表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sabbat・Servant(サバト・サーヴァント)  作者: ゆにろく
6月10日 日曜日
47/61

39話 石動 唯

◆石動唯◆


今日、お父さんからメールが来た。


現在、お父さんとは離れておじいちゃんの家で暮らしている。

理由はお父さんが何か「悪いこと」をしたからだ。

何をしたのかは具体的に知らない。

おじいちゃんがそう言っていた。

お父さんにも聞いてみたけど否定はしなかった。

でも、お父さんが私に暴力を振るったりとかそういうことは、今の今まで一度もなかった。

それは、お母さんが居たときも、居なくなってからも変わらない。

お母さんが居なくなってからはお父さんは家にずっと居てお酒を飲んでいた。

それでも、お腹を空いたと言えば何か食べ物を買ってきてくれたし、なんの不便もなかった。

むしろ、お母さんが居なくなって私は寂しかったから、お父さんが家にいたのは嬉しかった。


ある日、お父さんは楽しそうに帰って来た。

その日からお父さんはお酒をあまり飲まなくなって、私によく構ってくれるようになった。

とても嬉しかった。

でも、それも長くは続かない。


お父さんは私をおじいちゃんの家の前まで連れていった。

そこから、お父さんとは会っていない。

でも、お父さんは私に秘密の連絡先を渡した。

たまにメールが来るし、会えないのは寂しかったけど我慢できた。


そして、今日お父さんが会いに来るという旨のメールが届いたのだ。

今日、おじいちゃんちの近所で何か火事?が起きたらしい。

警察や救急車、消防車がたくさん来ていた。

それを心配しているのだ。

お父さんが何か悪いことをしたと言っていたが、やっぱり私には優しいお父さんであることには変わらない。


メールには15時頃着くと書いてあった。

しかし、15時になってもメールは来ないし、おばあちゃんやおじいちゃんは11時頃に買い物行ってからまだ帰って来ていなかった。

テレビはおじいちゃんから勝手に付けないよう言われていたので暇だった。

だから、お父さんを探しにいくことにした。

もう家の近くに着いているんじゃないかと思った。

やっぱり、外では何かがあったようで、建物が崩れていたりした。

怖くなって走っているうちに迷子になった。

ここはおじいちゃんの家。

あまりこの辺のことを知らない。

歩いていると人の声が聞こえた。

よく聞けばそれは、お父さんの声に似ている。

不安だったから急いで走った。

声の先は空き地だった。

そこにはお父さんと、誰か知らない男の人。

そして、二人の男の人が倒れていた。

その4人全員が怪我をしていた。


「お父さん……?」


◆◆◆


お父さんを……。

お父さんを××した男の人は私には目も暮れず空き地から出ていった。


「……ひっ……ひっく」


何もできずただそれを見ていて。

なにが起きたのか今理解……した。

涙が溢れた。

お父さんは血だらけで……。

見ていられない。

顔を手で覆った。

お父さんはあれじゃ……多分……生きて……。


お父さんはあの黒髪の男に。


涙は止まらない。

よくわからないけれど、もうお父さんに会えない。

それはわかる。

ただ泣いた。


「おい……」


「……ひっ……」


顔を上げると、背の高くて顔に模様が入った男の人が立っていた。

ビックリしたけど、そこまで怖くはなかった。

その男の人はとても悲しそうな顔をしていたから。


「お前が、……通の娘かァ」


通。

確か、お父さんの名前だ。


「ぐずっ……うん」


「そォか」


「……」


「お前の父ちゃん。


殺されちまったぞ」


殺された。

ほんとは気付いていたけど、信じたくなくてわからないふりをしていた。

お父さんは死んだ。

あの、黒髪の男に命を奪われた。

また、涙が溢れ、頬を伝い地面に吸い込まれっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