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Sabbat・Servant(サバト・サーヴァント)  作者: ゆにろく
6月10日 日曜日
50/61

41話 逃走

◆黒木 暗子◆


ひたすらに走る。


「暗子!! 振り返らないっ!! 走って走って!!!!」


フェンスを乗り越えて、ひと安心かと思いきや、少しの間を置いてからこちらを追いかけてきた。

という訳で、走って逃げている。

体育の成績はいつもCだったが、カノとの契約で身体能力が上がっているというのはホントらしい。

プロが見たら大激怒するような汚いフォームで走っているのに、金メダルを取れるような速度がでている。

……がんばるのよ、私。

狭くて入り組んだ路地を全速力でバタバタと駆け抜ける。

大通りに出るよりも人のいない道を選んだ。

カノがなんというかそっちの方が良いと助言をしてくれた。

相手の『武装イスティント』がよくわからないから、直線的な位置になるのはよろしくということだろうか?

できるだけでジグザグと走る。


「……暗子! なんか投げてきた! スライディングして!!!」


へ?

スライディングをしたことのない私はテレビで見たスライディングをする。

頭から行った。

サッカーの奴の方がよかった。

これは野球のスライディングだ。

頭上を何かが高速で飛んでいく音がした。

少しだけなにが飛んでいるか見えた。


「……鎌?」


顔を上げ、立ち上がろ──


「暗子!! すぐ立たないで!! なんか宙に残ってる」


よくみれば頭上には鎌の残像が残っていた。

……触れない方が良さそうだ。

気をつけて立ち上がりまた走り出す。

ダメだ。

あちらは武器があるのに、こちらにはない。

そのせいで、ただ距離を詰められる一方。

走るだけというのは限界がある。


「ねぇ……、カノッ。 わ、私の『武装イスティント』は出せないのかしら……、ハァハァ」


走りながらカノに聞く。

もう息も上がってきた。


「出せることは出せるけど、多分使い物にならない! それに、今出したらそっちに気を取られてむしろ危ない」


「で、でも、このままだと追い付かれてしまうわ……!」


やっぱり、その、戦う……しかないのかしら。


「……暗子、取り敢えずあそこ! あそこに逃げ込もう」


カノの指を向けた先には地下駐車場があった。

遮蔽物のある場所。

さっきから、鎌を投げてきている。

人気のない場所の方が無関係の人を危ない目に合わせずに済む。


「わ、わかったわ!」


入口のバーをくぐり、中へ入る。

車は止まっているが、多くもない。

今から人が来る様子もない。

取り敢えず、テキトウな柱に隠れて息を整える。


「多分この距離ならレーダーの位置をごまかせる」


「隠れるのは有効ってことね?」


「そゆこと」


「ハァハァ……」


「大丈夫?」


「……え、えぇ。 久々に運動、したから……。 息が……ね」


疲れたが、そんなことを気にしている場合ではない。

隠れたものの、この状況を打開できたわけではない。

契約者をなんとか追い返さねばならない。

武装イスティント』は……。

それを出して戦うのは多分無理だ。

なんなら、過信して挑む方が危ないだろう。

私の武器。

私には何もな──


「あ」


「どしたの? 暗子?」


「私にもあった」


「何が?」


「魔術《武器》」

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