表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/85

2章 5 ギルドに報告

出来ました。

よろしくお願いします。

 ドクンッと、剣が脈を打った。


 そんな剣を、見つめたまま、おとうさんに尋ねた。

「おとうさん、この剣に何かの魔法、付与した?」

「ん?……ああ、何か変化あったか?」

「うん」

「そうか、思っていたより早いな。

 付与した魔法は、幻夢魔法、分身だ

 リシェルが、剣に魔力を通せば通す程、その剣は成長し、リシェルの相棒となる。

 何か、変化があったなら、剣に問い掛けると良い。

 何か分かるかも知れないぞ」

「問い掛ける?」

「ああ、リシェルのやり方でな」

「……やってみる」

 少し考え、剣を顔の近くに持って来て、祈る様に目を瞑り魔力を通した。


 《種類・魔法剣》

 名称/ありません

 能力/成長:常時発動

  腐蝕:常時発動

  能力吸収:標的討伐時、発動

  隠蔽:任意発動(初)

 

「……見えた」

「そうか、何が見えた?」

「え~と、この剣、魔法剣だって」

「俺が、魔法掛けたからだな」

「名前、無いって」

「リシェルの剣、だからな。

 リシェルが名付けてあげなさい」

「後、能力4つも有る」

「へえ、それは凄いな?」

「まだ、増えるみたい?」

「そうなのか?

 何が有るのか、分からないが大事にしなさい」

「うん、おとうさんに貰った剣だもん。

 大事にするに決まってるよ?」

「ふふ、ありがとう。

 でも、リシェル?

 リシェルが、この先に別の剣や、武器を見つけて、それを使っても俺は気にしないぞ。

 要は、その時次第、要所、用途で使えば良い。

 なんなら、二本、同時に使っても良い訳だしな?」

「うん、分かった」

「但し、どんな武器も使いこなせなければ、意味は無い。

 しっかり能力を把握し、練習しなさい。

 そういう意味では、その剣は、どんな能力が有るのか分からないが、この先大変だぞ?」

「……うん、頑張る」

「まずは、その剣に名前を付けてあげなさい」

「うん、分かった。

 何にしようかな~?

 ……決めた、名前はリュート、この剣はリュートに決めたよ」

「……良い名前だな、この剣は成長する程、お前の力になる、頑張れ」

「うん

「それじゃあ、レイ達の所に戻るか」

「兄さん達、大丈夫かな?」

「ガイが向かったから大丈夫だろ。

 ……と、何だ、あっちが先だったか」

 向かう方向から、ガイがレイ達を引き連れ、手を振りながら、向かって歩いている。


「どうやら、無事だったみたいだな」

 ガイが、リシェルを見る。

「……何で、ザーツの後ろに隠れているんだ?」

「リシェルが相談も無しで、私達から離れたからよ」

「だって……」

「例え、その行動が、最善の手で、正しい事でも勝手は許されないわ。

 ……貴女がどれだけ強くても、私達より強くても、リシェルだけに物事を押し付けるつもりは無いわ」

 ランはゆっくりと、ザーツの後ろに廻ってリシェルを抱き締める。

「……ラン姉さん」

「みんな、心配したんだよ……」

「ごめんなさい」

「しかし、リシェル、本当にハーミット・オーガを倒したのね?」

「ザーツさんが来た時には、もう倒してたのか?」

 ライが、オーガの死体を見て尋ねた。

「まだ倒してはなかったが、リシェル、一人で倒したよ。

 後、こいつは只のハーミット・オーガじゃない。その上位種、ハーミット・ダーク・オーガだ」

「上位種?」

「そうだ。

 ……みんな、揃ったし街に戻るぞ。

 ギルドの連中、心配してるからな。

 全員、俺にしっかり触れ、転移する」

「「「はい」」」

 ザーツは、皆を連れて街の近くまで転移した。



「よし、ライ、お前先にギルドに戻って報告して来てくれ」

 ザーツが街の門、近くに転移出来たのを確認し、ライに頼んだ。

「俺?」

「ああ、お前が一番、俺達の中で足が早いからな」

「分かった、行ってくるよ」

「頼んだ」

 ライが走って門に向かったのを見て、次にリシェルを見る。

 まだ、ランがリシェルを抱き締めていたが、リシェルが限界に近かった。

「ラン、悪いがリシェルを離してくれるか?」

「あ、はい」

 ランが素直に離す。

「リシェル、乗りなさい」

 そう言って、ザーツはリシェルに背中をみせ屈んだ。

「お前、もう限界に近いだろう。

 良いから、背中乗りなさい」

「……うん、ごめんなさい」

 そう言って、リシェルはザーツの背中におんぶされた。

「謝る必要ない、しっかり掴まってろ」

「うん、おとうさん」

「じゃあ、行くか」

 ザーツはリシェルを乗せ、街に向かった。

 暫くして、リシェルから寝息が聞こえた。



 ギルドに着き、中に入りアリアのいる受付に向かった。

 そこに報告を終えたライもいる。

 アリアが、ザーツの背中におんぶされている、リシェルを見て顔を青ざめた。

「ザーツさん、リシェルちゃんは大丈夫なんですか?」

「ああ、疲れて眠っているだけだから安心してくれ」

 アリアはそう聞くと、安心するように息を吐いた。

「良かった~、無事なんですね?

