スライムの日常
僕はスライム!
いつもプヨプヨしたり、とろけたりする毎日さ。
羨ましいでしょっ。
でもね、たまに襲われちゃうんだっ。
弱いからってね、人間にみつかるとすぐに攻撃されるんだ。
この前なんか、子供にまで追いかけられて、あやうく溶けて消えちゃうところだったよ。
なんでみんな僕を攻撃するのさ。
僕を倒したって、経験値は1ポイントなんだぞ!
だからね、今日は見つからないように、どっかに隠れてよっと・・・。
ピョコピョコと跳ねて前に進む。
目的地もないまま進む。
実はね、僕達に居場所なんてないんだ。
あんまり遠くに行くと強い魔物にやられちゃうし、
仲間どうしで集まると、くっついて合体しちゃうんだ。
しかも合体すると、その中で一番強いスライムに乗っ取られて、僕は消えてしまう。
そんなのやだな~。
ピョンピョン・・ピョコピョコ・・・。
あ、ベスちゃんだっ。
あの赤いスライムは、ベスちゃんだよ!
可愛いな~。
あのプヨプヨ感、たまんないなあ~。
よしっ!
今日こそお友達になってもらうんだっ。
「ベスちゃ~~ん! 待ってよ~~」
「げっ、着いてこないでよ!ただのスライムなんかに興味はないわっ!!」
ああ~~行っちゃうよ~~。
「待ってよベスちゃ~~ん、一回でいいからトロトロさせてよ~~。」
「キ、キモっ! あんたみたいな経験値低い男なんか、相手にしないわ!!あっちいっちゃえ!!」
「ぺっぺっ」と体液を吐いてくるベスちゃん。
ああ~~、行っちゃった・・・。
そんな・・・
あ、でもベスちゃんの体液が残ってるよ。
よし、あれだけでもトロトロしちゃうんだ。
トロトロ~~~。
ああ気持ちいい・・・。
やっぱりベスちゃんは最高だよ。
よし、こうなったら合体して、経験値増やしてもう一回アタックするんだっ。
覚悟を決めるぞ!
「ようスライム、お前なにやってんだよ?」
ぎゃあああああああ!!
メタル系スライムだよっ!
とっても硬くて強いんだ・・・ブルブル・・・恐いよ~。
「ここはお前の来るとこじゃねえ、さっさと消えな。」
「はっはい!!」
こ、恐かったよ~。
メタル系はね、魔法も使えるんだ。
僕なんか、そりゃ一発でやられちゃうよ・・・。
あ、ちょっとまって!
向こうに見えるのは、勇者だよ!
カッコイイ剣と、大きな盾を持ってる。
強そうだな~~。
ピョコピョコ・・・。
勇者に着いていくんだっ。
僕も強くなりたい。
勇者はね、強いから僕なんてもう相手にしないんだ。
だから、一緒にいても平気なんだ~~。
しかも仲間になれば、僕にも経験値が入るんだぞ!すごいでしょ!!
ピョコピョコ・・・。
「勇者さん、勇者さん、僕も一緒に連れって下さいっ!!」
「あ、誰だお前?・・・なんだスライムか、ちょうどいいや・・・。」
ザシュッ!!
ああ~~そんなぁ・・・
「悪かったな、後1ポイントでレベル上がるとこだったんだわ。」
チャララチャッチャッチャ~~
「お、レベル上がった、サンキュウーな。どれどれ早速覚えた魔法をと・・・。」
ああ~~溶けちゃうよ・・・
ベスちゃんと、お友達になりたかったなあ・・・・。
おしまい