4章 3 続Aブロック、予選開始
出来ました。
バトル書くのも難しい。
出来るだけ早く、投稿したかったのですが……
読んで頂いている方、お待たせしました。
「始め!」
「いよっしゃー!
行くぜ、嬢ちゃん!」
「はいっ!」
「ふんっ」
筋肉の男、ゼノ・ノートンが構え、右ストレートを放つ。
リシェルは見極め、左足を下げ、右手の平をゼノのストレートに添えて軽く押し、体勢の崩れたゼノの懐に入り、右足でゼノの右足を思い切り足を踏んだ。
「えいっ!」
「いってーー」
ゼノが、足を抱え、片足で飛び跳ねる。
「……痛そう」
舞台の端で見ていた、影の者、ナーグ・ハインドが、リシェル達の一瞬の攻防を見て呟く。
「ええ、しかし、足を踏むですか?
見事な攻撃ですね。
あの筋肉で覆われた身体でも、流石に足を鍛える事は無理でしょうし、もし、あの攻撃が本物の槍や、剣で刺していたら、攻撃も、移動も困難。
素晴らしい攻撃ですが、今のを分かる者はどれくらいいるでしょう?」
「……思った以上、動き速い」
「ええ」
リシェルの動きを褒め称え、対策を考える二人。
「いたた……非道いじゃねぇか?」
「非道いのは、どっちですか?
何ですか、さっきのパンチは?」
「いや、普通は、あのパンチで殆ど倒せるんだぞ」
「……そうですか?
今度は、私から行きます」
リシェルは槍先を、ゼノに向け構える。
「ふっ」
突き出す、引き戻す、この行動を一つに、一瞬で行い連続で攻撃する。
ゼノは避け続けるが、更に少しずつ速くなる突きを避け裁けなくなり、少しずつゼノの身体に槍が当たって行く。
ゼノは、この時点で、まだ嘗めていた。
この大会で使用している武器は木製である事、また、リシェルの身体能力を……
だが、少しずつ、少しずつと当たる攻撃が、威力が増していく。
そしてゼノの身体に、とうとう傷がつき、目に見えてダメージが増えていった。
「くぅ、いい加減にしろっ!」
止まない攻撃に、とうとうゼノは焦れて反撃を仕掛ける。
その一瞬、リシェルは残歩で後ろに回り、石槌で延髄を突く。
「ぐがぁ…」
体勢を揺らめつかせながら、ゼノはバックスイングハンドで反撃する。
しかし、リシェルはしゃがみ込んで避け、立ち上がる反動で飛び、更にゼノを踏み台にして高く飛んだ。
空中で前方に回転し、魔力で強化した槍で、ゼノの頭頂を振り抜いた。
「……決まった」
ナーグが呟いた、その先、ゼノの額から大量の血が吹き出し、舞台に倒れた。
「申し訳ないですが、先に、私が戦わせて頂いても、よろしいでしょうか?」
騎士の男、ミッシェル・ライオットが一歩、前に進み、ナーグに問う。
「……良いよ、頑張ってね?」
許しを承けた、ミッシェルは再び歩み始め中央に向かった。
「有難うございます。
……しかし、頑張って、ですか?
確かに、実力はあのお嬢さんの方が上ですね。
では、あの小さな達人に胸を借りましょう」
中央付近で足を止め、リシェルに向かい合った。
既に、気絶し、倒れたゼノを審判が舞台の外に飛ばし、治療班が魔法で治療を始めていた。
「さて、お嬢さん。
次は、私、ミッシェル・ライオットが相手とさせて頂きます」
右手を胸に、左手は腰の後ろに置き、一礼をする。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
リシェルも合わせて、一礼をする。
「では、審判の方、合図を……」
頭を上げた、ミッシェルからは審判に願う。
審判は頷いて「……始め!」と発した。
「では」
ミッシェルは木剣を、鞘から抜き、剣先をリシェルに向け、右半身を前に構える。
ダンッ、ど音が響くと、ミッシェルはリシェルに剣を突き刺した。
リシェルは剣を、槍で受け流し、弾いた。
が、反撃出来ず、既に、ミッシェルは最初の位置に戻っていた。
「速いね?」
「ええ、貴女と同じ、私は速さに自信が有ります。
そして、魔法ならぬ、魔技を使います」
「……魔技」
「魔力を、属性に変えず、魔力その物を、武器や、自分自身に宿す。
誰しも、属性を使わず、武器強化をする。
此れを、魔技、又は魔術と言う」
先程と同じ、構えを取り、その場で剣を振る。
腕の動きが尋常でなく、特に肘から先が見えない。
「ふっ」
リシェルも槍に魔力を通し、その場で振る。
バシッ、バシュッ、ビシュッ、と槍は何かを弾いた音を出した。
「……まさか、風刃?」
「おや、ご存知でしたか?
