勉強も、ほどほどに
俺と麗奈は、公園からでたあと、そのまま寄り道することなく家に向かっていた。
「海斗!今年もあれやるわよ!」
「……………」
「何よ!この沈黙は?」
麗奈が不機嫌そうに聞いてくる。
あれって言われても色々ありすぎて絞れない。 よし!ここは俺の勘にたよろう!
「わかってるよ!あれだろ!ほら、毎年皆で行ってるプール…じゃなくて…」
途中、麗奈に鋭く睨まれた瞬間、ピンときた。 ちがう、麗奈の言ってるアレは、わからんが、プールではないことは確かだ。 そういえばプールは、中2のときを最後に行ってないんだった。 危なかった…危うく地雷を踏むところだった。
さて、あっ!きたぞ!これしかない!
「あれだ、そう…」
「もういいわ!」
あ〜! せっかくわかったのに…………待てよ、ここで下手に間違ったことをいうよりも、麗奈に言わした方が無難。 触らぬ神に祟りなし!
俺は、麗奈が言い出すのを待つ作戦にした。
「……勉強会よ!勉強会!」
「あぁぁぁぁ!!!!!」
俺は人目も気にせず思わず大声をあげてしまった。
「ちょっとそんな大声ださないでよね!恥ずかしいわね!馬鹿じゃないの?」
いや、今のお前の方が声大きいから!だけどもちろん口には出さない。そしてさりげなく話題を変える。
「ところでさぁ、お前、卒業したらどうするの?」「はぁ?いきなり何よ!私たちまだ1年でしょうが!!」
「そりゃそうだけど、ほら、就職とか、大学とか、そのへんは考えてるんだろう?」
俺にとっては、人生を左右する問題に発展するため、ここは何としても聞いておきたい。「まあ、いいわ!答えてあげる。まだ決定ってわけじゃないけど、東武大学に行こうかなと思ってるわ!」
東武大学といば、日本で3本の指に入る大学だ。 頭の良さは桁違いである。これはさすがに…
「麗奈!大切な話がある!」
「な、何よ!急に!」
麗奈が、驚いてこちらを見ている。
「今まで中学、高校と俺に勉強を教えてくれてありがとう」
「何よ!いきなり?」
本当は、感謝などしていない!まだ俺の意図がわかってないみたいだな。
「さすがに東武大学は無理だ!俺は、別の大学にいくから、もう勉強会は、必要な、な、な……」
言えない!鬼のような形相で睨む麗奈のまえに…くそ、勇気だせ俺!
「何か、勘違いしてない?確かに今のままじゃ無理だわ!」
おっと、まさかこの展開は、俺がもっとも恐れている……
「勉強を教える回数を増やすわ!」
きたー!!やっぱりこうなったか、だが、まだ諦めるのは早い。
「俺、中学、高校、金かかってねえもん、大学行く金はあるはずだ」
あれ、麗奈が悲しそうな顔してる?勝ったぞー!!
「知らないのね!香織さんが、新しい車を買ったってこと!!」
「なにー!!!!」
嫌な予感がする。ちなみに、香織さんとは俺の母さんである。
「香織さん、言ってたわ。海斗は大学も特待生で行くから、お金が、かからなくて助かるわーって」
麗奈がニッコリ笑いながら言った。俺には、悪魔に見えた。
「何か言うことは?」
麗奈は勝ち誇ったような笑みを俺に向けてくる。
「次の勉強回いつやる?」
負けた!今冷静になってみると、初めから勝ち目はない。そういえば高校の時も同じような事を言って全面敗北したのを忘れていた。
さらば、俺の自由!これから4年間…4年間?ちょっとまてよ!今、高校1年生だから…
考えるのは、また今度にしよう。あー!何か俺今なら10秒以内に泣ける気がする
あれ?ここで違和感を俺は感じた!
「麗奈!お前の家もう過ぎてないか?」
「ええ、今頃きづいたの?」
いやいや、もうすぐ俺ん家じゃん!ていうかまさか、行きなり勉強を教えにきたんじゃ?
「なぁ、まさかとは思うけど、いきなり、勉強を教えに俺ん家くるの」
「ちがうわ、今日言って今日すぐ教えに行くわけないじゃない!子供じゃないんだから!」
「いや、ごめん。さすがにそれはないよな。悪かった。」
「別にいいわよ」
ふぅー!よかった。今日は、これでゆっくり…いや、念のため聞いておこう!
「そういや、何で、俺ん家の方来てんの?買い物とか?」
「違うわ!舞ちゃんに勉強教えてくれないか?ってたのまれてから家庭教師になってあげようと思ってね!」
我が妹のばかー!!!!と俺は心のなかで叫んだ。
まだまだ未熟者ですが、感想など頂けると嬉しいです。