_Viewpoint 美鶴
なかなか家に帰ってこない。何をしているのだ……。
仮に遊んでいるのならいいんだけど、何かに巻き込まれていないといいが……。
人間は、良い予感より悪い予感のほうが的中する確率が異常とも言えるほど高い。
そんなことを考えていたら、家の電話が鳴った。
「もしもし……」
「伊村美鶴さんですか?」
「そうですが……、なにか?」
「突然のお電話で失礼します。私は星城病院の者なのですが、単刀直入に申し上げます。……旦那様が車に轢かれました……。今、病院で手当てを受けています。お子さんも来ています」
思った通りだ。どうして悪い予感のほうが的中する確率が高いのだろう……。
「……来ていただけますよね?」
病院のスタッフに聞かれた。
「……行きません、って言うと思っているのですか?」
「いいえ」
私はすぐさま、星城病院に向かった……。
病院に着くと、美紗季の鳴き声が病室中に響いた。
幸成と思われる人物の顏に、白い布がかけられていた……。
えーん、えーん、と泣いている様子は今までにない悲しさを感じる。
すると、
「美鶴さん……ですか?」
「えぇ……」
笹間先生が現れた。
「ご主人のご冥福をお祈りいたします。……ただいま、JHO(Japan Health Organization)日本保健機関より伊村幸成さんが、外傷による心肺停止連絡を受けましたので、ご報告に上がりました」
「そうですか……」
私はあることを思い出した。
「あの……、砂時計のシステムってどうなるのですか?」
「幸成さんは、外傷による心肺停止状態なので、延長生存時間が適応されます。……現在幸成さんは35歳なので、砂時計時間は16時間です」
「16時間……後は?」
「灰になります。灰になるまでの間、家族水入らずの時間をお過ごし頂くようお勧めします」
「……それで、いつ目が覚めるのですか?」
「まもなくです。急に起き上がるので、びっくりしないでくださいね」
と言うと、笹間先生は病室から去っていった……。
ドアがバタンと音を立てて閉まると、幸成が何事もなかったかのように起き上がった。
その様子にびっくりした美紗季は、
「パ、パパ!?」
と言いながら、腰を抜かした。




