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2章 7 ギルド長の依頼

出来ました。

少し短いです。

よろしくお願いします。

 リシェルが十二歳となり傭兵として、旅に出ると決めた時点で、作物の調整を合わせていた畑の収穫も後、数回となった、本日の収穫も終わりザーツ達親子は、ガイの家に向かった。


 レイ達と合流し、リシェルと別れようとした、ザーツはレイに呼び止められた。

「あ、ザーツさん、ギルドのアリアさんから伝言です。

『一昨日のオーガの件で、ギルド長が話をもう一度、聞きたいのでギルドカードを持って、リシェルと共にギルドへお越しください』だ、そうです。

 後、リシェルのランクがEランクに上がるみたいです」

「ギルド長が?

 ……ふむ、じゃあ、ギルドに行こうか」

 ザーツ達はギルドに向かいながら話を続けた。

「あの、それでギルド長はどうして呼び出したか、分かったのですか?」

「ああ、ギルド多分、リシェルがオーガを倒したと信じていないんだろう」

「はあ、なるほど。

 でも、何でギルドカードを必要何でしょうか?」

「それは、調べたらわかるからな。

 って、レイは知らないのか?

 倒した魔獣はカードに記録されているんだ。

 だから、レイ達のカードにも、俺のカードにも無く、リシェルのカードだけにオーガの名前があれば、向こうも信じるだろうさ。

 よし、着いた、中に入るぞ」

 ザーツ達はギルドに入り、いつも通り、アリアのいる受付に向かった。


「おはよう、アリア」

「ザーツさん、おはようございます。

 ギルド長がお待ちしておりますので、ザーツさんとリシェルちゃんはギルド長室に案内しますから、付いて来てください」

「分かった、それじゃあ、レイ。

 待っている間、依頼を探しておいてくれないか。一昨日より、強めの魔獣で頼む」

「分かりました」

「アリア、よろしく」

「はい、それでは、こちらです」

 アリアは受付カウンターの横にあるドアを開け、ザーツとリシェルを伴って、ギルド長室に向かった。


「ギルド長、ザーツさん達をお連れしました」

 アリアはドアをノックし報告した。

「そうか、入りたまえ」

 アリアはドアを開け、中に入るよう促した。

「失礼する」

「わざわざ、すまない。

 そちらに座ってくれないか」

 ギルド長はソファーを進め、自分は向かいの椅子に座った。

「で、ギルドカードを持って来てくれたか?」

「ああ、これだ。

 リシェルも出しなさい」

「うん」

 ザーツとリシェルはカードを取り出しギルド長との間にあるテーブルの上に置いた。

「ありがとう、アリア、頼む」

「はい、では、お借りします」

 アリアはカードを取り、部屋を出て行った。

「悪いがアリアが戻ってくるまで、少し話を聞かせてくれないか?」

「オーガの事だな?」

「ああ、そうだ。

 そちらのお嬢ちゃんが」

「リシェルだ」

「リシェルが、オーガを倒したという話だが、どうやって倒したかを教えて貰えないだろうか」

「それは……」

「リシェル、話す必要は無い。

 その為にカードを預けたんだ。

 自分の持つ技術につながる話はしなくて良い」

「まあ、そうなんだが、十二になって、傭兵になったばかりのリシェルが、どうやって倒したのか、気になるだろう?」

「だからといって話す業務は無いと言っている」

「……はあ、やはりこうなったか」

「あたりまえだ」

 こん、こん、こんと軽いノックが聞こえ、アリアが入ってきた。

「失礼します。

 ギルド長、こちらがお二人の記録です」

「ありがとう、どれ」

 アリアから渡された二枚の記録用紙を見比べ、ギルド長はため息を吐いた。

「マジで、リシェル一人で倒しているじゃないか」

「だから、何度も言っている」

「……リシェルは数日したら、この街を出て旅に出るんだったな?」

「ああ」

「何時だ?」

「リシェル、お前が決めなさい」

「いつでもいいの?」

「リシェル次第だ」

「うーん、……おとうさん、槍はいつ直せそう?」

「そうだな、二、三日ってところかな?」

「じゃあ、五日後に出発で」

「……そうか、という事で、五日後に決まったぞ」

「……まあ、いいけどな」

 親子のやり取りを見て、ギルド長は呆れていた。

「依頼は四日間、受けるのか?」

「ううん、三日間で、四日目は自由時間」

「そうなのか?

