お七夜・命名式
美鶴は赤ちゃんを見ながら幸せの表情をしていた。
「あっ、お帰り」
「ただいま」
「元気そうだな、……赤ちゃん」
「うん」
待望の赤ちゃんを授かった……。
幸せの第一歩を伊村夫婦は、歩み始めた……。
赤ちゃんが誕生して7日後。
この日、お七夜・命名式を行わなければならない。
お七夜・命名式というのは、赤ちゃんの健康と無事を祈って行なうお祝いである。この日までに赤ちゃんの名前を考え命名書に書いて飾り、ごちそうやお酒で祝いの膳を囲む。家族、親戚、ご近所の人、なるべく大勢の人を招いて祝ってもらう行事だ。
幸成と美鶴は、赤ちゃんが生まれる前から名前を決めていた。幸成、は命名紙をテーブルに置き筆を持って書いた名前は、
【美紗季】
と書いた。
人望が厚く大きく発展してほしいと願いを込めて書いた。
美紗季が生まれて12日後。
出生届を出さなければならないため役所に来た。
出生届というのは、出産後14日以内に、本籍地、または住民登録している市区町村の役所に提出。当日は、出生届の書類以外に母子手帳と印鑑が必要となる。
この手続きをしないと、美紗季はこの世にいないことになる。
さらに児童手当金の申請、出生通知票、健康保険に加入の手続きをしなければならない。子供を授かるというのは大変だ。