Viewpoint 幸成
俺はなぜ、ここに居る……。
車に体が当たったのは覚えている……。
何気なく左手を見ると、左手の甲に砂時計のマークが現れていた。
そうか……、心肺停止つまり、死んだのだ。
延長生存時間は残り15時間50分を切っている。
「パパ!」
美紗季が元気だ。それだけでもうれしい。
本来だったら、俺を轢いた犯人を捜したいところ……。でも、今は
「「家に帰ろう」」
俺と美鶴が同時に言った。
みんなニコッと笑い、着替えて、退院手続きを済ませた。
生命の砂時計制度が作動している人は、退院手続きが異常に早いし安い。
それは、24時間以内に死ぬ人だから。
あくまで仮説。とりあえず、家族でご飯を食べよう。
現在時刻は、20時30分。つまり残り、14時間30分。
意外にありそうに感じるがそうでもない。
家に帰ると、
「わぁ~、ハンバーグだぁ!」
美紗季は、先ほど泣いていたとは思えないほど喜んでいる。さっきまで泣いていたらしいが本当なのか疑問に感じる……。
でも、今目の前には大好物が並んでいるんだから喜ばないほうが余計おかしいか……。
どのくらい久々なのだろうか、1つのテーブルを“家族”で囲むのは……。
昨日まで、いや今日、美紗季を助けにいくまでの間、書類に囲まれていて生活していたから……。
家族という名の温かさ……。こんなにいいものだと思わない。談笑もまた良い……。
ご飯を食べ終えると、
「パパ~、遊ぼう!」
持ってきたのは、オセロだ。
「よし、やろうか!」
何もかもが久々だ。仕事に身を任せると人間はこうなるのか……、死ぬ前にわかってもどうしようもない。
ゲームは、美紗季の勝ち。でも、
「パパ、もう一回!」
美紗季は、勝ったはずなのに、なぜもう一度やる必要があるんだ?
「はやくぅ~、はやくぅ~」
俺は急いで準備をしてゲームを再開した。