 ……ふふ、そうやってリシェルちゃんをおんぶして、ここに来るの久しぶりですね」

 アリアは懐かしそうに笑う。

「そういえば、そうだな」

 ザーツも笑う。

「……ザーツさん、先程は失礼をいたしました」

 アリアが椅子から立ちあがり頭を下げた。

「先程……ああ、リシェルを心配してる、してないの話か?

 あれは、別にその事でアリアを怒らせるつもりはなかったんだ。

 ただ、自分に腹をたてていただげだから」

「それでも、私にあやまらせ下さい」

「……分かった、謝罪を受け賜りました」

 ここで、話を切り、では、と話を変えた。

「先にライに報告させに戻らせたが、もう一度、報告と今日の依頼報告を頼む」

「あ、はい、分かりました」

「先ずは、レイ、依頼報告だ」

「はい」

 ザーツは、レイと入れ替り後ろに下がった。

「アリアさん、お願いします。

 ラン、ライ討伐部位出してくれ」

「「分かった」」

 二人はアリアが置いたトレーの上に部位を乗せる。

「これは……また、沢山ありますね?

 もしかして、まだ有ります?」

「実は……」

 実に、トレー三枚山盛りに乗っている。

 大体が、ビックボアの肉がメインだった。

「……凄いわね。

 これ、全部あなた達が?」

「俺達は連携の時だけで、ほとんどはリシェルが倒しました」

「……嘘?

 これ、ほとんど全部、リシェルちゃんが?」

「ええ、そのせいと言うか、おかげでと言うか、僕が調子に乗って、森の奥まで行ってしまって……

 アリアさん、心配かけて、すみませんでした」

 レイは頭を下げた。

「……そう、だったの、それで、そんな所まで行ってしまったのね?」

「はい」

「分かったわ、とりあえず、これ評価にまわします」

 お願いします、と後ろにいる職員にトレー三枚渡した。

「それじゃあ、その後のゴブリン集団の話、聞かせてくれる?」

「はい、まず……」

 レイは百を超えるゴブリン、それを追いかけて来たハーミット・オーガ、そのオーガが魔力の多いリシェルに目をつけ、リシェルが自分達からはなれオーガを連れ離れた事、残った自分達がリシェルを心配しながらゴブリンと戦った事、リシェルはザーツが助けに来るまで戦っていた事を話した。

「……そんな事が」

「因みに、俺はアドバイスと預かっていた武器を渡しただけで、リシェル一人で倒したぞ」

 ザーツはレイの話に加え、受付机の上にオーガの角と魔石を置いた。

「ハーミット・ダーク・オーガの部位だ」

「え、ハーミット・ダーク?」

 アリアの目が点になった。

「……ハーミット・ダークって、ハーミット・オーガの上位種ですよね?

 それを、リシェルちゃんが、嘘ですよね?」

「……」

 何も言わない俺を見て、アリアは落ち着いてきた。

「本当なんですね?」

「ああ、俺やガイ達とで七年間、ほぼ、休まず修行し続け、今日実戦の経験をした。

 これからも実戦をし、更なる経験を詰めば十五歳になる頃には、俺と同じくらいの実力を持つ事になるだろう」

「……分かりました。

 では、これも評価にまわしますね。

 後、ギルド長に、この事を報告させて頂きます」

「まあ、そうなるな。

 レイ、悪いが、俺からの報告は終わった。

 報酬の確認、頼んでもいいか?」

「はい、良いですよ」

「では、頼んだ。

 リシェルを家で寝かせくる。

 明日は、リシェルは一日休ませる。

 お前達もしっかり休め?

 じゃあ、またな。

 ガイ、今日はすまなかったな?」

「いや、良い、しっかり休ませてやれ」

「またな」

 そう言って、ギルドを出た。



 レイ達、傭兵チームに鑑定評価の終えた報酬を渡し、私はギルド長の部屋に訪れ、今日のにあった出来事を報酬する。

「こちらが、そのハーミット・ダーク・オーガの角と魔石です。

 鑑定は間違いなく本物でした」

「そうか」

 ギルド長は魔石を手に取って、色んな面を見る。

「その報告が本当ならば、十二にして凄まじい力を持った少女だな」

「信じないのですか?」

「……いや、ただ、その少女、リシェルか?

 実力が本物ならば、これからもランクは上がって行くだろう。

 確か、そのチーム、暫くしたら、この街を出て、活動するのだったな?」

「はい、そう言ってました」

「ふむ、……まあ、良いだろう。

 リシェルのランクを一つ上げ、Eランクに。

 また、そのチームが来たら、少し難度の高い依頼を進めなさい」

「分かりました」

「後は、そのチーム、街を出る前に一度この部屋に連れて来なさい、以上だ」

「はい、失礼します」

 アリアは一礼し部屋を出て行った。


「あの親にして、か……」

 もう一度、机に置かれた角と魔石を見てため息を吐いた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