3章 5 オーク集落、討伐出撃
出来ました。
長くなったので、2つに分けました。
いつも、セリフばっかりですみません。
私の書き方は、こうだと思ってください。
後、ブクマを登録して頂いた方、
読んで頂いている方、ありがとうございます。
これからも、よろしくお願いします。
洞窟を出て、すぐに数体のオークが迫って来た。
不意を突かれはしたが、難なく対応したザーツ達は、周りを見渡した。
オークの死体の他に、白い材質で出来た人形が、何体か壊されていた。
「ギルバード、この人形は?」
「この洞窟を守らせていた、人形です。
この人形は、魔石を心臓部分に埋め込み、動かしているんですが、どうやら、既に魔石を抜き取られた後みたいです」
「奴らは、魔石をどうするんだ?」
「食べます。
食べる事で、力を付け、進化します。
それにより、ある一体のオークが、オークキングまで進化し、他のオークまで引き寄せ、二百匹を越える大集落となりました」
「なるほどな、とりあえず、今、この辺りにいるオークは、対処した分で終わりか」
「多分、まだ何体か人形は残って、オークを引き寄せているので、ここに居たのは、溢れた分のオークだと思います」
「じゃあ、地形も含め、調べてみるか……
レイ、良いか?」
「はい、ザーツさん」
ザーツと、レイは《魔術、探査》を掛けて周りの状況を調べた。
「……よし、レイ、質問だ」
「はい」
「状況は?
オークの居場所を、言ってみろ」
「そう、ですね……オークが集まっている場所は四ヶ所。
まず、右から見て、三十度に四体、距離四百メトル、地形は草原。
次に、中央から右、二十度程、六体、距離三百、森。
中央から左、十度、四体、距離二百五十、同じく森。
次、左から見て四十五度三体、距離三百、崖に囲まれた岩場。
後、オークは、何かと……ギルバードさんの人形です。
戦っているというより、逃げまわってるみたい、です」
「以上か?」
「え、あ、はい、そうです」
「……そうか、レイも、大分、探査に慣れてきたな。
でも、今回は、それでは五十点くらいだな」
「……え?」
「普段なら、別にそれで、良いかもしれない。
だが、レイ、今回の依頼内容は?」
「……オークキングの討伐、それと、オークの住み処にいるオーク、全滅です」
「そうだな、今、レイが調べたオークだけの討伐なら、それで正解だ。
だけど、今、探査した中に、オークキングは居たか?
住み処を見たか?
今、レイが見つけたオークはどうやって、そこまで来た?
状況に応じて、調べる内容も変わる、内容で作戦も変わる。
厳しい事を言うが、レイが先兵代わりに探査で調べるなら、中途半端は駄目だ。
チームを失う事だって、有るかもしれない。
何時だって、注意深く、気をつけろ
分かったか?」
「はい!」
「よし!
因みに、今、オークが戦っている、ギルバードの作った人形、強いのか?」
「いえ、今日は皆さんを迎いに行く為、此方も、百体、人形を用意していたのですが、もう殆ど壊されて、魔石を取られたみたいです」
「……奴らは、魔石で強くなるんだろ?
何で、餌をやるみたいな事をしたんだ?」
「それでも、ここを襲撃されるよりは、良いですから」
「ああ、そうか……すまない」
「いえ」
「ギルバード、人形二体で、オーク一体と戦って、勝てるか?」
「……勝てる、と言いたいですが」
「難しいか?」
「はい」
「ふむ、ガイ」
「何だ?」
「今回、俺が作戦を決めて良いか?」
「良いぞ、レイ、ラン、ライも、よく聴いて勉強する様に!」
「「「はい!」」」
「まずは、レイ、もう一度、探査で中央の二ヶ所を調べて、更に奥、オーク達が歩いた獣道を探してみろ」
「はい、獣道……有った」
「有ったか?
その先は、どうなってる?」
「え、と……繋がってます。
そうか、ここで二ヶ所に別れて、四ヶ所になっていたんだ!」
「そういう事だ。
後、そのまま進むと、集落にたどり着く。
左右のオークが来ている所も、それぞれ道は一本、つまり、集落までの道は三本になるな。
いいか、皆、ここから、作戦を言う。
まず、ギルバードはこの場所に残り、もし、抜けてやって来たオークの討伐と、人形の入れ替え。
そういえば、ギルバード、人形は今、何体有るんだ?」
「あ、はい、今、オークと対峙しつつ逃げてる八体、いえ、今一体壊されて、七体と、こちらで魔石の交換して待機中が四体の計十一体です」
「そうか、では一番右の場所に向かうのは、ランと、ギルバードの人形四体で向かってもらう。
次に、中央右寄りの森にリシェルと、俺が向かい、中央左は、レイと、分身の俺が、最後は、左の岩場にガイと、ライで行ってくれ。
ギルバードは、各自、それぞれの場所に、俺達が着いたら、先の人形を引き上げ、魔石の交換をする事。遠見が出来るなら、念話も出来るだろ?
