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2章 3 ザーツ、魔王城に行く

出来ました。

ブクマ登録、またもや、ありがとうございます。

よろしくお願いします。


 昨日は、リシェルの十二の誕生日だった。

 誕生日のプレゼントとして、新しい剣を渡した。

 リシェルの身体に合う、剣を鍛えてもらった、俺から見ても、素晴らしい剣だった。

 だが、リシェルは歳を重ねるうちに、今よりも女性らしい体つきになり、美しい女性に成長するだろう。

 少し親馬鹿が入っているだろうが、間違いなく、そうなると思う。

 その時には、身体に合わせた剣も、少し小さくなるだろう。

 しかし、それだけに、あの子の運命が酷すぎる。

 あの子が、普通の女の子に産まれていたらと何度も思った。

 だが、恐らく、約三年後、あの子は勇者と戦う事になるだろう。

 勇者、七年前に感じた、ルシファーとよく似た力の波動を忘れない。

 俺の勘が正しければ、勇者は、自身の魂の一部でルシファーを創った神、その者だろう。

 だから、神は勇者として、魔王であるミーザ、そしてリシェルを殺す為、狙うはずだ。

 ならば、俺は愛する二人を守る為、神を殺す。


 リシェルは、今日、傭兵ギルドに登録しに行き、ガイの子供達と魔獣討伐に向かう。

 レイには、討伐する魔獣を指定したが、リシェルなら、余裕をもって倒せるはずだ。

 ある程度、実戦経験を積めたら、リシェルは世界を知る為、レイ達と行動する。

 その間に、俺は、俺で自身を鍛える。

 今よりも強く、大切な、愛する二人を守る為に……


 とりあえず。

 リシェルが旅立つまで、暫く間がある。

 今日は、リシェルが討伐に行っている間に、周りに挨拶をして、ミーザに会いに行くか。



 以前、ベルゼブブに教えてもらった転移術を使い、魔王城の門前に移動した。

 悪魔が使う魔法を、魔術という。

 魔術は、属性に関係なく、思い描いた事を魔力を使って行う、思念術だった。

 ザーツは、ベルゼブブから、いくつかの魔術を習っていた。

 転移術は、その一つで、その場所の風景を思い描き、場所に飛び、移動する魔術だ。

 また、リシェルやレイ達にも、魔力を使って魔獣や、魔族、人族の位置や数、大きさ等を調べる、魔力探知を教えたが、使えたのは、レイだけで、リシェルは、完全には探知できなかったが、気配を読む事に関しては、とても上手くなった。


 本来、魔王城の中、ミーザのいる場所まで、飛ぶつもりだったが、以前、天使達が入り込んだ事に対し、天使や、魔術を拒む結界を魔王城に張り、強化した。

 その為、ザーツは魔王城の門前にいた。


「「貴様、何者だ!」」

 門番をする兵士は、突如現れたザーツに、反応し槍を向ける。

「おお、いい反応だ……

 しかし、困ったな、来るたびに、これじゃあ面倒くさいな」

「何を、ぶつぶつ、言っている」

「何者だと、聞いている」

 槍を向けられた、ザーツは困っていると、再び、槍を突き付けられた。

「う~ん……」

「……やっぱり、ザーツか」

「ダグド」

「お前の魔力を感じたから、来てみたら、何をしているんだ?」

「いや、お願いする事が出来たから、来たんだけど……」

「あの、ダグド将軍、お知り合いですか?」

 そんな、やり取りを見ていた、兵士達は戸惑いなから尋ねてくる。

「ん?

 ああ、そうだ、こいつは問題無い。

 俺が保証する、中に入れるぞ」

「「はい、了解しました」」

「あ~、すまないな?

 俺は、ザーツ、ザーツ・シュザットだ。

 まあ、覚えなくていいがな」

 そう言って、ダグドについて中に入る。


「なあ、ザーツ・シュザットって」

「ああ、俺も思った、あのザーツ・シュザットだよな?」

 そんな門番の話しあう?声か耳に聞こえた。


「……あの、って、何だ?」

 同じく聞こえていたのだろう、ダグドは手で口元を抑え、笑っている。

「ああ、あれから城の中も、人材が一掃してな、オズマ様が色々お前と事、兵士達に喋ってらしてな……」

「何だよ、色々って?」

「色々は、色々だ、ところで、どこに向かうんだ?

