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Sabbat・Servant(サバト・サーヴァント)  作者: ゆにろく
6月10日 日曜日
30/61

23話 切られた火蓋

◆ロック◆


ハーデンバルトさん表情が先ほどから険しい。

移動している5分間一度も話しかけることができなかった。

それもそのはず、魔力を目に集め、契約者を視た時度肝を抜かれた。

魔力の量がぶち抜けている。

器の大きさが俺とハーデンバルトさんを足してようやく足りるといった

感じだ。


――勝てるのか? これに。


否、勝つのだ。

やらねばならぬ。

ニュースでこいつのしたことは見ていた。

到底許される行為ではない。

契約者は法では裁けないのだから、俺たちエクソシストが法となり裁きを下さねばならない。


「さぁ始めようか。 エクソシスト」


空き地。

十分開けていて、戦うのに申し分ない空間。

林に囲まれているため周りからみられるということもないだろう。


「――開け」


契約者が『武装イスティント』を発現させる。

拳につけた妙に装飾が派手なナックルだ。

ニュースで見ていたが、爆発が起きている以上、殴る以外に使い道があるとみてほぼ間違いはない。


「あぁ。 ここで構わんさ」


ハーデンバルトさんも杖から刀を抜く。

俺も刀を抜く。


この日本刀は特別製で刀身に銀を混ぜて作っている。

刀の銀から魔力を受け取り、詠唱。


「刃に宿れ『火炎フランメ』」


一瞬火の粉が見えたかと思うと、またたくまに刀身の周りを渦状の炎が切っ先目掛け駆け上る。

俺もハーデンバルトさんも魔術を行使するが魔術の種類は違う。

ハーデンバルトさんは手数の一つとして、俺は武器の強化。

ゲームなんかでいうエンチャントだ。


「ふむ。 それが魔術か」


契約者はじっと刀を見ていた。


その距離

──約3m。


「?!?!」


いつこんなに距離を詰められた?

俺が契約者へ向け何かアクションを起こす前にハーデンバルトさんが蹴り飛ばした。

契約者は直前に『武装イスティント』でガードしたのがみえた。

契約者はもちろんハーデンバルトさんも恐ろしく速かった。

以前の小早川と戦った時よりも速度を上げている。

小早川の時は多分魔力を温存していたのだろう、今回は限界まで体に魔力を回していると見える。


俺達は銀をブーツの底や、服の下の鎖かたびら、至るところに仕込んでいる。

小早川と戦ったあと魔力を込め直しているから魔力量は十分。

これらを『器』限界まで身体に回し、魔術の行使を考えると戦闘できる時間は持って15分。

そう、短期戦でしかこの契約者に付いていけない。


「ロック君、お相手はバカみたいに速いらしい」


「すみません。 少し油断しました。 大丈夫です」


魔力を『器』限界まで身体に回し、契約者の動きを捉えるため目に魔力を集中させる。


契約者はゆっくり立ち上がり、構えた。

動き出す。

左右ジグザグに駆け抜けハーデンバルトさんとの距離を詰めに行った。

魔力を集中すれば見えない動きじゃない。

が、もちろん視ることに集中すれば他へ回す魔力は減る。

集中させる部分を状況によって切り替えて戦わねばならない。

目への集中を解除し、契約者の元へ走り込み、斬り込む。

炎を纏った刀は空を切った。

──どこ行った?!

目の魔力を解除した途端見失った。


「上だ!」


ハーデンバルトさんが声を張り上げた。

そう、契約者はジャンプし俺達の真上、約3m上空にいた。


──確かに速いが、それは悪手だ。


どれほどの身体能力を持っているとしても自由落下の速度は変わらない。

ただの的だ。

上への回避は悪手以外の何ものでもない。

契約者はただ地面へ、俺達へ向け拳を振りかぶった。


「……ロック君! 盾の準備だ!!」


爆発バースト


契約者は拳を振り下ろす。

──能力か!!


「魔を防げ」


「「『シルト』!」」


俺とハーデンバルトさんは上空に向け防御魔術を使用する。

魔力的、物理的な攻撃を防ぐバリアである。


契約者の『武装イスティント』が一瞬光ったと思うと次の瞬間にはとてつもない爆発音、そして激しい炎が降り注いだ。


二人分、二重に張られた『シルト』は爆風と熱を完全に防いでいた。

しかし、その強度にも限界がある。

一枚目にヒビが入った。


──このままではマズい。


「ロック君! 歯ぁくいしばれ!」


飛んでいた。

爆発の被害範囲より外へハーデンバルトさんに殴り飛ばされたのだ。


「ハーデンバルトさん!!!」


激しさを増した爆発にハーデンバルトさんは飲み込まれた。

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