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仇祭 〜アダマツリ〜  作者: lätt
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ゼンヤサイ 其ノ弐

 衝撃的なのか笑劇的なのか、よく分からない登場をした神様であるが、実力は本物である。あの稲妻がそれをよく表している。あれに当たっていたら即死だっただろう。以前に彼のこれ以上の力を見せられている。彼は本物であることは僕が一番理解している。それ故に逆らえないのだ。ところで、時を止めた状態であれだけの衝撃を地上に与えて、動き出した瞬間に影響は起きないのだろうか。

「祭、聞いているか?」

もちろん聞いているとも。僕はこの状況について説明する義務があっただけだ。

「もちろんだ。さっさと要件を話せ、ユシマ。」

 彼は自分のことをユシマと名乗る。先程から分かるように、かなり馴れ馴れしく話しかけてくる。その方が僕も緊張せず、楽に話すことができる。何より命令もといお告げという、堅苦しい形にならない事が有り難い。僕はそういう堅苦しいものは苦手である。

「あせらないで大丈夫、今回は緊急でも無いし、何かが起きたわけではない。忠告のような、アドバイスのような、事前準備のようなものだ。」

 大体彼が話しかけてくるときは緊急なものである。わざわざ下りてこないで、稲妻を落として話すのだ。緊急以外の連絡は初めてである。

「ここにいる人間、かなり『厄』を呼び寄せやすくなっている。これから一緒に生活するようになるんだろ?お前は運がいいな。探さなくても自分から集まってきてくれるんだからな。」

彼が言った『厄』。僕の役割はこれを祓う『厄祓い師』だ。厄祓いと言っても。正装で紙がついた棒を振り回すような仕事ではない。実際に『厄』を祓うのだ。そういった意味では『厄消し』または『厄殺し』といったほうが正しい。払わないと面倒なことになる。少なくともそれは確かだ。

「ここにいる人間ということは、大多数を指すわけだな。そんなにいるのか?」

いくらなんでも何十もの数を相手にしろと言われてしまうと困る。初心者に相手できるようなものではない。

「安心しろ祭、そんなに一気には来ねぇよ。それに誰もが厄に憑かれる可能性があると言っただろう?ここにその可能性が高いやつが多くいるだけだ。鍛えろとは言わないが、その身体に慣れておけ。自由に使えるようにしておいて損はないだろう。」

それはその通りだ。僕はまだ自分の力を把握できていない上に限界を知らない。これはとても危険であり、勿体無いことである。早急にしなければならない。

「話はそれだけだ、時間の動きを戻そう。人形はしっかり身につけているな?そうでないともしも厄に出会ったときアドバイスできないからな。」

それを聞いた僕はスマホについているストラップを見せた。厄と言っても毎回スライムを倒すようなものではない。それぞれ特徴があって倒し方も違う。知識がない僕はユシマの力が必要であり、ユシマがアドバイスをするには人形が必要なのである。

「それでは時を戻すぞ。それから、あの稲妻は当たってもなんの害も無いから安心して受けろよ」

なんだよ、害はないのか。最初に心配して損したではないか。


こうして今度こそ僕の高校生活が始まった。

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