1章 王国最南端の街サウル
出来ました。
お待たせしました?
今回、いつもより長くなってます。
よろしくお願いしますm(__)m
11月19日、スペース、改行を増やしました。
ひし形の形をした大陸、最南端の人族の街サウルは海の近くにあり、魔族領側は緑多き山がある為、海と山から現れる魔物が多く出現する。
王都から離れているが、魔物や海、森から取れる素材も豊富で、定期的に稼げると傭兵に人気があり、また気候が穏やかで作物も良く収穫出来る為に、元から住んでいる村人や、噂を聞いた者が新天地と求め訪れ、魔物の素材や農作物等の買入れを求める商人達も多い為、今では王都に次いで第二の大都市と呼ばれる程迄に発展した。
そう今では……
二十数年前は、それなりの多きな村であったが、農作業をする村人が、魔物が出たら鍬を剣や槍に持ちかえ戦う為、農作物になかなか手が出ず、自分達の食べる分を作るのが精一杯だった。
傭兵ギルドは在ることはあったが、この村に来る傭兵は何かしら心と体に傷を負い、また志し半ば目的を無くした者が流れつく場所になり、荒くれ者達が増え、村人達を困らせていた。
ある日、この村に二人の男女が移住してきた。
男は二メートル超えた身長で筋肉の固まりといった大男で名はガイと名乗り、女は女性の平均的な身長で、スタイルの良い、綺麗な女性で名はラーシャと名乗った。
二人は夫婦で、やって来たその日に傭兵ギルドに登録し、魔物退治や素材集めを始め、様々な依頼を解決していった。
また、時間が空いた時には村人達の農作業や魔物避けの壁等を作るのを手伝い、村人達からの印象も良かった。
それを傭兵の荒くれ者達は良くと思わず、ある日仲間を集めガイ達に突っ掛かったが、返り討ちにあい説得された。
その会があって、心を入れ替えた傭兵達は少しずつ増えていった。
また、勇気を出せない傭兵が居れば、ガイがいっしょに村人達に頭を下げ、心を入れ替えた傭兵達共と力を合わせ、魔物退治や見張り、魔物避けを作っていった。
最初は傭兵達を許せなかった村人も、段々と傭兵達を許し農作業に専念出来るようになった。
ガイ達夫婦は村人や傭兵達に、そして村に必要な人物となったが、ある日厄介な大物の魔物が現れ、何とか退治出来たが、ガイ達夫婦の秘密がバレてしまった。
そうガイ達夫婦は魔族だったのだ。
だが、村人達や傭兵達は、これまでの夫婦の行動や言動、感情が自分達に害が無い事が判っていた為、誰もがその事に口を塞ぎ、同じ村人として向かい入れた。
やがて、村人の農作業も改善し、定期的に作物も取れる様になり、村は段々大きくなり、人も集まり最南端の街サウルは現在に至る。
五年前
リシェルを抱いたザーツは王国の最南端の街サウルに到着し、ガイの元に訪れた。
「久し振りだな、ガイン?
いや、今はガイだったな」
「……ザーツ?
お前、ザーツか!
どうしたんだ?
久し振りだな、いつ来たんだ?」
ガイはザーツが抱いている赤子を見た。
「その子、お前の子か?
とうとうミーザとそういう仲になったのか?」
ザーツはガイの言葉に苦笑し否定した。
「……いや、違う。
この子は訳有りでな、それでガイに相談が有るんだ」
「……お前が、俺に相談って?
まぁ、いい、ここじゃなんだ、俺の家に行こう。
今ならラーシャも家に居るし……あー、ラーシャに聞かれたくないなら別の人気の無い所でも」
「いや、全然構わない。
むしろ、一緒に聞いて欲しいかな……」
「? そうか?
なら、家はこっちだ」
そう言って、ガイは歩きだす。
やがてガイの家にたどり着き、ガイ達は家の中に入った。
「ラーシャ!
帰ったぞ、ラーシャ?」
「……聞こえてるわよ、どうしたの?
大きいな声出して?」
ガイの大きな声が聞こえたのか、小走りな足音をたてながら、此方にやって来た。
「ラーシャ、珍しいヤツが訪ねて来たぞ」
ガイは俺の方に指を指して伝える。
「……ザーツくんじゃない?本当珍しいわね?とりあえず、此処じゃ何だし、中に入って」
「それで、ザーツ?俺達に相談って何だ?」
それぞれテーブルの椅子に座り、ガイが話を切り出した。
「ああ、実はこの子、リシェルって名を名付けたんだが」
「……この子、もしかして闇属性?
トンでもない魔力感じるわ」
「そうなのか?」
ガイが首を傾げる。
「えぇ、間違いないわ」
「実はこの子は、この国、イルミア王国国王夫妻の新しく産まれた子供なんだ」
「もしかして、捨てられたの?」
「ああ、俺が王国に間者として潜入していて、国王の命令で処分されるはずを、俺達が助けた」
「俺達?
お前だけじゃないのか?
詳しく話せ」
「ああ、実は」
俺は大悪魔ルシファーの契約の事、融合の事、俺がこの子を育てる事、魔族、魔王を裏切りこの街にやって来た事等全て話した。
「なるほど、それでお前はこれからどうするんだ?」
「俺もこの街に住み、人族に化けて生きるつもりだ。
それで、お前達二人に色々相談しに来たんだ」
「……と、なると、まず家だな。
まぁ、これはすぐに用意出来る」
「悪いが、よろしく頼む」
「問題は、その子だ……俺達も闇属性の子を引き取ったが、その子達は魔人化していないんだ」
「……そうなのか?」
「ああ、俺が悪魔の干渉を阻止して、追い返したからな」
「それに全ての人族が産まれて、すぐに悪魔に干渉される訳じゃなくて、五年、十年とか関係なく、悪魔にも干渉出来るタイミングがあるらしいよ?」
ラーシャが補足する。
「それは知らなかったな……」
「まぁ、干渉を阻止出来るのは、大悪魔と契約している俺達だけだがな」
「なるほど」
「しかし、うちの子もだが、この子もトンでもない運命を背負っているな」
「そうね、ザーツくん見た感じ、今もこの子を通して魔力循環してる?」
「ああ、ベルゼブブが、そうすればリシェルの魔力を抑えられると言ってくれてな」
「そう、じゃあ大変だけど、この子が物心着くまで、出来るだけそうしてあげて。
私も手伝うし、ザーツくんなら余裕で出来るでしょ?」
「まぁ、出来るが……?」
「そうすれば、この子が物心着く頃には、それが出来るようになるから」
「へぇ、……やっぱり、ここに来て良かったよ。
悪いが、これからも世話になる」
「いいよ、俺達がここに来るにも、お前がいなかったら無理だったんだ。
それくらい、世話させてくれ」
「そうよ、それにこっちも世話になるかもしれないし、ねっ!ガイ」
「ああ、じゃあまず家探しと傭兵登録に行くか」
「じゃ、リシェルちゃん、預かるわ」
「ああ、よろしく、頼む」
リシェルをラーシャに預けて外に出掛けた。
それから五年の歳月が経ち……
リシェルは今日五歳になった。
すみません。前回あとがきで嘘を書きました。
主人公リシェルしゃべってません。
今回、この話どうしても書きたかったんです。
それでも大部分カットしてます。
自分的に、それによって話が唐突になっていると思います。
いつか、そういう所も書けたらいいなと思います。




