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喫茶店では、ほどほどに

あの後、俺は強引に駅前の喫茶店アポロに連れてこられた。


「まず、説明しろよ!話は、それからだ。」


いきなり1日恋人になれなんて何か緊急事態でもあるとしか思えない…


「ちょっと前にあるパーティーである人に気に入られちゃってお見合いを申し込まれているのよ」


なるほどね、こいつの性格を知らないから、そんなこと言えるんだろうな。


「じゃあ、いつもの調子で、はぁ?きもい!死ね!これで相手の心は、ズタズタになること間違いない!」


麗奈に向けビシッと親指を立てた。


「私いつもそこまで言ってないわよ!」


そうだな。言い過ぎた。死ね!の部分だけ撤回しておこう。


「それに、私を気に入ったのは、あの半田自動車の跡取り息子、半田宗一郎はんだそういちろうなのよ!」


「は?うそ?」


「うそついてどうすんのよ?」


半田自動車といえば日本の中でもかなり有名な自動車会社で、おそらく知らない人は、いないだろう。


「で、それが何で俺に1日恋人になれってことになるんだ?」


「半田自動車といえばかなり大きな会社でしょ?そこの跡取り息子とのお見合いを何の理由もなく断ったら半田の跡取りを否定することになる、北条グループとしてもそれは避けたいのよ、だから私に彼氏がいるってことにして断わろうとしてるわけ。」


俺はこの状況を避けたいっての!大体、行動じゃなく言葉で伝えれば、いいだろうが!


「あらかじめ言っておくけど彼氏がいるって言ったのに本当にいるか確かめたいと宗一郎さんが言ってきたからあんたに仕方なく頼んでるんだからね。」


仕方なくっていうぐらいなら頼むなよ!あ、そういえば何で俺なんだ?


「ていうか何でお前、その彼氏役、当たり前のように俺なの?」


俺が、そう言うと麗奈は、鋭い視線でこっちを睨んできた


「何?嫌なわけ?」


「い、いや、そういうわくじゃないけど。」


「じゃあ、どういうわけなのよ?」


なんか知らないけど怒ってるな!まずあの怒りを沈めるのが最優先事項だ。


「いや、俺なんかでいいのかなと思って…」


「何?そんなこと気にしてたの?っていうか家の両親が…」


『困ったな!半田からの見合いの話となれば、無下には断れんぞ。』


『そうだ、あなた!海斗くんに麗奈の彼氏役をやってもらいましょう。そしてゆくゆくは本物の彼氏に…うふふ!』


『そうだな!それがいい。麗奈、海斗くんに彼氏役を頼みなさい。後、海斗くんが本物に彼氏になったときにはちゃんと報告するんだよ。父さんにも心の準備が、いるからな』


「って言ってたからあんたしかいないの!」


俊樹としきさんとほたるさんか。麗奈の両親のあの2人とは、俺が小学校の頃から麗奈の家に遊びに行ってよく知っていたので、今の場面が頭の中で簡単に想像することができてしまった。


親が了承するどころか、その親が進めているわけか。しかしよく考えて見たら麗奈は、下手をしたら好きでもない人と結婚をすることになる。

それってあんまりにもかわいそうなんじゃないか?俺は心を決めた。


「よし!俺も男だ。今日1日俺はお前の恋人だ。」


「う…うん…ありがと。」


おい!自分で頼んどいて何顔赤くしてんだよ!こっちのほうが恥ずかしいっての。

俺に背を向け大きな深呼吸をした麗奈が、俺のほうを見ると何かを決意した表情で、こう言った。


「とりあえず向かうべきは本屋ね。行くわよ!」


俺は、なぜ本屋なのか、わけのわからないまま麗奈と一緒に喫茶店を後にした。

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