各場所の状況の把握と通達、出来るか?」
「はい、出来ます!」
ザーツの確認というより、やれオーラ満載の命令にギルバードは、背筋を伸ばし、肯定の返事をした。
「戻って来た人形は、戦いに向かった人形が動きが鈍くなったり、やられたりした場合は、随時、交換する事。
やる事が多いが、自分が蒔いた種だ、頑張れ」
「はい」
「ラン」
「はい」
「ギルバードの人形四体で、オーク一体と戦う。
人形の動きに迷わされず、自分の流れと、判断で戦え」
「分かりました」
「各自、その場の討伐が終われば、獣道を進み、集落に向かいつつ、戦え。
ギルバード、状況説明と、連絡は任すぞ」
「はい、頑張ります」
「よし、皆、行くぞ!」
「「「おう」」」
各自、指名された場所に向かった。
「レイは、途中まで俺達と一緒に向かう」
「分かりました」
「俺の分身だが、戦う事も出来るが、本体の俺よりは弱い、戦いはレイに任せ、俺は補助にまわる。
リシェルもだ、リシェルも一人で戦って、当初の予定通り剣の修行する事。
……そろそろか、〈幻夢魔法、分身〉」
ザーツは、もう一人の自分を出し、分身の調子を確認した。
「大丈夫だな、じゃあ、レイ、頑張れよ?
後で合流するまで、無茶はするな。
まあ、分身で見てるけど」
「ザーツさんと、リシェルも、気をつけて」
「ああ」
「うん」
それぞれ二手に別れた。
「おとうさん、一つ聞いて良い?」
「ん、どうした?」
「どうして、レイ兄さんに嘘を言ったの?」
「嘘は、酷いな」
「おとうさんの分身、弱くない」
「そうだな」
「だったら、何で?」
「理由か、あいつの為だな」
「レイ兄さん?」
「そうだ、あいつだって、傭兵になって、まだ五年、その内、ランや、ライも、順に傭兵になって、チームを組み、兄として、リーダーとして頑張って来たんだ。
自分が正しいのか、間違っているのかも、判断出来てないのにな。
たまには、レイだって何も考えずに、戦って、指示受けて、人から学びたい事もあるだろうさ」
「そっか、だから、おとうさんの分身をつけたんだ」
「そういう事、後、ランも、たまには違う相手と組んで、考えたり、流れをよんだり、出来なきゃな?
レイと、離れて行動して学んだら良いと思った」
「おとうさん、凄い!」
「因みに、リシェル?
今、俺がついて動いているが、オークが出たら、リシェル一人で戦うんだぞ?」
「そうなの?」
「元々、この依頼は、リシェルを鍛える為の依頼だぞ?
危ない時は、フォローするけど、自分で考えて、戦え」
「分かった」
「そろそろだな……」
話も一段落し、辺りを見渡すとオークを惹き付けて、逃げまわっている人形を見つけた。
「あ、いた」
「じゃ、リシェル、頑張っておいで」
「うん、行ってくる」
リシェルは、腰元に差した剣、リュートを鞘から引抜き、オークに向かって行った。
オークの数、先程探査した時と変わらず、六体。
まずは近くにいるオークを胴を切り付ける。
肉厚な為、致命傷にはならない。
だが、リシェルの動きは落ちない。
オークが反撃に、手に持っている簡素な槍で突いて来る。
素早くしゃがんで避け、膝上を切り裂いた。
体を支える足は、胴と違い、筋肉質で太いが、刃が骨まで達した。
オークはバランスを崩す。
リシェルは立ち上がるスピードと、膝のバネを利用し、オークの首筋に剣を突き刺した。
一体目、死亡。
二体目、三体目が順番に向かって来る。
リシェルは、一旦、跳歩で後ろに飛び、着地と同時に右に飛ぶ、この時残歩で姿を残している。
残った残像にオークは攻撃する。
勿論、攻撃はすり抜ける。
リシェルは右に飛んだ後、空歩でオークより高く跳び、二体のオークの間に着地する。
着地する前に、二体のオークの首は切り落とされた。
三体、死亡。
その後も、危なげなく、残りのオークも倒した。
四体目、丸太の様な太い棍棒で、振り下ろされるが、リシェルは振歩で直前に避け、心臓部分に刺す。
直ぐに剣を抜き、既に死亡したオークを、足場にして上に跳び、剣に魔力を込め、落ちる勢いのまま、五体目を両断する。
六体目、状況を見て、逃げようとする背中を向けたところで、心臓に剣を刺す。
「ふう、どう、おとうさん?」
「言う事無いよ、ちゃんとオーク達の動きも見てるし、無駄な動きもしなかった。
強くなったな、リシェル」
「えへへ、ありがとう」
ザーツは、リシェルの頭を撫でる。
リシェルが、好きな愛情表現の一つだ。
リシェルは、くすぐったそうに目を細めた。
「さあ、オークの魔石を集めたら、先に進もう」
「うん、他の皆、どうかな?」
「ギルバードに聞いてみるか」
ザーツは、獣道を歩きながら、ギルバードに念話する。
『ギルバード、見てたか?