 陛下のところか?」

「……いや、まず、オズマのおっさんの所に行こうかな?」

「そうか、ならば、俺が案内をしょう。

 調度、向かうところだったからな」

「悪いな」

「気にするな、次いでだ」

 二人は、話し合いながら廊下を歩く。


 コン、コン、コンッ

「……誰だ?」

 オズマのいる部屋にたどり着くと、ノックをして中を伺う。

「ダグドです」

「ダグドか、入れ」

「失礼します」

 そう言って、ダグドがドアを開け中に入るのに続き、俺も入る。

 但し、幻夢魔法を使い、姿を消して。


「……何だ、何をしている?」

「は?

 いえ、報告をしに、来ました」

「いや、ダグド、お前ではなく、……ザーツ、お前に言っているんだ」

 此方が、部屋に入った時から、書類に目を通していて、此方を一度も見ていないのに、正確に答えた。

 姿を現し、両手のひらを開いて、降参を示した。

「流石、オズマ将軍、いつからですか?」

 ため息をはいて、此方をみて。

「ダグドがノックした時からだ。

 気配は二つあるのに、ダグドだけ、

 それに、その前に、門前の方から、お前が来たのは分かっていたからな。

 となると、ここに来たのは、お前だ、ザーツ。

 二十年くらいか?

 この城に、足を運ぶのは?」

「流石、お見事です。

 全然、衰えていませんね。

 二十年……もう少し経ちますか?」

「そうか、……それで今日は、何をしに来たのだ」

「そうだ、私も、まだ聞いていないぞ」

 オズマが尋ねると、それまで口を閉じていた、ダグドも尋ねてきた。

「今日は、挨拶をしに来ました」

「何だ、軍に戻るつもりか?」

「いえ、まさか、昨日、リシェルが十二歳になり、今日から傭兵になったんです」

「ほう、あの子も、もうそんなに大きくなったのか」

「ええ、それで、暫くしたら、リシェルは旅に出るので、私も来る時まで、自身を鍛えようかと思いまして、最初は、ここで、兵士達と戦いの鍛練をさせて頂きたく」

「なるほど、良いだろう。

 ダグド、聞いたな?

 悪いが、ザーツから予定を聞き、兵士達の予定を作れ、兵士達も良い訓練になるだろう」

「はい、了解しました」

 ダグドは一礼をした。

「それで、ザーツ?

 陛下には、もう合ったのか?」

「いえ、この後、行こうかと……」

「ならば、もう話しが無かったら、陛下の下に行って来い」

「ええ、そうします、では、また」

「案内は必要か?」

「いえ、ダグドに案内してもらうので、必要ありません」

「そうか、またな」

「はい、失礼します」

 そう言って、部屋を出ようとして。

「そう言えば、将軍?

 此処に来る時、兵士たちが、私の事、色々言ってましたが……何を言いやがった、おっさん?」

 今まで敬語で話していたのを、最後に口調を戻して、部屋を出て行った。

「くく、相変わらずだな、で、あいつが言ってた、色々とはなんだ?」

「オズマ様が、兵士達に、ザーツの事をあれこれと言った内容が、尾びれ背びれと」

「ああ、なるほど、分かった。

 報告終わったなら、お前も行ってやれ。

 外で、待っているだろ」

「はい、では、失礼します」

 ダグドは一礼し、部屋を出て行った。

「……報告、してないよな?」

 ダグドが部屋を出た後、ドアを見つめ、オズマは

 そう呟いた。


「待たせたな?

 陛下の所に向かうか」

「ああ、頼む」

 ダグドが歩き出し、ザーツはついていった。

「……お前、おっさんに報告したか?」

「いや、する前に終わった。

 お前が、来たと報告する前にな」

「……ぷっ、ははっ、お前、変わったな?」

「……そうか?」

「勿論、良い方向にな、肩の力、抜けたというか」

「……俺だって、冗談くらい言う」

「まあ、そうだけどな?

 おっさんに、それをする事なんて、今までなかっただろ?」

「まあ、そうだな」

「「はははっ」」

 しばらくの間、お互い笑いあった。


「あそこが、陛下の部屋になる」

「そうか、行って来る。

 ……そうだ、鍛練に来るのは、早まるかもしれないが、とりあえず、十日後で頼む」

「……十日後、分かった、その日から予定を作っておく、楽しみにしている」

「ああ、じゃあな」

「またな」

 ダグドと別れ、ミーザの部屋のドアをノックした。


 コン、コン、コン。


「……誰だ、開いているぞ」

「そうか、入るぞ」

「は?」

 中に入ると、ミーザが驚いて、顔を向けた。

「な、ザ、ザーツ?