私が、子供の頃、最南端の街、サウルで出会った女性が居りまして、その方は傭兵で棍を使い、魔獣を魔技で倒していた。
使われた魔技の内の一つです」
「教わったの?」
「いいえ、教わったのは、概念と魔力操作です」
「そう、お兄さん、ラーシャさんに教えてもらったんだ?」
「おや、お嬢さん、ラーシャさんをご存じで?」
「知ってるよ、私、棍術習ったから」
「な?」
「よしっ、決めた!
お兄さん、魔技勝負をしょうよ。
この勝負、それが相応しいと思わない?」
「魔技勝負ですか……良いですね。
では、私から行きます。
風刃!」
「私も!
槍棍術、風刃!」
槍の中央を持ち、クルクルと回転させ、その勢いのまま、最後に大振りで、大きな風刃を出して、ミッシェルの見えない風の刃が相殺された。
また、リシェルは槍に魔力を内に通し強化、槍全体を包む魔力で、強度を上げ、刃先は鋭さが増し、最早、槍は木製のそれではなく、本物と変わらない武器となっていた。
「もう一つ、風刃・地走り」
大振りした勢いを、更に利用し、次の風刃を放つ。
風の刃は舞台を走る様に進む。
舞台にガリガリと傷後を残して進む。
ミッシェルは大きく横に避け、次に、リシェルに向かって走り、迫る勢いで移動し剣を振り抜く。
リシェルは槍で受け止め、剣の振り抜く威力に合わせ飛んだ。
着地と同時に瞬歩で、槍を五回瞬時に突き出す。
ミッシェルは、避けきれず、全て傷を負う。
「……気のせいでしょうか?
貴女の攻撃、私が行った攻撃に似ている様な感じがするのですが?」
「……そう?
そう思うなら、次は私から行くね」
槍を上段に構え、更に槍先を後ろに倒して行く。
槍先は地面すれすれに泊まり、跳ね上がる。
同時に一歩、大きく踏歩で踏み出し、槍を後ろから前に、半回転させる様に振り下ろす。
「風刃・大切断」
見えない風の刃が、三十メトル、直線に振り掛かる。
「くっ!」
ミッシェルは、何とか右に避けるが、体勢を崩し、次に対応しきれない。
リシェルは大切断を振り下ろした後、ミッシェルが右か、左か避けるのを待った。
リシェルから見て、左に避けたミッシェルに、瞬歩で向かい、胸、心臓部に向けて音速を越えた、一撃を繰出す。
リシェルは、この時、槍に通していた魔力を切り、素の状態に戻していた。
ミッシェルは、攻撃を避けれないと判断し、両腕をクロスし、槍を受けた。
「ぐあっ……」
ミッシェルは、大物の魔獣に跳ね飛ばされた様に、高く、遠く飛んで行った。
場外は免れたものの、ダメージは深刻だ。
特に、槍を受けた両腕は両方折れていた。
何とか、立ち上がったミッシェルは、自身の状態を確認し、「降参です」と言った。
「最後の攻撃の時、槍に魔力を通すのを止めて頂き、有難うございます。
でなければ、両腕は勿論、槍は胸を貫き、私は死んでいたでしょう」
「……ごめんなさい、少しやり過ぎたみたいです」
リシェルが頭を下げ、謝る。
「いいえ、此れは勝負です。
もし死んでも、誰も文句は言わせません。
では、私は舞台を降ります。
頑張って下さい」
「有難う、お兄さん」
ミッシェルは、ゆっくりと舞台を降りた。
そして、リシェルは中央に振り向くと、既に、ナーグは立っていた。
「お待たせしました。
次は、貴方ですね」
「……それ程、待ってない。
あの二人と戦って、この時間、とても早い」
「そうですか?
では、始めましょうか」
「……その前に、準備する。
〈影魔法、真似変身〉」
ナーグが、魔法を使い、ナーグの影が伸び、リシェルの影に触れた。
「な、影魔法?
貴方、もしかして……魔人ですか?」
「……そう、私、闇属性。
昔、産まれて、直ぐに親に捨てられ、今まで、何とか生きていた。
最初は拾われ、魔人になった後、直ぐまた、捨てられ、必死に生きてきた」
声か男の様に低い声だったのに、今、発した声は高い女の子の声だった。
その後、ナーグは今まで深く被っていた帽子を取った。
そして、その素顔は、リシェルに瓜二つだった。
「なっ?
どういう事だ、あの娘と、同じ顔だと?
