルイ達は、子供の頃の記憶から、一番恐れているのだった。

「どうかしたの?

 急に黙り込んじゃって?」

「いや、誰かな、と考えていたんだ」

「ね、誰かしらね?」

(流石、親父、ナイス!)

 ルイ達は心の中で思った。


「……何か、こうして見ると魔族も、人族と変わらないな?」

 最後尾を歩いている、帝都傭兵ギルド、本部長タイタン・ギガボルトは先を歩いている魔王や、国王達、ガイ一家のやり取りを見て呟く。

「そりゃー、そうですよ?

 だって、この世界を作った神達は、お互いを憎しみ合う様に、見た目を変えただけで、両族の中身は同じですよ?

 そりゃ、長い年月で、憎しみは、変わっていって、元々、何で憎しんでいるのかも分かってないんですけどね。

 人族も、その様なものでしょ?」

 タイタンの呟きを聞き、長年、人族に化け生きてきたルー・ルーセントの言葉に、ルーを見て思った。

(人族と姿を変え、人族を見て来ただけあって、重みがあるな)

「? どうしました?」

 無言で、ルーを見つめ続けたのを、不振に思ったのか、心配して尋ねられた。

「いや……髪の色が変わっていて、若干、印象が違ってな?

 後、性格も、其れが素か?」

「あー、そんな事は無いですよ?

 状況していたのも、素です。

 ……ただ、今、魔王城に居るのが、信じられなくて、正直、ちょっと、緊張してます。

 髪の色は、フォルネウスを召喚した時に、魔術による幻術が、解けたみたいですね。

 元々の色はこうなんですよ?」

「良く似合っているよ」

「ありゃ?

 私、口説かれちゃいました?」

 ルーは、ほんのり頬を赤く染め、照れながら言った。

「ふふ、ワシの様な、爺に言われても困るよな?」

「いえいえ、十分魅力的ですよ。

 ただ、本部長の若い頃からの浮き名が、有名ですので、半分で受け止めますね」

「浮き名ね……そこまで、浮かせたつもりは無いんだが?」

「有名ですよ」

「……そうか」

 そう念入りに言われ、引き下がるしかなかった。


「着いた。

 ここが、会議室だ、中に入ってくれ」

 全員が中に入り、魔王が上座に、魔王の右側、部屋の奥には、国王、王妃、リシェル、ザーツ、本部長、ガイ、ラーシャ、ルイ、キーシャ、ライ、ルーと下座に向け座り。

 左側は、これから来る者が座る事になっていた。


 暫くして、焦りを含めた足音が聞こえ、会議室の扉が、勢い良く開いた。

「すみません、誰か、手伝って下さい!」

 ノックもせず、突然、部屋に入って来た、アミルが焦りながら助けを求めた。

「アミル!

 何だ、ノックもせず、入って来るとは、何事だ!」

「すみません、お叱りは後で受けます!

