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Sabbat・Servant(サバト・サーヴァント)  作者: ゆにろく
6月8日 金曜日
21/61

16話 戦闘開始

◆桐川 絶◆


「ああ。 わかった。 絶、契約者はあのバスに乗っているようだ」


やはりバスか。

流石に相手の契約者もこちらに気づいているだろう。

橋を越える前にひとつバス停がある。

敵はあそこで降りる。

バスを早い段階で降りないあたりあちらもやる気であろう。

であれば、橋のほうへ少し歩みを進め、迎えにいってやろうというものだ。


「『武装イスティント』は俺が『開け』といえば発動する。 正直絶の『獅子レオン』はあまりあてにするな。 絶は身体能力がすこぶる高い。 それで攻めろ」


「ふむ」


橋まで視界が開けているため、橋前のバス停で止まるバスが見えた。

2人ほど降りた。

橋を渡ろうとしてるのは一人、こちらが契約者だろう。

そしてバスは走りだす。

バスは橋を渡りきれば左折しこちらへ向かってくる。

人目につき騒ぎになっては面倒なのでバスが通り過ぎてから戦ってみるとする。

俺も橋の方へ歩き始める。

ちょうどバスが橋を渡りきり、左折しこちらに向かって来る。


「左折したぞ」


ガルバはそう漏らした。


「? 待て」


――俺は一つのミスに気がついた。

あのバスが橋を渡ってからガルバと契約者の位置の情報を共有していない。

契約者は橋のところのバス停で降りたと俺は考えた。

ガルバは例え契約者がバスから降りていなくて俺の態度から特に心配はしないだろう。


「……ガルバ、契約者は今どこにいる?」


悪魔という非常識的なものといながら、常識で物を考えていた。

流石にバスから降りてこちらへ向かうだろう、と。


「? だからバスに乗っている(・・・・・・・・)と――」


身構えたときにはバスが俺の横を通り過ぎる一歩手前。

バスの後部座席の窓ガラスが派手に割れた。

ガルバが口を開き『獅子レオン』を発現する前に窓ガラスから一人の少女と悪魔が飛び出した。


◆シェロ◆


正直、秋奈という人間がそこまですると思わなかった。

バスで相手にギリギリまで接近してガラスを破って外に出る。

というのが秋奈の提案だった。

バスに乗る他の乗客のことを全く考えていない作戦。

他の乗客が戦いに巻き込まれた場合どうなるかという事を見て見ぬフリをしている。


――悪くない。


「――開け」


秋奈の『武装イスティント』、『蟷螂マンティス』が発現した。

蟷螂マンティス』は真っ黒な大鎌だった。

鎌は窓をぶち破り、それに運転手は驚いたのかバスは大きく進路をずらした。

秋奈が飛び出る。

走行中のバスから飛び出たのだから、バスと同じ速度で飛び出、秋奈はその勢いに身を任せ大鎌を振るった。

横に一閃。

契約者と思われる学生服を着た人間はその突然のことに対処してみせた。

人間は思い切り上体を大きくのけ反らせ鎌を躱す。

しかし、秋奈は止まらない。

大きく振り切った鎌の勢いを殺さず着地する前にもう一撃。

次は縦方向へ一閃。

相手はこれも左へ転がり躱す。

そこへ秋奈の思いっきり魔力を込めた蹴りが飛ぶ。

これは避けようがなかった。

そう、相手の右方向にはバスがいたため左にしか避けることができなかった。

それを予想し蹴りを入れた。

秋奈。

もともと契約者の才があったので、身体能力が高いのは知っていたが初戦でここまで使いこなすとは。

正直侮っていた。

最初はふつうの女子高生だと思っていたが追い詰めてみればとんでもない牙を隠していたわけだ。


だがこれは相手が悪かったかもしれない。


近くで見て分かった。

この男には契約者の才、つまり器の大きさが秋奈の倍はある。

秋奈だって優秀といえる才があったのだから、ただこいつが桁外れな才能の持ち主なだけ。

実際完璧な不意打ちも躱して見せた。

あのクリーンヒットした蹴りでさえダメージになりえていない可能性がある。


しかし、もう一つ近くでみてわかった。


――コイツ『想い』が決定的に足りていない。


まだ勝機はある。


◆桐川 絶◆


大鎌から繰り出される2撃を避けたが蹴りは躱し損ねた。

身体が飛んでいた。


河川敷のほうへ飛ばされた。

河の手前で地面に手を突き、なんとか蹴られた勢いを止める。


――これが契約者の力。


成人男性を女が文字通り蹴り飛ばす(・・・)ことができる。

とはいえ、俺へのダメージはほぼ0と言って良い。

ノーガードでぶっ飛ばされたがものの、――当たった時多少の痛みはあったが――外傷はない。


「ひやひやさせるな。 最後のは避けれなかったのか?」


「あぁ。 あの鎌だ」


最後の蹴り。

こちらの動きを完全に予測した上での攻撃だった。

予測された原因は2つ。

バスによる一方向の封鎖。

そして、大鎌。

大鎌が振るった2撃の描いた軌跡、残像が最後の蹴りの瞬間まで消えていなかった。

飛び出しざまの横一閃によりできた軌跡があったせいで上体を起こすことができず、横に転がるという選択肢しか選べなかったのだ。

軌跡に当たるとどうなるかはわからないが、当たるのは得策ではないだろう。


――面白いじゃないか


◆日野 秋奈◆


最後の蹴りしか当てることが叶わなかった。

バスのほうは窓ガラス以外異常がないことを祈るとしよう。

