1歳の誕生日
時は過ぎ……、美紗季の1歳の誕生日を迎えた。
1年を無事に過ごせるのは、とても幸せなこと。家族や親戚、友人を招いてごちそうを作り、一緒にお祝いをする。地方によっては、赤ちゃんに大きな餅を背負わせたり、餅を踏ませたりする楽しい風習もたくさんあるらしい。形式にとらわれず、家族ならではのオリジナリティあふれる記念日を考えておくと、毎年が楽しみになるそうだ。
我が家では、ホールケーキを買ってその上にろうそくを1本立てて火を美紗季に消してもらうことにした。
といっても1歳の子には厳しいものがあるので、後ろから幸成が息を吹く。
家族や親戚、友人が見ている中これはせこい感じがするが、美紗季が消したと考えればなんてことはない。
いよいよ初歩きの日がやってきた。
立った状態から一歩踏み出したその日が、記念すべき“初歩き”の日となる。これからは、お気に入りの靴でおでかけもできる。世間では、すぐに成長するからと大きめを選ぶママも多いけど、合わない靴は赤ちゃんの足の発達を妨げになるそうだ。成長段階に合ったものを選ぶようにすることが良い。
「これから、赤ちゃんは走ったりおしゃべりしたり、どんどん成長するからママもパパもしっかり見守って!」
と友人たちに言われた。
デジカメやビデオカメラで成長の瞬間を記録したら、パソコンを使ってステキなアルバムを作るという新たな楽しみができた。
歩く様子もまた良い。
幸成は、美紗季が生まれてから仕事がすこしは楽しくなってきた気がしているそうだ。家に帰ったら美紗季が待っていると思うと……。
休みの日は、美紗季と遊んだり、美鶴の手伝いをすることにしている。
充実した……有意義な1日を過ごすために……。
その成果もあってか時間が過ぎるのが早い。気づいたら2065年4月になっていた。