3章 4 ギルバードの依頼と秘密
出来ました。
本当なら、昨日に投稿する予定だったのに……
読まれて頂いている方、すみません
お待たせしました。
朝、余裕をもって起き、部屋を出ると、ザーツも起きたところなのか、台所で朝食の準備を始めていた。
「おはよう、おとうさん……手伝うよ」
「おはよう、リシェル。
ありがとう……でも、もう少しで出来るから座って待ってなさい」
「うん、分かった。
飲み物だけでも、用意するね」
「ああ、よろしく」
暫くして、食卓に朝食が並び、二人は食事を始めた。
「そうだ、リシェル。
槍の調整、終わったから、食べ終えたら確認してくれるか?」
「もう、終わったの?」
「ああ、ちょっと頑張った。
それ程、難しいって事はなかったしな。
更に、渡した剣みたいに付与しようかと思ってたんだが、容量が一杯で無理だった。
だから、今日、渡せるんだよ」
「そうなんだ。
あ、剣で思いだした!
昨日、寝る前に能力の確認をしたの。
それでね?
おとうさんに相談しようと思ってたんだ」
そう言って、リシェルは確認した能力を説明した。
「へえ、ベルゼブブの奴、そんな事してたんだ?
リシェル、腐蝕ってのは、リシェルも言ってた様に、物を腐らせたり、脆くしたりとする、ベルゼブブの能力の一つだ。
因みに、俺もベルゼブブと契約しているから使える」
「へぇー」
「それと、能力吸収?
それは、また、凄い能力が着いたものだ。
まあ、剣を握っていなかったら使えないだろうが……頑張って成長させなきゃな?」
「大丈夫、今日、いっぱい使うから!
もしかしたら、凄く成長するかも」
「ん?使うのは分かるが、どういう事だ?」
「うん、あのね……」
昨日、ギルドに報告した時の事、その後で、レイ達と話し合った事を話した。
「なるほど、それは、レイの言う通りだな。
しかし、火属性か……」
「駄目だった?」
「いや、駄目じゃない。
威力は全属性の中で、トップクラスだからな。
ただ、その分、他の属性より応用しにくいから、他の属性を上手く使って、ごまかすしかないな?
因みに、ミーザも火属性だぞ。
だから、あいつ、あの魔力で使いまくるから、強いんだ」
「そうなんだ!
おかあさんと一緒、なんか、嬉しい」
「あいつに言っておくよ」
そう言って、ザーツは微笑む。
「そういえば、おとうさん。
いつから、魔王城に行くの?」
「それなんだが、今日からオークキング討伐に入るのだったな?」
「うん」
「今回は、俺も行こうと思う」
「そうなの?」
「ああ、この依頼、本来数チームが集まって討伐する内容だ。
それを、お前達だけに依頼をまわす事は普通は無い。
多分、そうすれば、俺か、ガイが付いて行くと思ったのと、もう一つ、依頼人だろうな」
「依頼人?」
「ギルバード、だったか?
俺は知らないが、魔族だって、ギルド長は言ってたのか?」
「おとうさんも知らないの?」
「ああ、ガイ経由だと思うが、あいつの顔の広さは、俺もビックリだな」
「ガイおじさんに、後で聞いてみようよ?」
「そうだな……そろそろ行く時間じゃないのか?」
「……うん、ちょうどいいかな」
「ガイの所で、待ち合わせか?」
「そうだよ」
「じゃあ、行くか」
二人は立ちあがり、ガイの家に向かった。
「お、来た、来た!
おはよ、リシェル、ザーツさん」
ガイの家の前には、既にレイ達が出て待っており、リシェル達を迎えた。
「おはよう、皆、お待たせ」
「おはよう」
「ガイおじさんも、おはようございます」
レイ達に混ざり、ガイも居たので、リシェルは挨拶をした。
「おう、リシェル、おはよう。
ザーツも、おはようだな」
「おはよう……やっぱり、お前も、今日は付いて行くのか?」
ザーツは、ガイの姿を見て、そう聞いた。
「ああ、話を聞いてな。
ザーツも、そうだろ?