 では、その三日間、こちらが出す依頼を受けてもらえるか?

 勿論、普通の依頼も受けてくれたらいい」

「おい、あまり無茶は言うなよ」

「分かっている。

 これを全部成功出来たら、Dランクに上げよう」

「本当?

 あ、でも、私一人で決められない」

「アリア、他のメンバーは下にいるのか?」

「はい、依頼を選んでいるはずです」

「悪いが、呼んで来て貰えるか?」

「分かりました」

 アリアが出て行く。


 暫くして、アリアが連れて来たレイ達に、ギルド長は先程の話をした。

「そういう事なら、ただ、僕達はリシェルに実戦と連携の経験を積ませるつもりなので、そういう依頼をお願いします」

「勿論、十分に経験は積めるはずだ。

 ちょっと待て」

 そう言って、ギルド長は席を立ち、机にしまってあった依頼書を取り出し座り直した。

「依頼するのは、この三枚」

 そこに書かれているのは、『ワイバーン討伐』『オークキング討伐』『シーバイパー討伐』の三枚だった。

「ワイバーンはサーズ山、山頂付近の岩山にいる。数は倒せた分をだけで良い。

 オークキングも一昨日倒したオーガの居場所より、更に奥の場所で集落を築いていると調べがついている。

 最後に、シーバイパーは海辺近くの岩山に隠れている。

 数は一匹だが、かなりの大きさで長さ二十メトルを超えているそうだ。

 現在、その場所は立ち寄り禁止を出している」

「……ちょっと待て、いくら何でも個体ランクが高過ぎる。

 それに三日間で終わる内容でもない」

「勿論、この内のどれか一つでもいい。

 討伐を依頼したい。

 それにそこにいる、レイはBランク、後の二人はCランク、それにリシェルは負けない実力を持っているのだろう?

 場合によっては全員ランクを一つ上げてもいい。

 ギルド長特権で保証する」

「……おとうさん」

「何だ?」

「おとうさんは、私達でも大丈夫だと思う?」

「……そうだな、リシェル、それにレイ、ラン、ライ、無茶はするなと本当は言いたい。

 が、これぐらい、お前達だけで達成出来なくては困るのも本音だ。

 出発を延期するのも有りで、全部受けるのも有りだ。

 決めるのは、お前達だ。

 ギルド長、こっちが三日間と言っただけで、別に三日間というくぐりは無いんだよな?」

「勿論だ」

「じゃあ、お前達相談して決めろ」

「分かりました。

 じゃあ、みんな、こっちへ」

 四人は部屋の隅に行き、小声で相談を始めた。


「相談した結果ですが、出発を1ヶ月に伸ばし、バイパー、オークキング、ワイバーンの順に向かおうと思います。

 ただし、1ヶ月を過ぎたらその時点で終了、その後、旅に出ます」

「ああ、それでいいよ」

 ギルド長は首肯く。

「そうだな、その順で行くならオークキング討伐で、先程言った全員のランクを上げよう」

「分かりました。

 それで何ですが、アリアさん、すみません。

 待っている間に受けようと思っていた依頼を戻して頂いても良いでしょうか?」

 持っていた依頼書をアリアに渡した。

「まだ、受けてないのね?

 分かったわ、大丈夫よ。

 無理はしないでね?」

「では、早速、バイパーから向かわせて頂きます」

「頼んだ」

「あ、待って、リシェルちゃん、ギルドカードを

 返すわね。

 はい、これ」

「ありがとうございます。

 行ってきます」

 四人は席を立ち、バイパー討伐に向かった。


「なあ、ザーツ?」

「何だ?」

「依頼して何だが、どうして、あいつら、そんなに急いで強くならなきゃならないんだ?」

「……どうして、言わなくてはいけない?」

「いや、気になるじゃないか?」

「あいつらは、特にリシェルは強くならなきゃいけないんだ」

「だから、何で?」

「……」

 三年後の勇者、神と戦うからだ。



旅たつ予定が、こうなりました。

これで2章を終わりとさせて頂きます。

続けて3章に入ります。

討伐、修行編。

よろしくお願いします。

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