02 星の妖精
星ヶ丘の入口に着いた2人。
大きな門に、金網に有刺鉄線が、張り巡らされていて、夜の薄暗さもあり、何とも言えない雰囲気だ。
守「ここで、良いんだよね。」
瑠奈「うん、ありがとう。」瑠奈は、持っていた鍵で、扉を開けた。
瑠奈は荷物を持ち、足をひきずりながら丘へと向かう。
守は、星ヶ丘の存在を知っているので、その場で立ちつくすしかできない。
夜空の星の1つが、煌めき出した。
守「星が光ってる。流れ星かな?」
瑠奈「えっ、やばい。」瑠奈は、他の荷物を捨て、虫あみだけを持って、足の激痛に耐え、必死に丘の頂上まで向かう。
守は、そんな瑠奈を見て、走り出していた。
守「どうにでもなれ。」守は、覚悟決めていた。
守は、瑠奈の腕を掴み、頂上を目指す。
瑠奈「えっ、入ったら・・・」瑠奈は、困惑していた。
守「罰なら受けるよ。」ひきつった顔で、笑顔を見せた。
守「もしかして、流れ星を、その網で、捕まえるの?」正直、そんな、おとぎ話みたいな事が、あるはずない、冗談のつもりで聞いてみた。
瑠奈「うん。絶対に捕まえないと、ダメなの。」真剣に答える瑠奈。
星の輝きは、強くなりだした。
瑠奈「間に合わないかも。」瑠奈は、焦りだす。
守「俺に任せて、必ず捕まえる。」瑠奈の手から、虫あみをとって、頂上まで、一気にかけ上がる。
星が落下しはじめる。
瑠奈は、星守の唄を口ずさむ。静かな
場所という事もあり、綺麗な歌声が響きわたる。
流れ星は、瑠奈の唄に導かれるように、落下方向を変えてきた。
星は地上に落下するにつれ、光を失う。
守「星をキャッチできますように」と口ずさむ。
守「やばい。」網じゃ無理と判断し、咄嗟に身体全体で受け止めた。その、衝撃で、守は丘を転がり落ちていく。
瑠奈は、守の方に駆け寄る。
守は、起き上がり、手を見ると、うっすらと光る妖精みたいなものが、確認できた。
守「間に合ったみたいだね。」と笑顔を見せる。
瑠奈「ありがとう。」瑠奈は、安心して笑顔を見せた。
瑠奈は、虫かごみたいな入れ物に、その星の妖精を入れた。
守は、あまり、詮索しないように、静かに瑠奈を見守る。
瑠奈「ひとまず、家に来て?今回の事を親に話さないと。」
守「うん、わかってるよ。」女の子からの誘いは、嬉しいけど、今回の誘いは、素直に喜べない守だった。