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図書館のひと時

小学校の頃から図書館が好きだった。学校の図書館、大学の図書館、地元の市立図書・・・、図書館は私のいわば避難場所で、どんなにストレスの多い、忙しい日々を送っていても、図書館に行くと不思議と安らかな気分になれたものだ。


古い宮殿や貴族の館、僧院など、歴史ある重厚な建物内にあるイタリアの風格ある図書館は、図書館好きの私にとってたまらない魅力がある。


大学都市であるボローニャは図書館も充実していて、普通の市立図書館だけでなく、古い記録や文献を扱う国立資料館、楽器や楽譜、音楽関係の文献を揃えた珍しい音楽図書館、工学を専門とした工学中央図書館など、様々な分野の図書館が存在する。


中でもボローニャ旧市街の心臓部、マッジョーレ広場の裏手にあるアルキジンナージオ図書館は、私が最も気に入っている場所のひとつである。

ヨーロッパ最古の大学、ボローニャ大学の旧校舎、アルキジンナージオ宮殿内部にあるこの歴史ある図書館には、蛍光灯や広いガラス窓といった近代的で明るい日本の図書館にはない、独特の雰囲気が漂っている。


ガルヴァーニ広場に面した正面門をくぐると、柱廊にくるりと囲まれた広い中庭に出る。

第二次世界大戦時、空襲の被害を受けた建物の1階は展示スペースになっていて、爆撃で破壊された当時の生々しい写真が展示されている。

左側の大階段を上ると市立図書館だ。

歴代の教授や学生の紋章が、まるで密生した蝸牛のように柱廊と大階段の壁と天井を覆っていて、そのひとつひとつがこの学堂の歴史を刻み込んでいるようだ。

挿絵(By みてみん)



図書館内はバッグの持ち込みが禁止されているので、筆記道具や辞書など、必要なものを取り出して廊下の鍵付きロッカーにバッグを預け、受付で入館カードを記入して入館する。


図書館は読書室、写本展示室、印画室、資料保管室、閲覧室に分かれ、読書室と閲覧室を結ぶ広い広間は、きらびやかな装丁を施した美術品のような高価な古書が天井まで届く書架をびっしりと飾り、まるで本の博物館のように瀟洒な空間となっている。


おそらくここはイタリアで最も静かな場所のひとつではないだろうか。普段さわがしいイタリア人が、神妙に勉強や読書に専念し、ただ本のページをめくる音だけが聞こえてくる。


そして司書達の親切なこと!

私はイタリアで公務員がこれほど親切な場所を他に知らない。

受付の女性も、貸し出しカウンターの女性司書達も、実に親切に、にこやかに、細やかに応対してくれて、普段、市役所や郵便局の投げやりでつっけんどんな事務員に悩まされているせいか、清流のように爽やかな彼らの笑顔に殊のほか癒される。


挿絵(By みてみん)


本は、タイトル、作者、テーマ別に分類されたカード目録から探すか、館内に設置されているコンピュータで検索する。

あるいは、インフォメーションカウンターで探したい本の詳細やテーマを告げると、担当の若い男性司書がこれまた実に親切に、忍耐強く、目的の本を一緒に探してくれる。


イタリアの図書館は歴史と文化と読書、そして癒しのひと時を同時に楽しめる希少な場所ではないだろうか。


市立アルキジンナージオ図書館のホームページ

http://www.archiginnasio.it/


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