 え、ほ、本物?」

「本物だ、久しぶりだな、ミーザ」

 やはり、仕事をしていたのか、慌てて椅子から立ちあがり、机の書類を散らばせた。

「あああぁ~」

「俺が集めるから、ミーザは落ち着け」

 急いで、かき集めるミーザを止めて、代わりに書類を集めた。

「……すまない」

「お前が、謝る必要はない。

 突然に来た、俺が悪いのだから」

「そうだ、どうしたんだ、急に?」

「ああ、報告と挨拶、それと頼み事をしに来たんだ」

「報告?挨拶?頼み事?」

「頼み事はもう済んだ。

 報告はな、昨日、リシェルが十二歳になった」

「……そうだったな、私も行きたかったのだが。どうしてもな」

 そう言って、ミーザは机の上にある書類を見つめる。

「気にするな、リシェルも分かっている」

「……そうか、リシェル、大きくなったんだろうな」

「ああ、報告続けるぞ?

 今日、リシェルは傭兵ギルドに登録に行った。

 その後、レイ達と実戦を積みに、魔獣の討伐に向かった」

「レイ達、……ガインの子供達か」

「そうだ、レイ達は、既に傭兵として活動をしている。

 それでだ、暫くしたら、リシェルはレイ達と共に、世界を廻り見聞をつける」

「世界を……待て、それではイルミア王国にも?」

「行く事になるだろうな」

「だろうなって、どうするんだ?」

「その時にならなければ、分からないさ?

 産みの両親、国王夫妻に会うのか、どうかも」

「それは……そうだが」

「リシェルも、その事は分かっている」

「……そう、か。

 ならば、リシェルを信じるしかないな」

「そういう事だ」

「しかし、旅、か。

 ザーツ、これを、リシェルに渡してくれないか?」

 そう言って、壁にかけられている、一本の槍を取り出す。

「これは?」

「本来、昨日の誕生日に渡す予定だったんだが、これは、全属性の魔力を増幅し、世界で一番、硬くて、軽い金属、ブランツ鉱で出来た、リシェル専用の槍だ」

「リシェル専用」

「そうだ、その為に態々造らせた。

 ……どうした?」

「あ、いや、俺もリシェルの身体に合わせた剣を、造ってもらって渡したんだ。

 しかも、ある魔法の付与つきで」

「魔法?

 何を付与したんだ?」

「幻夢魔法、分身」

「……どういう効果だ?」

「魔力を剣に込めれば、込める程、剣は成長し、やがて、意思を持つ事になる、という。

 リシェルには、この事は言ってないが……」

「では、剣は普段から、槍はいざという時に、使ってもらうという流れで」

「……そうだな。

 俺もリシェルに合わせて、俺自身鍛えようと思っている。

 勇者との対決に備え、鍛えるのに余計な事は無い」

「もしかして、だから、ここに来たのか?」

「そういう事だ。

 そろそろ、夕方前になるな」

 ザーツは窓の外を見て呟いた。

「では、この槍、リシェルに渡しておくよ」

「ああ、頼んだ。

 ザーツ、リシェルに愛していると、伝えてくれ」

「……俺には、言ってくれないのか?」

「う、む、馬鹿……

 愛しているに決まっているだろう」

 ミーザは顔を、真っ赤にして呟く。

「俺もだ、愛している」

 そして、唇を合わせた。


「では、俺は帰るよ。

 また、直ぐ来るから、よろしくな」

「ああ、楽しみにしている」

 ザーツは、そう言って部屋を出て、城を出て、リシェルを迎えに帰った。



「ザーツ、戻ったか?」

 家に転移してまもなく、ガイが慌てた様子でやって来た。

「ああ、今、戻った」

「なら、ギルドに直ぐ行くぞ!

 リシェル達がヤバいらしい」

「どういう事だ?」

「向かいながら話す、行くぞ!」

「分かった!」

 何が、あったんだ?

 無事でいてくれ、リシェル













思っていたより長くなりました。

いつもなら分けて、書くのですが、分けたら中途半端になるので、一気に行きました。

なんで、ザーツとミーザを書いたら、甘くなるんだ?


頑張りますので、

ブクマ登録、ポイント評価をよろしくお願いします。

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