それに、今言っていた境遇は、まさか?」
国王は聞いた境遇が、余りにも覚えがある為、狼狽する。
「いいえ、落ち着きなさい。
ラカール王、二人目のあの娘は、〈闇属性、影魔法〉で写し取った姿でしょう。
そして、二人目の言った境遇は、恐らく本当の事、自分の事を言っただけ……闇属性に産まれた赤子は、殆ど同じ様な境遇になるはずです」
ミカエルが、狼狽える国王達に説明をし、落ち着かせる。
「……そういえば」
「それでは、ミカエル様?」
王妃が問う。
「そうです。
貴方達の子は、最初の子、リシェル・シュザットです。
しかし、心境が穏やかでないのは、あそこに立っている、リシェルもそうでしょうね?」
(あれが魔人ですか、なかなか、厄介な存在ですね……)
ミカエルは、ナーグを見て、心の中で密かに思った。
再び、来賓席にいる国王達、全員の目は、リシェルに向けられた。
リシェルに化けた、ナーグは手に闇の魔力が集まり、剣の形に変わっていく。
形が定まった剣は、リュートにそっくりだった。
「行くよ?」
「なっ?」
ナーグは、瞬歩を使い、一瞬でリシェルに近付き、剣を振る。
その動き、正にリシェル、その物。
「どうして?
私と同じ動きを取れるの……」
「良いよ、教えてあげる。
〈影魔法、真似変身〉は相手の影に触れ、相手の姿、経験、技術を盗む。
私は、いつも、こうやって上手の相手を見つけたら、魔法で姿を変え、相手を殺し、生きて来たんだ。
貴女、自慢して良いよ。
何十回、行って来たけど、それでも、貴女が一番だよ?」
「……何となく、喋り方も私に似てない?」
「似てると思うよ?
だって、どうしても真似た人物に似てくるから」
あはは、と笑う姿も、リシェルは自分はこうなのかと思ってしまった。
「……うーん、何となく不愉快だな」
「みんな、そう言うよ」
「そう……じゃあ、行くよ」
瞬歩で近付き、槍を連続で繰り出す。
少しずつ、速度を上げ、槍に魔力を通して纏い、威力も上げて行った。
ナーグは、リシェルの動きで避け、捌き、合間に反撃を仕掛ける。
リシェルは、冷静を保ちながらも、苛ついていた。
今まで、ザーツや、ガイ等、格上の強い相手や、同じ技の使い手は散々と練習や、戦って来た。
しかし、同じ戦い方、癖、喋り方、動き、自分相手は流石に無かった。
だが、ここで気付いた。
そう、気付いてしまったのだ。
リシェルは、一度、手を止め、後ろに跳び、距離を取った。
「……そう、そうだったんだ。
何で、こんなに苛ついていたんだろ?
分かってしまったら、どうって事無いのに」
「何を言っているの?」
「んー、貴方の魔法、貴方が生きて行くには、必要だったのかも、知れないけど……それ以上は望まない方が良かったかもね?」
「……どういう事?」
「そのままの意味だよ。
決着、つけようか」
リシェルは再び、構え攻撃に出た。
ナーグは、剣に魔力を通し、風刃を放つ。
リシェルは避けず、槍で払い、そのまま石槌でナーグを突いた。
「ぐぅっ」
ナーグは膝をつく。
「何で、って顔だね?
これが、答えだよ」
「どういう事……」
「分からない?
貴方は、普通の人より魔力は多いけど、それだけだよね?
私、自慢するつもりは無いけど、私は貴方の十倍以上有るんだ」
「それが、何?」
「貴方は、男で、私より筋力が有る。
だから、最初は分からなかったんだ。
つまり、貴方の真似魔法は、私の魔力を真似出来ない、それと貴方の身体能力は変わらない。
私は、貴方より力は劣るけど、それを補う、違うか……それを越えて私自身に魔力を使えば、貴方に負ける理由は無い」
「そんなの、分からないだろ!」
痛みが収まったナーグは、技術も何もなく、只、リシェルに向かって来た。
「もう、私の口調も出来て無いね。
此れで、終わらせる」
リシェルは、今日一番の速さと、威力を込め、ナーグの両肩と両膝を壊した。
ナーグはうつむせに倒れ、もう動く事が出来なかった。
「……そういえば、その魔法、解除するつもり無いよね?」
リシェルはナーグに近付き、背中に手を当て、静かに、バレない様に、闇属性の魔法を使い、ナーグの真似魔法を解除し、一部封印をした。
封印部分は、姿を変える事を封印した。技術を盗む事はそのまま残した。
「此れで良し!」
うつ向きで倒れている、ナーグの姿が、見た事の無い、男性に変わっていた。
リシェルは、姿を変える事を封印したので、ナーグは元の姿に戻っていたのだった。
「審判、お願いします」
リシェルは、ナーグから離れ審判に声を掛けた。
「……試合終了!
Aブロック、勝者、リシェル・シュザット」
審判は、ナーグの状況を確認し試合終了の言葉を告げた。
ワァァーーーーーーっと、闘技場を揺らす歓声が観客から発した。
リシェルを讃える歓声が、観客から出る。
それを、聞きながら、国王は、王妃、帝王に確認し、傍に控えているランフォードに、今しがた書いた手紙を預け、向かわせた。
手紙の内容は……
今夜、リシェル・シュザットと話をしたい為、向かえを寄越すので、王城に来られたし。 国王ラカール
こんな感じになりました。
よろしくお願いします。




