4章 8 その前の出来事
やっと、出来ました。
読んで頂いている方、本当にお待たせしました。
時間掛けて、気が付けば1万2千文字越え……
2つに分けました。
1時間後、本日2話目、投稿します。
1話目は、超、短いです。
今回も、言い訳は後書きで
第三試合を終え戻って来た、カムとナユタを、横目で見つつ、リシェルは、立ち上がり背伸びした。
「んー!
やっと出番だー!」
「……ちょっと早すぎないか?」
隣に座っているライが、舞台を降り始めた審判を見ながら、立ち上がったリシェルに問う。
「ちょっとね」
「ライ……お前。
女の子には、色々準備ってものが有るんだから、何でも聞くんじゃないよ?」
リシェルとは、反対の椅子に座っている、さっきライが戻ってきた時、ライの実の兄だと説明を受けた、ルイが、ライにやんわりと注意をするが、リシェルがいる、この場で注意をするのも間違っていると思いつつ、リシェルは、ライ達から離れる。
色々、用事を済ませたリシェルは、最後に、外の売店で飲み物を買い、戻る途中、如何にも仕立ての良い、貴族が着る服を着た二十代後半の男性とすれ違い、リシェルは、一応通路の端に寄り、頭を下げ、礼をとった。
青年は、リシェルの前を通り過ぎようとした時、立ち止まり、振り返り、頭を下げているリシェルを見た。
「……貴女は、ここを通っているという事は、傭兵で、出場者か?」
「はい、次の第四試合に出る、リシェル・シュザットと申します」
「ほう……顔を上げて、よく顔を見せて貰っても良いかな?」
「では、失礼して」
リシェルは、頭を上げ、青年に顔を向けた。
「……っ?」
顔を見た青年は息を飲み、驚く。
「……あ、貴女は、この国の王妃を見た事はあるか?」
「……舞台の上から、来賓席に居られますのを、知っていますが、残念ながら、距離がある為、遠目でしか、ご拝見しておりません」
「……そうか、そうだな。
貴女は、実に、王妃殿下に、よく似ておられる」
「そうなのですか?
……実は、この王都に着いてから、よく言われるのですが、それ程に、似ていますか?」
「ああ、似ているな」
「そうですか。
恐れ多くも……とても、嬉しいですね」
「……貴女は」
青年が、何かを言おうとした時
「リシェルー!
何処だー?
もう直ぐ、始まるぞー」
ライが、リシェルを呼ぶ声が、通路に響く。
「……申し訳ございません。
どうやら、出番の様です」
リシェルが、再び頭を下げる。
「……ああ、こちらこそ、済まない。
試合、頑張って」
「はい、それでは」
リシェルは、この場を離れる時
「クレイン殿下、そろそろ、此方も時間です」
青年の側に居た、執事の男性が時間を促す。
「ああ、そうか?
分かった、行こう」
この国の第一王子にて、クレイン王太子も、リシェルとは、逆の方向、元々向かっていた場所に歩いて行った。
(殿下?……と、いう事は、あの人が私の兄さん)
ライのいる方に、向かって行く途中に、後方から聞こえた言葉は、リシェルを驚かし足を止めた。
後ろを振り返る。
既に、その姿は、薄暗い通路では、殆ど見えなかったが、リシェルは完全に見えなくなるまで、見続けていた。
「リシェル、居た!
何処まで、行っているんだ。
もう、始まるぞ」
「……ごめん」
「何か、有ったのか?」
「うん、ちょっと……ね」
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ、行こう」
リシェルは、少し早歩きで舞台に向かった。
「ジョージ」
「はい」
リシェルと別れ、目的地に着く前、専属執事のジョージに声を掛ける。
「さっきの、女の子……リシェルと言ったか?
少し、いや、出来る限り調べてくれるか?」
「気になるのですか?」
「ああ、これから、私も父上達に、少し尋ねてみるが……」
「そうですね……確かに、私も何か引っ掛かります。
分かりました。
少し、お時間を頂きます」
「頼んだ」
「はい、失礼します」
執事は姿を消した。
クレインは、たどり着いた場所のドアをノックした。
中からドアを開けた人物が、クレインを確認し、向かい入れた。
「来たか、クレイン」
「はい、陛下。
それに、お久しぶりぶりにございます。レオハルト帝王陛下」
クレインは、この場に座っている人物達に、一礼をする。
「うむ、久しぶりだな?
