Viewpoint 美紗季
パパをなんとしてでも勝たせてあげたい……。それがあたしのできる“ありがとう”。
でも、パパが弱いせいか、あたしばっかり勝ってしまう。
どうしたらいいんだろう~。
ここに置くと勝てるよ~、と言うべきなのかな? それじゃあ、なんにも面白くない。
あたしが置く位置を間違えればいいのかな?
それがいいかもしれない。
何気なく置く位置を変えてみた。
すると、パパが勝った!
「おぉ、勝ってしまった」
パパは顔に喜びを出していない。でも、嬉しそうだというのはわかる。
なんとか、あたしなりの“ありがとう”を伝えることが出来た気がする。
「美紗季~、そろそろお風呂入ろうかぁ~?」
ママが言ってきた。
「お風呂から出てきたら、絵本でも読んでやるからな」
「うん!!」
ゲームが最後、なんとかパパの勝ちで終わり、あたしはママとお風呂に入ることにした。
お風呂から出てくると、パパは絵本を何冊か出してきた。
「いやぁ~、なかなか、探すと出てこないものだね」
パパは、笑いながら言った。
出てきたのは、【ももたろう】と【かさじぞう】だった。
ひらがな5もじ~。
「どっちがいい?」
とパパが聞いてきた。あたしは、迷わず、
「ももたろう!」
と言った。
「わかった! ここに座って」
パパはあぐらとかいう座り方をして、その上に座るように言ってきた。
まるで、大仏さんだ。
もじもよく見えるし、パパの声もよく聞こえる。すごくいい席だ。
「あら美紗季、特等席じゃない~」
「とくとうせき?」
「いいところってことよ」
なるほど、ここは、とくとうせきっていうんだ~。
絵本を読んでもらっているうちに眠くなってきた……。