とりあえず、ここでは何だ。ギルドに行くぞ」
ガイは、ザーツと話ながらギルドに向かい、リシェル達も後を追った。
「そうだ、ガイ、依頼人のギルバードっていう奴は魔族なのか?」
「ああ、死魔族の青年だ。
会ってみたら分かるが、人見知りなところが有ってな、俺も数回しか会った事がないんだ」
「青年、俺達より下の世代か?」
「下だ、見た目、二十歳くらいだが、魔王候補だったらしい」
「へえ」
「お前が王国に行った後、魔王城に集められたが、存在が薄くて、気付かれ難いので、魔王城から抜けだしたらしい。
それで、静かに生きたかったから、サーズ山に来たそうだ」
「じゃあ、何で、この街に現れたんだ?」
「それがだな、山の中でひっそりと過ごしていたらしいんだが、ある日、でかい魔力を感じたんで、気配を探っていたら、ここだったらしい」
「……もしかして、俺達か?」
話している内に、ギルドに着いたので、ガイは笑いながら中に入って行った。
アリアが、俺達に気付き近寄って来た。
「おはようございます。
皆さん、ギルド長がお待ちです。
こちらに、ついて来てください」
連れられて来た場所は、いつもの如く、ギルド長の部屋だった。
「アリアです。
皆様が、来られたので、お連れしました」
アリアは、部屋のドアにノックし、声を掛けた。
「入ってもらえ」
アリアは返事を聞き、ザーツ達に中へ入るようにドアを開けた。
「どうぞ、お入りください。」
中に入ると、部屋には、ギルド長と、黒いフードを顔半ばまで被った人物が座っていた。
ギルド長は、ザーツ達に座るように進め、アリアに飲み物を頼んだ。
「さて、もう分かっているだろうが、一応、紹介しておく。
此方が、依頼人のギルバードだ」
ギルバードは顔を此方に向け会釈した。
「この度は、依頼を受けて頂き、ありがとうございます。
この様な、姿で申し訳ございません。
ガイ殿、お久しぶりです。
貴方の子供達が、この依頼を受けてくれたのですね。
助かります。
私、一人では、なかなか対処出来なくて、困っていたのですよ」
フードを被って見えている口元が微笑む。
その見えない顔をリシェルは、ずっと見つめ続けているのを、ザーツは気が付き、念話で注意した。
『リシェル、気付いたのは、偉いが今は抑えろ、街を出たら、俺が尋ねるから』
『……うん、分かった』
「失礼します」
ノックして入って来た、アリアは、ギルド長とギルバードには、新しい飲み物を交換し、ガイ達の前にもそれぞれに飲み物を置き、再び部屋を出て行った。
その間も話は続き、暫くして、ギルバードの案内の元、オークキングの住み処に向かう事になった。
ガイ達を連れ街まで出て森の中を少し入った所で、ギルバードは振り返り言葉を発した。
「さて、皆さんの中で、私に聞きたい事がある方が、居られるでしょう?
有るなら、どうぞ、遠慮なく。
無ければ、このまま、皆さんとオークキングの住み処近くまで転移しますが、如何でしょうか?」
「じゃあ、良いか?」
ザーツが、手を上げ、問いかける。
「どうぞ」
「ギルバード、だったか?
お前、今、ここに居ないだろ?」
「……可笑しな事を、言いますね。
ならば、ここに居る私は、何ですか?」
「死体で作った、別の身体、だろ?
死魔族のギルバードくん。
その死体に、自分の魂を憑依して、動かしている。
違うか?」
「……ふふっ、凄いですね!
どうして、分かりました?」
「魔力、だな。
感じる魔力がお粗末だ、勿論、俺みたいに抑えている訳でもない。
魔王候補だと、ガイに聞いた。
本当のお前はどこにいる?」
「おとうさん……この人、多分、動けないんだと思う。
理由は、分からないけど」
「凄いね、そこまで分かるのかい?
貴女は、流石ですね……」
「?」
「ああ、すみません、貴方達のおっしゃる通りです。
が、オークキングの依頼は、本当です。
私の居場所に、オークキングが現れて困っているのです」
「ねぇ、ギルバードのおねえさん?
どうして、動けないの」
「……本当に凄い。
本当の私の性別が、女性だと見抜きましたか。
流石は、ルシファー、と、言っておきますか。
良いでしょう、お話しします」
ゆっくりと、リシェルの前に近寄る。
「悪いが、そこで止まって貰おう」
ザーツが、リシェルの前に立ち、近寄るギルバードとの間に入る。
「……ベルゼブブの契約者。
はぁ、まぁ、では、このままで。
リシェル殿、貴女の言う通り、私は訳有って動けません。
なので、最初に、かれこれ十五年前になりますか。
私が今の居場所で、私自身に、ある魔法を使いました。
その魔法の副作用といいますか、その為、私は動けなくなりました。
そして、そこに居る、ガイ殿に会い、私の事情を話す為、まぁ、私が女性という事は防ぎましたが、この身体を作り、魂を移し、この街に来ました。
そして、ガイ殿に相談し、街の重役……今は亡くなられて居られますが、村長と、なったばかりのギルド長等に紹介して貰いました」
ザーツが、ガイに確認を取る為、ガイを見た。
「間違いないぞ」
ガイが、首肯く。
「その三年後、とてつもなく、巨大な魔力を感じました。
リシェル殿、貴女です。
貴女の事情、私の契約をしました、大悪魔〈アシュタロト〉に聞いてます。
ここで、貴女達に謝らなくてはなりません」
ギルバードが頭を下げた。
「貴女が大きくなるまでは、私も《魔術、遠見》で時々、見てました。
七年前の、魔王ミーザとの会合もです。
私も大悪魔と契約した者、貴女の為に、貴女達と戦う為、行動を起こしました。
ここからは、本当の私の居場所で話したいと思います。
全員、私のどこかを持って、または持っている方に掴まって頂けるでしょうか?