まぁ、そんなことはどうでもいい。

河川敷のほうへ足を進めると、先の学生服の男は立っていた。

あちらも『武装イスティント』を発現させていた。

拳にごつごつといわゆるメリケンサックのようなものを身に着けている。


「良かったわよ♪ あと、あいつの『武装イスティント』はあまり恐れなくても大丈夫そうよん。 『想い』が小さいから」


「そう」


さあ第二ラウンドだ。


◆小早川 誠◆


「エクソシスト?」


「たぶんね。変な魔力を持ったやつがいる」


「ってことはリザが祓われたりするわけ?」


「一回説明したでしょ。 そゆことよ」


そういえばリザが言っていた。

エクソシストという契約者狩りがでるのだと。

そこそこ厄介な割に倒してもなにも得られないという。


「……契約者を狩ってるんだよな」


「そ…… え? まさかとは思うけど」


「一度会ってみよう」


狩るというのは殺すということだろう。

エクソシストというやつだけ例外にはしない。

契約者同様、見極めるべきだ。

悪人かどうかを。


◆ロック◆


悪魔には人間を害するとき憑依と契約というパターンがある。


憑依は完全に人間と融合している。

憑依は特別な魔術を人間に叩きこみ悪魔を人間から追い出し、あくまを魔界に送り返す。

しかし、前述の魔術には少々時間がかかる。


契約は人間と半融合という形だ。

憑依同様、悪魔を人間から追い出さなくてはならないのだが、『武装イスティント』があること、契約者は憑依と違い身体能力が上がることから憑依の時に用いた魔術を打ち込むのはリスクがある。


ちなみに、憑依はもとより器――いわゆる契約者の才――が小さい者にしかできないので、身体能力はさほどあがらない。


ではどう悪魔を祓うか。

――シンプルに契約者を殺す。


契約者を殺し、そのあとで悪魔を魔界に送り返すのだ。


それに、契約者は自分の意志で悪魔と関係を持っているわけだ。

契約者は『悪魔に魂売ったもの』として処刑対象と「dd」は定めている。

だから、契約者は見つけ次第問答用で殺すのだ。


◆◆◆


「あれだね。 まさかわざわざ待っているとは思わなかったが」


「……みたいですね」


暗いトンネル。

その中に一人の男が立っていた。

魔力を眼に集中させる。

訂正。

一人と一匹の悪魔だ。


刀に手をかける。


「ロック君。 今回は私に任せてもらえるかな?」


「え? あ、はい」


俺は若くして『金』の階級になったが、契約者との戦闘をしたことがなかった。

自分でいうのもなんだが、才能だけでここまで上り詰めてきた。

もちろん戦いたくないわけではないが、契約者との戦闘、そしてハーデンバルトさんの戦いを見たいと思っていたのも本音だ。

ハーデンバルトさんは前へでて契約者と思われる男へ話しかけた。


「初めまして。 私、エクソシストのハーデンバルトと申します」


「こちらこそ、小早川誠といいます。 こいつはリザ」


「……ごてーねーにどうも。 リザでーす」


「そしてだね――」


ハーデンバルトさんは話の途中で駆けた。


◆小早川 誠◆


挨拶ができて、なんだ話ができそうじゃあないかと思った次の瞬間には金髪のじいさんが消えた(・・・)

そして、俺の前に現れ、じいさんは杖の先を俺に向けて――


――いや、杖じゃない! 仕込み刀?!


杖は持ち手から先が銀色に輝いていた。

先端は勿論尖っている。

首を曲げ、顔への直撃を避けつつ、一歩後ろへ下がる。

鋭く力強い踏みこみ。

アスリートならとっくに引退してる年齢に見えたがバリバリ現役らしい。

頬が切れる。

相手はそのまま刀を横へ薙ぐ。

上体を若干そらしつつ苦し紛れに前蹴り。

当たったのはわかるが全然浅い。

触れた瞬間、一歩下がり衝撃を殺された。


「やっぱり速いね。 上等な悪魔だけある。 ロック君、流れ弾には気を付けてくれたまえ。 そこまでは気を遣えなさそうだ」


一瞬気を取られたが速度としては対応できない速さじゃない。

こないだの二階堂と同じかそれ以下。

しかし、動きのキレが違う。

0と10の速度の二択で動く相手より、1から8を切り替え動く相手のほうがやりにくい。

スロットゲームでいきなり低速になったり加速したら台バン待ったなしだ。

二階堂より厄介かもしれない。


「ちょ、ちょっと待ってくれ」


「何かね? マコト君」


「俺はあんたらと戦いに来たわけじゃない」


「?」


「俺はこの『儀式』で傷つく人を減らしたいんだ」


「……なるほどね。 私もそう思うよ。 だから君を殺すんだ。 せめて天国に行けるよう祈っていてあげよう」


「俺が降参といって契約を取り消したらどうする?」


「私たちの規則では悪魔と契約した人間は死刑と決まっているんだ」


なるほど。

エクソシストは契約者を絶対悪としてとらえている。

まあ、悪魔の甘言に乗った人間だ。

言わんとしたいことはわからないでもない。

しかし、それはただの思考停止だ。

契約したからと言って全員を全員殺すのは間違っている。


――とはいえ、この人たち悪人って訳じゃないよなぁ。


会いに来てなんだけど、巻くか。

しかし、このじいさんは厄介だ。

……ちょっとくらい痛い目に合わせてもこれは正当防衛だろう。

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