1日目
魔術師は戦えない。弱いというわけではないが、戦いを経験した魔術師は少ない。
獣や魔物とさえ戦えない魔術師が多い。
ましてや人となど戦えるわけがない。
魔術師は強すぎた。戦わなくとも生きるに困らない。
だから戦えないのだ。
錬金術師と精霊術師は師のもとで戦いを学ぶが魔術師と呪術師は教わらない事が増えた。
錬金術師は魔境で世界と生命と物質の秘密を探るし、精霊術師は魔境で精霊と触れ合う為、共に戦いを学ぶ必要があった。
帝国、いや現役では世界最強の魔術師であるウォルター氏は500人の弟子に戦い方を教えていた。
魔法だけでなく剣や杖、体術まで教えているし、武器作成や武器精錬等、錬金術師寄りの技術だって教えている。
この戦争の行方を大きく左右するはずであり、反乱軍の頭領たる大公は外部から魔法使いを呼ばざるを得ない。
「ウォルター氏が動く前に決着をつけねばならない。あの男は最強だが、弱さも持つ魔術師だ。戦争さえ終われば、戦いをやめる。守るものがあり、敵が攻撃してきた時にしか戦わない魔術師だ。」
協会の幹部はそういった。
ウォルター氏は戦えない魔術師だといっている。
この女のいう事が本当かはわからない。
魔術師は各地域に1人以上いるが、職務ではない。
用事があれば出かける。ウォルター氏は魔術師協会と関係の浅い魔術師を各地に住まわせている。
魔術師協会と関係が深ければ、呼び出しをかけられる。それをさせないのだ。
だから首都で魔術師の失踪事件を起こし、辺境で小競り合いを起こした。
サラには言い含めている。
ウォルター氏に思惑を読まれない者は月の民の王家の血を引く3人のみ。
サラをそそのかした。
辺境の小競り合いはサラとポーラの住む街で起きる。
サラとポーラが手を下すまでもなく鎮圧される。
ここがポイントだ。
2人がウォルターに報告に行くかどうか。
首都に最強の4人が集まれば戦争がはじまる。
戦争が起これば月の民の国が手にはいる。
抑圧された民族だがサラはきっと戦争を起こしてまでは手に入れようとはしないだろう。
戦争を前段階で抑えつつ、国を手に入れようとする。
またそれが出来ると思っている。
魔術師協会が本気で介入するとは思っていないのだ。
魔術師協会は”怖い組織”なのだ。
キムンカムイの10体の部下はキムンカムイには劣るが並の魔術師とは互角に戦える。
そして戦えない魔術師は皆を置いて逃げる。
キムンカムイの部下は魔術師か、向かって来る兵としか戦わない。怖くない獣
そして、大公の国は帝国の属国ではあるが、敵国に接しており精兵が揃っている。
軍事行動には帝国への届け出が必要であったが、決まりを守らせる力は帝国にはなく、大公の軍は帝国に不満を持つ5つの小領主にキムンカムイの部下と共に貸し出されていた。
初日帝国内5の領地で反乱がおこる。
魔術師がいる限り守りは盤石であり攻めに集中出来る。
戦争を起こさせない仕組みが戦争の流れを早める結果となった。
侵略された土地には女神正教の教会が魔術により数秒と経たずに建てられる。
魔術師の集団である女神正教が教会を建てればそれ支持する国の独立は時間の問題である。
帝国は初日に3割の領地を失ったのだ。




