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ローキックは、ほどほどに

俺は今自分のクラス、つまり1年B組の教室にいる。


「ふぁ〜」


思わずあくびがでちまったが、こればっかりはしょうがない。何たって眠い!非常に眠い。くっ、やっぱり睡魔には勝てないか…寝よう。


「なに寝ようとしてんの?さっきから、あくびばっかりしてだらしないわね!」


そういって話かけてきたのは隣の席に座っている麗奈だ。北条と三上、まだ学校が始まって1ヶ月なのでいまだ出席番号順の席ということでこうなっている。っていうかこいつよくそんなことが言えるな。お前が元凶のくせに…



「お前が言うな!朝5時に俺の部屋に入ってきたと思ったらいきなり俺を叩き起こして『勉強するわよ』って、朝5時に勉強する奴が、この世界のどこに居るんだよ?」


「バカねあんたは!朝に勉強するとよく覚えられるのよ。」


「それは、ちょうで今くらいの時間を言うんだよ!朝5時にやったことなんてもう頭の片隅にも残ってないわ!」


「知らないわよ!そんなの。大体あんたが昨日…」


「そこ、うるさいぞ!」


「…………」


「…………」


俺たち、1年B組の担任である高橋先生の注意により、俺と麗奈は、言い争うのをやめた。


「よし!静かになったな。朝のホームルームはこれで終わりにする。以上。」


そう言うと高橋先生は教室を出ていった。


「あんたのせいで怒られたのよ!最悪」


こっちのセリフだぁぁ!と言ってやろうとしたがやめておいた。眠くてそんな気力は、もう残ってない…そんなとき俺の後ろの席に座る一応親友の隆が話しかけてきた。


「なぁ海斗、まさかとは思うが、この連休のうちに彼女が出来たなんてことは…」


「ないわ!」


何で麗奈が、答えるんだよ!まあ、でも当たったるか…


「そうか!そうか!残念だったな。」


「そういうお前は、この連休中に彼女できたのかよ?隆?」


「それもないわ!」


だから、何でお前が…あれ?隆、うなだれてる?やっぱ当たってんのか。


「隆、残念だったな。」


「お前もな」


俺たちは同じ気持ちを共有させ、がっちりと握手をかわした。


「あんた達なに握手してんの?」


そういって俺たちの前に来たのが麗奈の小学校時代からの親友の黒田美咲くろだみさきだ。というわけで俺も昔から知っていてそれなりに仲もいい。少し男っぽいところもあるが、黙っていれば、かなりの美人だ。


「こいつらモテないどうし慰めあってるのよ」


「ふーん、かわいそう」


くそっ!言い返したいけど言い返せない…隆が何とも言えない寂しい表情をしている。お前も同じ気持ちなんだな。俺は隆の肩をポンポンと 叩いた。


「諦めるな!諦めなければ日は必ず昇る。」


「……ああ、そうだな」


麗奈と美咲の冷たい視線を感じるが、そんなことは関係ない。その後も俺たちは互いを慰めあった。


「おーい、席に着けよ。授業始めるぞ!」


授業が始まる時間になり数学の先生が教室に入ってきた。


「あっ!じゃあ私、自分の席戻るわ。」


そういって美咲は自分の席へと戻っていった。

…………………


1.2.3.と午前の授業が終わり昼休みの時間になった。


「海斗!早く弁当食いに行こうぜ」


後ろからやけに大きな隆の声がする。どうやら朝の事から立ち直ったようだな。3時間目の途中までは、頭を下げ、机にダウンしていたのにな…


「よし、行きますか。」


俺は、隣に座っている麗奈の行動を待つ。


「美咲、行こう!」


「そうね」


麗奈の一言で俺たちは動きだす。なぜかと言うとミス紅高に選ばれた麗奈は、なんの権限かは、知らないが第3視聴覚室の部屋の鍵を持っている。


簡単に言えば、他の生徒が入れない部屋にミス紅高の権限で入るというわけで、おかげで誰にも邪魔されずに昼飯を食べることができる。

麗奈が第3視聴覚室の鍵を開けて俺たちは部屋に入り、さっそく弁当を食べ始めた。


「なぁ、さっき俺たちのこと哀れな目で見てたけど、お前らは彼氏いるのかよ」


バカァァァァ!!なんてこと聞くんだ。隆、お前は命が惜しくないのか?


「い、いないけど」


先に麗奈が答えた。


「私も、いないわ。」


その次に美咲が答えた。


「なんだ、俺たちと一緒じゃないか!なぁ、海斗」


俺を巻き込むな!ここは当たり障りの無いことを言っておこう。


「そうか、俺たちとは違うんじゃないか!」


麗奈と美咲の視線が一気に俺に集まる。


「はい?俺たちと、どう違うんだよ?」


こいつ、まだ自分がどっちに向かっていってるか、気付いていないよいだな…

俺は麗奈と美咲の期待する視線を感じながら導きだした答えを言った。


「麗奈と美咲は…いないんじゃなくて作らないだけなんだよな…」


「そ、そうよ!好きで作らないの勘違いしないでよ!」


麗奈がそう言うと美咲も、その通りと言わんばかりの顔をしていた。


「ハハッ!そんなこと言ったらいつまでたっても…ぐほぉ!…」


麗奈のローキックが見事に隆の足に直撃した。あれだけ俺が危険!というサインを送ったのに哀れな奴め…


「この学校で、私たちのこと、ここまでバカに出来るのは、隆と海斗だけね。」


そう言うと麗奈は俺の方を睨みつけてきた。


「本当、そうよね!」


美咲も同じく睨んでいる。

え?俺も?いや、俺悪くないでしょ…


「あの、僕も悪いんでしょうか?」


「連帯責任!」


麗奈のはっきりとした声に俺は床に倒れている隆と同じ運命なんだと覚悟した。その時、


ピーンポーンパーンポーン!


「1年B組の三上海斗君、至急、第2資料室に来てください!」


キター!!これ以上ない最高のタイミングだ。


俺は2人を交互に見た。


「し、しかたないわ、早く行ってきなさい!」


「今回は、許してあげるわ」


「ありがとうございます!」


俺は、ものすごい勢いで第3視聴覚室を出て第2資料室へと向かった。…しばらくして俺は重大な事に気付いてた。第2資料室ってどこだっけ?





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