Viewpoint 幸成_
美紗季と手をつなぎながら、歩くのは遊園地以来だ。
どこか懐かしさを覚える。
また、明日から仕事がある。今日も仕事はあったが、事情を話して早退させてもらった。人手不足だから、いつ楽になるかなんてわからない。死ぬまで楽にならないかもしれない。
だから……、
「……なぁ、美紗季、近くの公園でキャッチボールでもしないか?」
「えっ、……うん、やろう!」
来る時に公園があったので、そこに向かった。
人はそんなに多くはない。
ちなみに、グローブとボールは会社から借りた。というより部長から持って行けと言われた。
美紗季には、大人用のグローブはちょっと大きい……。
「ねぇ、パパ。グローブが大きいから投げないで転がしてもいい?」
と言ってきた。
「いいよ! 先に転がしてくれ!」
美紗季は笑顔でうなずき、ボールを転がした。
と言っても、そんなに距離が出ないので、密かに前に進み、
「いいボールだ!」
と言いながら、とりあえず、笑顔を絶やさないように心掛けた。
その成果があってか、気づいたら、夕日が沈む時間帯になっていた。
楽しい時ほど時間が過ぎるのが早いとは、このことか……。
真っ暗になってしまうとキャッチボールどころの騒ぎではなくなるので
「そろそろ、帰ろうか、ママがご飯作ってくれているから」
と言うと
「うん!」
元気よく、美紗季が返事をした。
そして、俺と美紗季は、手をつなぎながら、公園を後にした。
家に帰る途中、
「きょうのごはんはなにぃ~?」
「なんだろうね~。もしかしたら、美紗季の大好きなものかもしれないよ~」
「楽しみだな~!」
その時だった。
猛スピードで走ってきた車が美紗季に向かってきた。
俺は思わず、美紗季を抱き、車に背を向けた……。
その結果……、美紗季に怪我はない。代わりに俺は、重症を負った……。