 ですが、今は助けて下さい。

 サウルの街がヤバいのです!」

 突然の入室に、ミーザは、魔王として叱咤するが、アミルはそれでも助けを求める。

「……何が有った。

 アミル、キチンと説明しろ」

「はい、有難うございます。

 私は、イルミア王国の大会を、千里眼の魔術で見ており、この会議室にいる人族、イルミア国王夫妻や、ギルド本部長が、どういった立場なのかも知っております。

 リシェルちゃんの準決勝の後の事も……。

 それと同時に、サウルの街の事も見ておりました。

 そして、今現在、サウルの街は王国の近衛兵により、襲撃を受けております。

 襲撃の指導者は、天使に乗り移られた、イルミア王国、第一王女ルリ・イルミア、並びにその婚約者であるエリック公爵です。

 ……お願いです。

 街の人々を助けて頂けないでしょうか?」

 アミルは、頭を下げた。

「……どうして、貴女が、其処まで必死に頼むですか?」

 国王ラカールは、魔族であるアミルが、人族の街を心配し、助けを求めるのか分からず尋ねる。

「それは……私が一時期、サウルの街に居て、お世話になったからです。

 それに、私よりも、そこに居るガイさんのほうが、心配しているんじゃないですか?」

「……まあな、だが、俺だって街の全員が心配な訳ではないぞ?」

「ガイ……もしかして、貴方が〈英雄〉ガイなのか?」

「……そんな徒名は知らん!」

 ガイは、尋ねたラカールから、顔を背けた。

「知らんが……仕方がない、行くか」


「おとうさん、私もサウルに行きたい」

 リシェルが、ザーツの服を引っ張り、懇願する。

「アリアさんや、ギルドの人達、助けたい……」

 ザーツが、リシェルを見てため息を吐いた。

「……リシェルは、ここに残っていなさい。

 リシェルは、何だかんだと、疲れているだろ?

 俺が行くよ」

「でも……」

「リシェル、お前の変わりに、俺が行くよ」

 行く事を諦められないリシェルの変わりに、ライが立ち上がった。

「ライ……」

「任せておけって」

「うん、お願い」

「任せろ!」

「盛り上がっているところ、済まないが、ワシも連れていってくれないか?

 いくら、街の住人と顔見知りと言っても、既にお前さん達が魔族だという事は、伝わっているだろう……なら、ワシも行った方がマシかも、と思うが?」

「……分かった。

 だが、断って魔族領に来ない者は、見捨てるぞ?

 此方とて、全てに余裕は無いからな」

 この場の意見を聞き、ミーザは許可するが、残酷な事も言う。

 そう魔王として、言わざるをえない。

「仕方あるまい……選ぶのは、自己責任だ。

 後、ワシの事は呼び捨てで良い。

 これから、暫く厄介になるしな。

 肩苦しいのは嫌いだ、魔王殿」

「済まない、これから、そうさせて貰う。

 では、サウルに向かうのは、アミル、ガイ、ザーツ、ライ、タイタンの五人だ。

 それ以上は、認められない。

 厳しいだろうが、アミルと、ザーツの転移で、少しでも多くの人族を連れて、勇者の邪魔をして来い。

 此方は、受け入れ体制を、出来る限りしておく」

「分かりました。

 魔王様、有難うございます」

「うむ、行くと良い」

「では、行って参ります」

 アミルは、集まった五人で、サウルに転移した。


「行ったか……誰か、居らぬか?」

「はい、此方に」

 ミーザが、声を掛けると、ドアの向こうで待機していた兵士に、先程の事を話し、受け入れの準備を急がせた。

「了解しました。

 では、失礼致します」

 兵士は、一礼し、部屋を出て行った。

「見事な、統率力ですな。

 ミーザ殿」

「いや、ここまでに成ったのは、其処まで昔の事ではない。

 最初は、なかなか、小娘と馬鹿にされた物だよ。

 ラカール殿」

 名前で呼ばれた事により、ミーザは同じく名前で呼び返し、魔王としての苦労を話した。

「失礼します。

 お待たせ致しました。

 軽食と、お飲み物をお持ちしました」

「済まぬ。

 そのまま、給仕を頼む」

「分かりました」

 魔族の侍女が、給仕し配り始めた。

「わあ、美味しそう。

 おかあさん、食べても良いですか?」

 リシェルは、お腹を空かせていたらしく、ミーザに尋ねた。

「良いよ、よく噛んで食べなさい。

 でも、暫くしたら、夕食になるから、程々にね」

「うん、分かった」

 リシェルは、テーブルに置かれた、食べ物を摘まんでゆっくりと食べ始めた。

 それを切っ掛けに、他の者達も食べ始め、雑談をしていた。

(さて、本当にどうなる事やら……)

 ミーザは、先程、サウルに行った五人に悪いと思いながら、一時の休憩を楽しんだ。




この5章は、今まで出てたのに、日の目に当たらなかったキャラや、新キャラを出そうと思っています。

当たらないキャラもいますけど……今の所、分かりません(笑)

相変わらずの、ほぼ即興な話し作りなもので……


それでも、続き気になる方、面白い?と思った方、よろしければ、ブクマ登録、評価点を入れて頂けたら、嬉しいです。

よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