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3章 リシェル、七年間の修行の記録

出来ました。

3章です。

いつもなら、章の間に、幕間を入れるのですが、詳しくは後書きにて……

よろしくお願いします。

 時間は七年前に戻る。


 リシェルが五歳の誕生日を終えた、その日の夜。

『強くなりたい』

 おとうさんに、そう言った。


 翌日

 今日からガイおじちゃんに体術を教えてもらう事になった。

「リシェル、強くなりたいんだって?

 ザーツから聞いたぞ。

 俺の体術は、まず、足の動き、動かし方を覚える。

 その事を歩術と言う。

 歩術には、基本の四種、それらの上位に当たる三種が有る。

 そして、計七種の歩術は、人族、魔族の持つ七属性に対応する。

 基本の四種は土、火、水、風に、上位の三種は無、光、闇に値する。

 ここまでは良いか?」

「はい!」

 リシェルは、元気に答える。

「リシェルは赤ん坊の時から、ザーツに魔力を操作して貰っていて、今ではリシェル自身でも魔力操作は自由に出来る様になっているはずだ」

「はい!」

「歩術は足、または前進に魔力操作で強化し動かす。

 今日、覚えるのは土の歩術、踏歩とうほ歩だ。

 まず、下半身を魔力で強化し、一歩ずつ、一歩ずつと大地を踏み締める様に歩く。

 やってみろ!」

「はい!」

 リシェルは言われた様にして歩く。

「そうだ。

 次に、どちらでもいい、片方の膝を胸元まで持って来きて立ち、前に、ゆっくりと倒れながら、上げた足を大地に突きつける様に踏む。

 次は逆の足で同じ事をする。

 繰り返しながら前進する。

 つまり、踏歩は力強く魔力を込めて大地を踏む術だ。

 しばらく、良いと言うまで、それを続けて貰う」

「はい!」


 一時間後

「どうだ?

 魔力を多く持つリシェルでも、連続して魔力を使いながらするのは、かなりキツいだろう?」

 リシェルが肩を上下に動かし、呼吸を繰り返しているのを見ながら、ガイが問う。

「休憩の後、次は、また膝を胸元に持って来て、上げた足の方の横に倒れる、倒れきる前に足下ろし踏む。

 その次は、逆で、前に、後ろに、前後左右に行う。

 今日はこれの繰り返しだ」

「は、はい……」

 リシェルの修行は始まったばかり。


 翌日

「今日は、火の歩術、交歩こうほだ。

 交歩は、次の動作を行いやすくする為の歩術。

 人は歩く時、左右の足を入れ替えながら歩く。

 前後左右斜め、どの方向にもだ。

 そして方向転換をする時、爪先を軸に足首、膝、腰肩と捻り進む。

 俺が言う通りに歩け、まずは、下半身に魔力を通して、体の向きはそのまま、足だけを交差し右に進め」

「はい!」

「体はそのままだ……次は左に進め……ついた爪先を軸に百八十度、体を右に反転、前進」

 段々と速く進み、また右に、左に、九十度、百八十度、一回転と回りと、ガイの指示に一日動き続けた。

 これで、本当に強くなるのか、疑問を持ち初めたリシェルだった。


 翌日

「今日、水だ、振歩しんほ、もしくは流歩りゅうほと言う」

「おじちゃん、良い?」

「……何だ?

 こんな事して強くなるのかって聞きたいのか?」

「……う、うん」

 リシェルは驚いた顔をして首肯く。

「ふふ、そう思うのは当たり前だ。

 俺だって、親に、これを習った時、思ったからな。

 まあ、ゆっくり、やるから見てろ」

 そう言って、ガイは構える。

「まずは、踏歩」

 足を踏み出し、拳を突く。

 逆に踏み出し、蹴りを出す。

 横に踏み出し、肘を突く。

 後ろに踏み出し、裏拳を放つ。

 何度も踏み出しては、力強く手を、足を出す。

「次に、交歩」

 右に足を交差し、足刀蹴り。

 左に交差し体を捻り、回し蹴り。

 前後左右に足を交差し、体を捻り拳を、蹴りを出す。

「どうだ?

 動きに無駄はあったか?

 歩術は、体術の基本動作だ、分かったか?」

「……うん、ごめんなさい」

 リシェルは素直に謝った。

「疑問を持つのは、当たり前だと言ったろ?

 これで、頑張れるな?」

「はい!」

「じゃ、行くか、水の振歩、又は、流歩だ。

 これは、相手の攻撃を避けるのを、前提とした動作だ。

 攻撃の交歩、捌きの振歩(流歩)と言ってな?