クレイン殿下、一段と立派になられた様子」
「有難うございます」
「クレイン、ここには私達しか居らぬ。
肩苦しい言葉は要らぬ。
肩の力を抜くが良い」
「はい、父上。
……時に、母上はどうなされました?」
食い入る様に舞台を見ている、王妃リサを気になり、クレインは尋ねる。
「うむ、ちょっとな……リサ。
少しは、落ち着け」
「……貴方、すみません。
クレイン、良く来ましたね?
貴方も、此方に座りなさい」
「有難うございます」
リサに進められた、椅子に座り、クレインも舞台を見た。
丁度、その時、先程の少女、リシェルが舞台に上がったところだった。
「……今、舞台に上がった傭兵の少女、母上によく似ておられますね?」
「……そうかしら?」
「クレイン、何を言っておるのだ?」
「いえ、実は、ここに来る前に、あの子とすれ違いまして、少し話をしたのですよ」
「……会ったのですか?」
舞台を見ていた、王妃がクレインの言葉に反応し、クレインに顔を向ける。
「ええ、偶然にも……あの子、少し変わっていましてね?
まず、通路で私に気付くと、端に寄って、一礼をし、道を譲るのですよ。
普通の傭兵は、其処までしません。
でも、あの子は自然にやってました。
……ね、変わっているでしょ?」
「……教養が有っただけ、なのでは?」
「かもしれません」
「……クレイン、さっきから何を言いたいのだ?」
クレインの回りくどい言い回しに、国王は苛立ちながら問う。
「では、率直に。
あの子は、十二年前に、父上が死産と発表された赤子。
つまり、父上、貴方達の子。
私達の家族、私の二番目の妹なのでは?」
「……私が嘘をついた。
と、言っておるのか?」
「いえ、あの時、報告しに来た兵士は、産まれた赤子が、闇属性だと言ってました。
私も、その時居ましたから、間違いないです。
父上は、悩みぬいて、処分命令を出されました。
だが、その命令を聞いた別の兵士は、その後、行方不明だったはず。
父上も、その後、出て行った兵士が、どう行動したのか、知らなかったのではないでしょうか?」
「……む」
クレインの予想は、当たっており、国王は言葉が出なかった。
「ふはははっ、ラカール殿は、聡明な後継ぎを、お持ちでいらっしゃる」
「レオハルト殿……いや、お恥ずかしいところを見せてしまった。
申し訳ない」
「構わぬよ、それより、ラカール殿。
あの子の試合が始まりそうだ。
クレイン殿下には、私から、事情を話しておこう」
「いや、それは……」
「あの子の話は、私にも関わる事が多い。
少しでも、あの子を応援してあげると良い」
「……済まない、レオハルト殿。
クレイン、これだけは言っておく。
私達は、あの子を王国に戻すつもりは無い。
それは、あの子もそう言っている。
だから、今だけは、あの子の応援をさせてくれ」
「父上……分かりました。
まずは、帝王陛下から話を伺います。
父上達からは、今夜でも……それに、ルリも今夜、戻って来ますから、その時、一緒に」
「分かった、それでは、済まないがレオハルト殿、よろしく頼む」
「ああ、任せてくれ。
…………それでは、クレイン殿下」
「陛下、よろしければ、父上と同じ様に読んで頂ければ?」
「そうか?
では、クレイン殿……あれは」
レオハルトは、十二年前の事から、昨日に至るまで、レオハルトの主観や、事実も含め、昨日、リシェルから聞いた事をクレインに話した。
そして、それはクレインが思っていた事よりも、複雑で、対処が難しい事柄も含まれていた。
今回は、反省する事が沢山でした。
リシェルの予選の話みたいに、戦う話と、実況を分ければ、今回の投稿の間に、2話出せたのに……と、書いている時に思ってしまいました。
ので、書き終わってから、2話に分けました。
次回は、1時間後です。
これからも、よろしくお願いします。
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