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Sabbat・Servant(サバト・サーヴァント)  作者: ゆにろく
6月10日 日曜日
46/61

38話 『大熊』vs『毒蛇』(3)

◆二階堂薫◆


「ハァハァ……」


俺も、石動も消耗しきっていた。

地面に血が混じった唾を吐き捨てる。

俺の左腕は石動に幾度も刺され、ぼろ雑巾のようになっていた。

痛覚は消え、ろくに動かない。

そのせいで、大剣を片手で振るうはめになり攻撃の速度は落ちた。

しかし、『追跡する大熊の爪牙(チェイサーファング)』による斬撃は石動の身体の至るところに切り傷を作り、始めに見せた俊敏さはもうない。

決着の兆しは見え始めたが決め手が両者欠けていた。


「……そろそろ、……死ねよ」


「……やなこったぁ。 てめぇがくたばれ」


大剣の握りを強く。

もう少しで、もう少しで石動を殺せる。

ゴールはすぐそこだ。

石動も息を整えたのか、ナイフを逆手に持ち、重心を低く構えた。

にらみ合い、隙を探す。

頭を回して、決め手を探す。

心臓の音がうるさい。

沈黙のまま時は過ぎていく。

俺も、石動も次に掛けている。

これ以上の長期戦は引き分けを意味する。

何度も切り合い、身体は限界なのだ。

ここから長引けば相手を殺したとしても自分も長くは持たない。

これは復讐だ。

アイツに俺の命をやる気は毛頭ない。

息を吸い込んで、止める。


「「死ね」」


両者が動──




「お父さん……?」




剣を振り上げた瞬間。

空き地の入口から声がした。

小学生に見える少女。

石動の両目は大きく開かれ。


「……ゆ、ゆい……?」


頭に浮かぶ石動との会話。

『娘もいるんだぜ』。

『娘』。


俺はそこで最善と思われる方法を取った。

ここでの最善とは石動を殺すことだ。


「……ッ! てめぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」


俺の放つ斬撃に石動は瞬間移動し飛び込んだ。


斬撃は標的の石動の娘(・・・・)に当たる前に石動が受けた。


「ガハッ……」


石動は血を吐いた。

これは致命傷だ。

胸をばっさりと斬られたのだから。


「……お父……さん?」


「に、逃げ──」


石動は後ろにいた娘に話しかけようとしたが、俺が襟を掴み投げ飛ばしたことで言葉は途中までしか出なかった。


「あがぁっ!」


ブロック塀に衝突した石動は呻き声を漏らす。


「……り、回避リー──」


瞬間移動しようとしたところに、剣撃を放ち口を塞いだ。

それから石動の元へ行き、切り裂き続けた。

一心不乱に。

ただただ、剣を降ろし続ける。

もう斬撃を飛ばす必要も、追尾させる必要もない。

ひたすらに。

がむしゃらに。

振り下ろす。


「薫。 もう……、死んだわ」


「ハァハァ……」


サーニャに言われ、手を止めた。


「な、なんで……? お……お父さん……」


武装イスティント』を消し、へたり込む少女とすれ違い空き地をでる。


「薫……」


もう日が暮れ始めていた。

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