……大丈夫ですか?
では、転移します」
ギルバードは、ここいる全員が、自分に繋がっているのを確認し転移した。
着いた場所は洞窟内で、辺り一面、透明だが薄暗い水晶の様な魔石が有った。
「凄い……この石全部、ギルバードさんの魔力を感じる」
リシェルは、周りの魔石を見渡しながら、そう、呟いた。
「では、此方に来てください」
ギルバードは、先頭に立って、洞窟の奥に誘導する。
洞窟の奥には、大きな魔石の棺の中で、一人の女性が眠っていた。
「その中にいるのが、本当の私です。
私の本当の名は、アミルと言います。
ギルバードは、この身体の名で、名付けた事で、死体を擬似生命体と固定し、生きているのと変わらない身体となっています。
死魔族でも、特別な技術です。
今のところ、私にしか出来ません」
ギルバードは、自慢気に胸を張ったが、直ぐに説明を続けた。
「失礼しました。
もう、お気付きだと思いますが、私自身に掛けた魔法の為、十五年以上の時を、この魔石の中で動けない状態になっております」
「では、自分の魔力を、魔石にして保存する魔法なのか?
闇属性には、その様な魔法はない筈だが……」
「その通りです、存在しません。
敢えて言うなら、土属性と、水属性、更に闇属性の、合わせた混合魔法と言いますか、無理な魔法の研究をしたものです」
「……因みに、どうやった?」
ザーツは、自分で考えられない事を、考えられるギルバード、いや、アミルの考えに興味を持ち尋ねた。
「子供騙しみたいな物です。
《闇属性、幻夢魔法、分身》で三体に分かれ、分身二体それぞれに、土属性の魔石、水属性の魔石を持たせ、本体の自分に向け、魔石に魔力を通しました。
この時点で、土と水は、同じ魔力により融合、水晶化に成功、更に本体からの闇属性の魔力で、闇水晶に変化、魔力を溜め込む事に成功、更に、調子に乗ってしまい、闇水晶に分身の魔法を掛けて、成長を促し、数量を増やそうとしたところで、制御出来ず、暴走してこの状態になってしまいました……」
「面白い発想だな。
俺も、道具の改造や、付与をする者として、参考になった。
ありがとう」
「いえ、恥ずかしい思いです」
「二人とも、そういう話は後にしろ!
俺達はオークキング達を討伐しに来たはずだが、いつ、本題に入る?」
いつまでも、話続ける二人に呆れ、業を煮やし、ガイは注意した。
「はっ、すみません、ガイ殿。
つまり、オーク達はこの魔石に惹かれ、この近くに集落を作り、奪いに来るのです。
勿論、私も、ギルバードの他に守護者を作り、魔石を守っていたのですが……数が多くて、何度か、魔石を取られ、ある一体がオークキングまでに進化してしまい、その為、ギルド長に相談、報告、依頼を頼んだのです」
「なるほど、理由は分かった……が、話が長い。
とりあえず、洞窟の外、近くにオークの集落が有るんだな?」
「すみませんガイ殿、皆様、そうです。
近くに集落が有ります。」
「そうか、並ば良い、まったく!
朝から、動いているのに、もう昼間近だぞ?
どうする、先に飯にするか?」
「そうだな、今回は長丁場だからな、その方が良いか?
では、昼飯を食べ、三十分後に始める。
皆、それで良いか?
じゃあ、食べようか」
そう言って、ザーツは影から、出来上がっている食事を出し、皆で食べた。
食べた後は、皆それぞれ、休憩を取る者、話し合う者等分かれた。
三十分後、皆、武器や防具を取り出し、装備した。
今回は、ライも、レイから先に、様々な武具を取り出して貰い、新しく買った、携帯用のアイテムボックスに入れ、準備を整えた。
「では、オーク討伐、行くぞ!」
ガイが、全員を見渡し、確認し、号令を発した。
「「「「おう!」」」」
全員から、返事が返り、洞窟の外に向かった。
本来なら昨日に投稿し、2ヶ月で三十話
平均、二日で一話って、書きたかったです。
(T_T)
そうです、昨日で初投稿から2ヶ月だったのです。
体力が無くて、書くのが遅い、私自身の問題です。
少しでも、早く書きたいのですが……
この様な作品ですが、これからも
よろしくお願いします。
m(__)m




