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Sabbat・Servant(サバト・サーヴァント)  作者: ゆにろく
6月10日 日曜日
55/61

46話 長い日の終わり

◆黒木 暗子◆


目を覚ますと、目の前には男がいた。


「ヒッ……!」


「あっ、起きた」


その男はニコニコとしていて、優しくて穏やかな印象を受けた。


「だ、誰です……か?」


そうだ。

確か、カノと一緒に戦って、それで。

あれ、首を切られて?


いやその続きがある。

カノが私の名を叫んでくれていたはずだ。

そうだ。

カノに聞くのが手っ取り早い。


「ねぇカノ?」


返事はない。


「あれ、カノ?」


辺りを見回す。


「カノ? ねぇ、私の友達を知らない? 悪魔なのだけれど……」


「あぁ。 帰ったよ」


「え?」


「俺の友人にエクソシストがいて、そいつが魔界へ送り返してしまった」


「……そう、なのね」


「……悪いことをした」


「いや、良いのよ……。 どうせ、今日でお別れだったのだから」


そうだ。

元々今日お別れで。

私のわがままでちょっと長くいただけだった。


「友達……だったのかい?」


「……えぇ。 たった一人の。 大切な友達だったの。 変かしらね……」


「……そんなことないさ。 なぁ」


男の目の先には銀髪の少女がふわふわと浮いていた。


「いつ友達になったのよ?」


「ほら、こう言ってるし。 悪魔も人間も関係ないさ」


「いや、何も言ってないんですけど」


悪魔も嫌そうな割には声があまり刺々しくはなかった。


「あと、君の悪魔が去り際にさ、『楽しかった』って」


「……そう。 それは良かった……わ」


あぁ。

ダメだ。

抑えきれない。


目頭がとてもとても熱かった。

涙を抑えようとしてもダメだった。

声も抑えようとしたけどこっちもダメだった。


声をあげて泣いた。


私も楽しかったって伝えたいのに。

凄い悲しいのに、死にたいくらい辛いのに、カノと友達にならなきゃ良かったとはちっとも思わなかった。

この悲しさも、苦しさも、いとおしさも、全部ひっくるめても、カノといた楽しさや喜びには全然勝てないからだ。

それだけ、充実していた。


カノ私頑張るから。

次会ったときにはもっと強く、しゃきっとして。

あなたに自慢の友達だって言ってもらえるように。


でも、今は泣き虫でいさせて。


◆ロック◆


「なんだこりゃ?」


元いた空き地へ戻ると死体が増えていた。

死体だけでない血痕の量が尋常ではない。

あとから来た二人の契約者の内、片方が死んだらしい。


「仕方ねぇ」


これも何かの縁だろう。

三人分の墓を作った。

契約者とはいえ人は人だ。

大罪人とはいえ、死んだ後くらいは安らかに眠っても誰も文句はいわないだろう。

それに、増えた死体の方はやけに損害が酷かった。

まるで、元々恨みを持たれていたような。


ともかく、手を合わせる。


「ハーデンバルトさん。 事が片付いたらドイツへ帰りましょう」


それまでの間はこの小さな墓で我慢してもらおう。


「さて」


あと何人契約者が残っているかわからないが、もうこれ以上無駄死人を出さない内に見つけ出す。

そして、次は少し見極めようと思う。

それくらいの余裕はあるはずだ。

俺への負担は増えるが、構わない。

小早川あいつほどじゃないにしても正義の在り方を考えようと思う。


「にしてもあれ見つからなかったな」


立ち上がる。

太陽はもうすぐ沈むだろう。


「ハーデンバルトさんの魔力探知機」

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