 反撃をする為の動作、次につなぐ為の動作だ。

 構えて軸足を残し、体を捻り逆足を円を描く様に動く。

 これは、この動きで相手の攻撃を紙一重で交わせば交わす程、相手への反撃がしやすくなる動作だ。

 色んな足の動きをするから真似てみろ」

「はい!」

 ある程度の動きを真似させてた後、次々と指示を出し、振歩(流歩)を続けた。


 翌日

「基本、最後の歩術、風の跳歩ちょうほ

 これは、今までと違い、爪先、足首、膝とバネの様にして跳ねる。

 そして、片足、両足と重心を変えながら跳ね、踏歩、交歩、振歩をする。

 基本にして応用、力より速さを求める動作。

 最初は昨日と同じくやってみるので真似てみろ」

「はい!」

「この跳歩は、先の歩術と違い、走り続けているのと変わらない為、体力も必要となる」

 これから一年、四つの基本歩術に合わせ立ち技の修行を行った。


 修行二年目

「よく、この一年、頑張った。

 今日から、上位の歩術に入る、が、身に付けられるか、どうかはリシェルの才能次第になる。

 それ程に難しい歩術だ。

 まずは無の歩術、空歩だ。

 大地ではなく、空を歩き、空を蹴り、空を方向転換する歩術。

 まずは、見て確認しろ」

 ガイが跳び、右足で空中を蹴り、横に移動、左足で前を蹴り後ろの移動、右足で上に、左で前に、一度も跳んでから足を地に着けず移動を続けた。

 まるで、それは空中で行う跳歩だった。

「次に、光の歩術、瞬歩しゅんほ

 瞬歩は、最低でも、五メトル、最大は使い手に寄るが、十から三十メトルくらいの距離を一瞬で移動する歩術だ。

 俺が出来るのは五メトル……苦手なんだ」

 まあ、見てろ、と言ってリシェルから、十五メトルくらい離れた。

「始めるぞ」

 ガイは跳歩の様に軽く跳ね、気がついたら、横に五メトル位置がずれている。

 そして次々に、居た場所から違う場所に移動した。

 最後にリシェルの前に立ち、真に一瞬で移動したみたいだった。

「こんな感じか、まあ、瞬歩がどういった物かは分かったと思う。

 これを十~十五メトルと出来ると、相手の隙を突く事が出来易くなる歩術だな。

 最後は、闇の歩術、残歩ざんほだ」

 ガイは再び、十メトルくらい離れた。

「見てろ」

 ガイはゆっくりとリシェルを中心に円を描く様に歩き初めた。

 すると、リシェルの目には、ガイが消えては、現れ、消えては、現れ、最終的にはリシェルの周りに、ガイが居た。

「今、リシェルには俺が沢山いる様に見えているはずだ。

 試しにどれかの俺に石を投げて当ててみろ」

「はい」

 リシェルは足元に落ちている石を拾い、狙って投げた。

 すると石はガイにすり抜ける様に飛んでいった。

「あれ?」

「残像だ」

 いつの間にか、ガイはリシェルの後ろに立っていた。

「あれ?」

 それに気づいた時、さっきまで、リシェルの周りを歩いていた沢山のガイが消えていた。

「これで、上位の歩術を全部見せたな。

 やり方を教えるから、後は自分でやってみろ。

 アドバイスは言うし、尋ねてきたらする」

 そう言って、ガイはそれぞれの歩術の技術を話始め、リシェルは行動を始めた。


 リシェルが三種の上位歩術を、身に付けたのは一年半の年月が掛り、更にそれに合わせた攻撃や体捌きを出来るまで、更に一年、合計三年半の月日をもって、ガイからの体術合格を貰った。


 次の日からザーツから剣や棒術を習い始め、ガイに習った体術と合わせ、練習を重ね続けたのであった。


 こうして、リシェルは五歳の誕生日からの七年、十二の誕生日を迎えるまで修行を行ったのだった。








今章は、街を出るまでの修行編として話を書く予定なので、幕間ではなく、3章でリシェルの五歳からの七年間の修行も纏めました。

バイパー討伐の話を期待していた方、居られましたら、スミマセン。

次回、話は戻りますので、

よろしくお願いします。


長さ、距離の単位 メトル

重さの単位 キロ

です。

まあ、普通に考えたら、分かりますよね?

スミマセンm(__)m


後、今回、文字にルビを入れて見ました。

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