俺達の所は終わった。
集落の方に向かう。
他の状況を知りたい』
『ザーツ殿、リシェル殿、お疲れ様です。
他の所も、もう終わりです。
そのまま、先に進みオーク達から見えない様にしていてください。
……ラン殿からの伝言です。
皆が集落の近くに集まり、攻撃を始める前に、私から、一度、弓矢で範囲攻撃します。
許可をお願いします。
以上です。』
ザーツは、リシェルと顔を見合わせ、頷きあい『俺達は構わない』と念話で返事を返した。
『…………全員の確認を取りました。
ラン殿に返答します。
攻撃を仕掛ける場所を決めたら、もう一度、念話で言ってください。
念話は、繋いで置きます』
集落を目指し歩いている途中で、レイと合流した。
この時点で、ザーツは分身を消し、三人で向かった。
集落間近に着き、襲撃しやすい場所を見つけ、待機し、念話でギルバードに報告する。
『分かりました。
他の方達が集まるまで、お待ちください』
「よし、レイ、もう一度、ここから探査をして、状況を調べるぞ」
「はい、ザーツさん」
二人は目を閉じ、探査で調べ始めた。
リシェルは、二人の護衛として、辺りを警戒し、ある事を試してみた。
「やっぱり、まだ二百匹はいるな……」
「そうですね。
それより、オークキング等の上位種が、見当たらなかったのが、気になります。」
「ああ、あいつらは、いくつか有る洞窟の中にいたぞ」
「本当ですか?
すみません、気が付きませんでした……」
「さっきも、そうだったが、まだ慣れていないんだ。
少しずつ、出来るようになれば良い。
焦るな」
「……はい」
「しかし、外に出ている数が多いな?
何をしているんだ?」
「ザーツさんでも、分からなかったのですか?」
「おいおい、俺だって、出来ない事は有るぞ?
何かを食べていた、みたいだったが……」
「おとうさん、魔石だよ。
ギルバードさんの人形から取った、魔石を配って食べてるみたい」
リシェルの言葉に驚き、リシェルを見ると、集落の方を凝視するみたいに見ている。
ただ、普通と違うのは、リシェルの目に魔力が集まっている事だった。
「……遠見か」
ザーツは、リシェルが、何をしているのかを気付き、質問をする。
「奴らは、進化しているのも、いるか?」
「わからない……
でも、何体か、体が大きくなったオークがいるみたい?」
「そうか、リシェル、もう良いぞ」
その言葉に、リシェルは遠見を止めた。
「しかし、いつ、遠見を覚えたんだ?」
「ギルバードさんが、使っているのを聞いて、探査の要領で試してみたの」
「そうか、後で、ギルバードにきちんと教えて貰いなさい。
間違ったやり方は、場合によっては体を壊すぞ」
「そうなの?
分かった、ギルバードさんに後で聞く」
二人の会話を聞きながら、レイは、リシェルに対し恐れる。
(普通、聞いただけで成功しないぞ……
やっぱり、リシェルは)
『お待たせしました。
全員、待機中です。
襲撃の用意は宜しいでしょうか?』
『待ってくれ、今、待っている間、オーク達を探査で探っていた。
結果、奴ら、ギルバードの人形から取った魔石を食べたみたいだ。
それで、何体かは成長しているらしい。
後、キング等は洞窟の中にいた。
とりあえず、表にいるオークの殲滅から始めるぞ。
予定通り、ランの奇襲から始める。
ギルバード、皆の用意が出来たら、タイミングをはかって、ランに号令を、その後、矢が届く頃、襲撃を開始する。
此方は、今の間に用意は出来た』
『分かりました……では、通達します』
暫し、間が空き。
『ラン殿、今です』
号令後、集落を見て、右側で魔力が膨れ上がった。
魔力の籠った矢が、何本か打ち上げられた。
登りきった矢は、何百、何千と分裂し、オーク達に向かって落ちていく。
矢には、〈幻夢魔法、分身〉を矢に掛け飛ばしたのだろう。
矢が、オーク達に届く頃。
『皆さん、出撃、開始!』
ギルバードの念話が、大声の如く、頭に響いた。
「行くぞ!」
「「はい!」」
ザーツ達、三人は集落目掛け、走って行く。
こうして、オークキング討伐、本番が始まった。
えーと、こんな話でも、面白かったと思った方。
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m(__)m




