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Sabbat・Servant(サバト・サーヴァント)  作者: ゆにろく
6月10日 日曜日
33/61

26話 共闘

◆桐川 絶◆


いきなりの第三者による飛び蹴りで俺は弾き飛ばされた。

俺を弾き飛ばせるということは契約者かエクソシストだ。


「小早川……誠」


エクソシストに小早川誠と呼ばれた男の隣には銀髪の少女が飛んでいた。

つまり、前者だ。


──面白い。


小早川の様子を見るに俺に対して殺意を向けていることは間違いない。

2対1であればまだ楽しめる。


ところで


「ガルバ。 なぜ言わなかった。 レーダーで接近はわかるだろう?」


「すまない、絶。 敵かよくわからなかったものでな」


「どういうことだ」


「すぐそばをうろちょろしていたのだ」


うろちょろ。

なんのために?


小早川の服をよくみれば所々汚れていた。

破れたりもしている。

あの、俺を恨むような眼付きの割に真っ直ぐこちらへ向かってこなかった。

悪魔のレーダーがある以上迷うってことはないだろう。

では何をしていたか。

あの恨むような睨みかたは自分の願いを叶えたいというより俺個人を許せないという感じだった。

つまり、小早川はここへくる途中、人助けをしていたんではなかろうか。

契約者の身体能力なら瓦礫をどかすのも容易である。

よくみれば小早川の服は汚れていたり所々破けていた。


──なるほどな。


以上の点から奴はどういう人間か予想する。

小早川は他人の傷つく所を黙ってみていられないタイプだ。


そうすれば全て府に落ちる。

俺自身そのような気持ちになったこともないし、納得はできないが理解はできる。

であれば。


「お前がやったのかって聞いてるんだ……」


「あぁ。 そうだ。 契約者を呼び出したくて何人も殺した。 そこのエクソシストも殺した」


煽ってやれば良い。


「俺はまだ殺すつもりだ。 これが終わり次第な」


こういえば、小早川は向かってくるだろう。


「この……野郎」


小早川はハンドガンの引き金に手をかける。


「お前は殺す」


そうこなくてはな。


◆ロック◆


小早川が来たことに少しホッとしてしまった。

二人なら勝てるのではないか、一人よりも勝率が上がったとそう心のどこかで思ったのだ。


小早川は契約者だ。

こいつと協力するのはエクソシストとして良いのかよ。


「おい。 エクソシスト。 そこの奴と協力すれば仲間の仇を討てるかもしれないぞ」


そう学ランの方の契約者は言う。

ハーデンバルトさんの仇を……

いや。

憎い契約者と協力して、悪魔に魂を売るような真似までしてあいつを殺して、ハーデンバルトさんが喜ぶのか?


違う。


根本的に「そうじゃない」。

仇を取るためにここに俺はいるんじゃない。


俺がエクソシストになった理由は単純だ。


親が魔術使いに殺され、その魔術使いを捕まえに来たエクソシストに俺は才能を見いだされ今に至る。

その時エクソシストになることを決意したのは親の仇の魔術使いを殺すためじゃない。

あのときの俺みたいな弱者を守るため、俺みたいな人間を減らすため。


俺はこの契約者を止めるためにここにいる。


それが最優先だろう。

少なくとも小早川より学ランの方を野放しにするのは絶対にマズイ。


ハーデンバルトさんは最後に自分を信じろといった。


小早川と手を組むのは邪道であり、許されることではないかもしれないがそれが最善だと俺は信じる。


「……ロック」


「?」


「俺はエクソシストのロックだ。 小早川、手を貸せ」


「良いのか?」


「良かねぇよ。 ただ、お前よりこいつを優先してるだけだ」


最初に会ったときコイツは人死を減らしたいとそう言っていた。

あのときは絶対に嘘だと思った。

今はどうか。

多分、小早川は本気で他人を巻き込むことに対して怒っている。

学ランの契約者を睨み付けている小早川の姿をみて、自分と重ね、似ていると思った。

それも手を組むということに対して抵抗がさほどなかった理由かもしれない。


今の敵は学ランの契約者だけ。

そう結論をだし、詠唱を始める。


「刃に宿れ『火炎フランメ』」


俺は駆け出した。

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